袁大春[事業場名簿で袁大頓]

築港022 〔袁同山(子)の証言、証言日不明。1996年5月5日河北大学より受け取る〕

 ・私の父は東亭村(河北省定県)の村民だった。当時、大陳村[編注:東亭村の隣]で作男として働いていたときに拉致された。そして非合法な拷問にかけられ、日本犬に咬まれて全身傷だらけになった。重傷な部分は十数カ所にもおよび、生きるか死ぬかの状態で何度気絶したか分からないほどだった。食糧や衣服なども奪い取られてしまい、東亭から定県に送られ、そのあと石家荘に運ばれ、石家荘から天津の塘沽に連れて行かれた。
 ・大阪の埠頭で貨物船から荷下ろしする仕事をさせられた。毎日、朝早くから夜遅くまで働かされ、24時間休まずに働かされることもよくあった。犬も食べないようなものを食べさせられ、家で着ていた服をずっとそのまま、ボロボロになっても着せられていた。裸足の足をくるむものさえなかった。寝場所としてあてがわれていたのは作業現場の小屋で、冬の夜は寒さで眠りにつくことができなかった。一銭の賃金も払われないばかりか、現場監督からはしょっちゅう殴られて、牛馬にも劣る生活を強いられていた。
 ・帰国したときは一銭も持たされてはおらず、自分のボロボロの服を着たままだった。