単景文

築港240 〔単愛金(妹)の2004年4月27日付け手紙〕

 ・兄の単景文は1944年,河北省束鹿県の辛集駅で仕事をしていた。当時兄は21歳だった。兄は日本兵によって連れ去られた。兄と一緒に仕事をしていた隣村の高家坡村に住む高福冬がある日、兄に「日本兵が捕まえにやってくるぞ。早くここを離れよう」と言った。兄は「君は先に行け。僕は明日にする」と言った。高福冬はその日のうちに井?の生家に逃げ帰った。そして兄はその翌日、駅を離れるのが間に合わずに日本兵に捕まって連れて行かれた。高福冬は家に駆け戻ってすぐに、そのとき起こったことを私たちに知らせてくれた。私たち家族は知恵を絞り尽くし、あちこちに聞き回った末、ようやく兄が石家荘の南兵営に入れられたことを知った。私たちはそのとき,親戚を頼ったり友人に頼み込んだりしたが、結局兄と一目会うこともできなかった。