日本国債の国際化

今年も後数日で終わり、いよいよ来年は21世紀の幕開けとなる。よき年になることを祈りたい。

先日の新聞に”今年は日本国債に対する海外からの投資が過去最高になる”と報じられていた。  日本の国債は無利息に近いほど
低金利なのに、海外投資家が何故日本国債に投資するのか、不思議に思うのだが、投資の目的が金利目当てでなく、値上がり益(キャピタルゲイン)ねらいにあるらしい。
日本は不良債権、不況対策等のため、金融緩和政策を長期的に継続しており、国内にはカネ余りがつずいている。 国内投資家は少し
でも安全で有利な資金運用先を求めて右往左往している状態である。  こんな場合まず考えられるのは国債に対する投資である。
国債は信用度が一番高いからまず安全である。 しかし安全なものほど金利は安い。 利息収入(インカムゲイン)の面からだけ考えると、決して有利なものとはいえない。 それでも国債に投資する人が沢山ある。  値上がり益(キャピタルゲイン)を期待できるからである。

日本は巨額の財政赤字を抱えて、今後国債の増発は続く。  これまで国債発行残高トップであった米国を抜いて日本が、世界一の
国債発行国になったのである。(あまり名誉な事ではないが)  米国は財政黒字国に変貌し国債残高は縮小傾向にあるので、この差は今後益々拡大するものと考えられる。

日本国債が国内投資家だけでなく、海外投資家にも受け入れられる事となると、今後大量発行が続く日本国債にとって朗報である。
しかし海外投資家が日本国債に投資するのは、その収益性が期待できるからであり、それがなくなると逃げ足は速い。  今後海外投資家が継続的に投資するには、いくつか条件がある。

まず円の為替レートが安定している事。  為替レートが不安定では、リスクが大きくて投資し辛い。できれば”強い円”が続く事が望ましい。         次に日本国債の流通性の問題   いつでも大量に流通していて、いつでも希望する価格(指値)で売買が成立する
こと       更に、国債ノ信用度の問題   日本は経常黒字国であり世界一の対外純資産を有するが、半面巨額の財政赤字を抱えている。  このまま財政赤字の拡大傾向が続くのか、それとも改善の方向が見られるのかによって、国債に対する評価も大きくちがってくる。  評価が低下する可能性が大きくなれば、海外からの投資も期待できない。

本年度の海外投資家による対日債権投資買い越し額は、1〜11月の累計で8兆7000億円に上り、これまで最高だった1996年の2倍
以上にあたる。    まだまだ越えなければならないハードルは高いが、このまま海外投資家による、対日債権投資が定着すると、
”円の国際化”に貢献するものとして期待される。

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