迷い猫のミ―とやさしい人達 |
ももちゃんは小学5年生です。最近、元気がありません。五年間飼っていた猫が死んでしまったからです。 リビングにある猫の絵は、 ももちゃんが夏休みに書いて。優秀賞をもらいました。あんなに元気だったのにと 思い出すたびに涙が出ます。 ももちゃんのお母さんはスーパーマーケットに勤めています。ある日仕事場から猫を連れて帰ってきました。 鳴き声を聞いた、ももちゃんはすっ飛んできました。「その猫どうしたの?」お母さんは「飼い主が見つかるまで うちで預かることにしたの。」ももちゃんは「やったぁ!」と叫びました。お母さんは久振りのももちゃんの元気な 声を聞けてうれしくなりました。 子猫は首輪をしていて、それは毛糸で編まれた手作りです。ももちゃんは、よい考えを思いつきました。 自分の机からスケッチブックを出し子猫の絵を書きました。首輪の特徴も入れました。 できあがった絵の横には『迷いねこを預かっています。おこころあたりの方はスーパーハピネスまで ご連絡下さい。』と丁寧に書きました。 あくる日お母さんはその絵を職場に持って行き社長さんがコピーをしてくれて店の掲示板と二台ある宅配車に 取り付けてくれました。 この猫の飼い主は七十歳のふじさんで、おじいさんが亡くなり元気がなかったのを心配した近所の弘君が 子猫をもらってきたのをふじさんが飼うことになりました。ミーが来てからは、ふじさんは日に日に元気に なりました。 ある日、おじいさんのお墓まいりで家を留守にして帰ってきたらミーがいなくなっていました。ふじさんは 毎日のようにミーと一緒に遊びに行く近くの公園を捜しますが見つかりません。もう捜すのも三日目です。 公園に遊びにきた弘君がふじさんの姿を見て「どうかしたの?」と聞いてくれました。ふじさんの話を聞いた 弘君も一緒に捜してくれましたが見つかりません。 一方ミーはふじさんがいないので不安になり公園にふじさんがいるのではと来ていました。公園の前の 道路にスーパーハピネスの車が止めてありました。社長さんが宅配中にミーが置いてあった空き箱に入って 遊んでいる内に蓋が閉まり出れなくなりました。 社長さんはミーが箱の中にいるとは知らず車に箱を積み 店に帰ってきたした。車の荷台から鳴き声が聞こえてきます。恐る恐る箱を開けびっくりしました。 中にかわいい子猫が入っていました。困った社長さんを見てももちゃんのお母さんは預かることにしました。 ミーがいなくなって一週間がたちました。弘くんが公園で遊んでいると宅配車の後ろに何か ポスターのようなものが見えます。近くまできて「あっ!ミーだ」その車は動き出しました。 弘君は急いでふじさんに知らせようと走りました。ふじさんの家から電話をかけました。 「スーパーハピネスさんですか、ぼく迷い猫のポスターを見ました。 飼い主のおばあさんの知り合いです・・・。」電話に出た社長さんからミーの絵を書いたのはももちゃんでもも ちゃんのうちで預かってくれていることや弘君と同い年だと教えてくれました。 弘君はミーの絵がほしいとお願いしたらももちゃんに言ってくれました。 明日の午後4時に社長さんとももちゃんがミーをふじさんの家に届けてくれることになりました。 ふじさんもミーが無事でいてくれて大喜びです。弘君はその日は朝から落ち着きません。 時間ばかりが気になりました。学校が終わると急いでふじさんの家に行き二人で家の前で車が来るのを 今か今かと待ちました。弘君の胸はドキドキしてきました。ふじさんもミーに会えるのでうれしそうです。 車のエンジン音がだんだん近づいてくるのがわかりました。 |
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