「どちらにしても、今ある情報だけで犯人を特定するのは難しそうですね。連絡先をお教えするので、何かあったら連絡を下さい…ではこの名刺を…」
そう言って名刺を渡した。
数日後イヌオさんは焼死体で発見された。
死体は性別か分からないほど損傷していたが、歯の治療痕から本人と判明した。
警察の事情聴取で、彼が命を狙われていたこと、その証人となるであろうアパートの住民の住所やホーム転落事件の日時を伝えた、
そして、5人の容疑者たちの事も…
告別式に参列させて頂き、ご家族に事情を伝え謝罪した。
故人に瓜二つの、お兄さんが対応してくれた。
真に憎むべきは犯人だから…と、冷静な対応をしてくれた…
喪服の着こなしから、少し大雑把な性格を感じ取った、外見は似ていても性格は似ていない…そんな兄弟だったのだろう。
その後、犯人が捕まったかどうかには、もはや関心は無かった…
助けを求めてきた人を救えなかった…
結局私は彼を守れなかったのだ。
私は探偵業を辞める事を決意した…
Fin