構造改革

最近の新聞に構造改革という言葉が出ない日は少ない。 構造改革にもいろいろ意味があるのだろうが、例えば経済構造改革
金融構造改革、財政構造改革、行政構造改革、教育構造改革等いろいろある。

我国のバブルの崩壊後10年を越える長期の景気低迷は、世界でも奇異の目で眺められている。  何がその原因なのか、どう対処すべきなのか。  我国政府もただ手をこまねいて傍観していただけでなく、それなりに対策も立て実行もしてきた。

1990年代から現在まで、総額120兆円に及ぶ「緊急経済対策」「総合経済対策」という名目で景気対策を打ち出している。  その中身は従来から景気刺激に効果が期待できると言われている公共投資が主体であった。

景気は需要と供給のバランスが崩れる事から悪化する。  需要が少ないのに供給が過大であれば景気は悪くなる。
そこでこの需要を増やす為、公共工事を拡大し仕事を増やす。  企業はこれで得たお金を設備投資にまわしたり、従業員の給料を引き上げたりする。  従業員は増えた給料の一部を消費にまわす。 消費が増える事によって需要が拡大し、需要と供給のバランスが
回復、景気が持ち直すというパターンである。  従来ははこの方式で景気が回復した。

しかしバブル崩壊後のこの不況はこの方式が通用しなくなった。  公共投資の拡大で得たお金を企業は、設備投資にまわしたり、給料の引き上げに使ったりせず、バブル期に膨らんだ借金の返済に充てた。   これでは世間にカネが回らないから、景気は回復しない。
景気が回復しないと、需要不振から企業倒産が増える。  倒産が増えると今後の生活不安から消費は益々縮小する。

こうして景気対策としての公共投資拡大は機能しなくなった。   結果として後に残されたものは、国債増発による膨大な財政赤字である。  それではどう対処すれば良いか。

そこで替わって登場したのが、規制緩和による構造改革である。  これまでの我国の政策は、さまざまな規制を設けることによって企業間の無理な競争を抑制し産業を保護、育成する事にあった。   これが弱い体質の企業を生き残らせ、産業の活力を殺ぐ原因になっているとして、これまの方向を180度転換。  規制を緩和、撤廃して市場原理に基ずく競争を促し、民間の活力によって景気の回復を目指そうと言うものである。

規制緩和は国内のみならず、外国の企業も対象としており、すでに海外の多くの企業が日本市場に参入している。  これからは企業間の競争が益々熾烈になり、外資も含めて生き残りをかけた大競争時代に突入する事になろう。

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