曹万興さんからの手紙

 中国人の一人として、また犠牲者の家族の一員として、当時の日本軍国主義の暴行に対しては、歯ぎしりするほどの恨みと憤りを持っております。日本軍国主義は我が祖国を踏みにじり、私の叔父たち青年の命をも奪いました。今もご健在な長老たちの話すところでは、叔父は連行されたときはまだ20歳でした。まさに今が盛りの年頃だというのに、縛られて無理やり炭坑に引っぱって行かれ、苦力として働かされたということです。まだうら若き者がそのときから自由を失い、人としての尊厳を失い、子として父母に孝行する務めをも失ってしまったのです。私の祖母は死ぬほど泣き続けました。息子を思い、息子を待ちわび、ついに両目とも失明してしまいました。
              (2004年8月20日の手紙)