石卯尓さんの証言

 石洛東は捕まる前はこの村の抗日副村長をしていた。日本軍の逮捕から逃れるために、彼は長い間地道の中で仕事をし、そこで暮らしてもいた。それで身体に疥癬ができてしまったので、7月8日の夜は家に戻って寝ていたのだ。そこをこの村の漢奸の楊大水に密告されて、捕まってしまったのである。この楊大水も日本に連行されていっている。
 石洛東が捕まった時、家には17歳の長女(97年死亡)と5歳の長男(今年59歳)と、妊娠6ヵ月の妻がいた。その当時家には約80アールの砂の多い土地があったのだが、作物を作るには水は絶対に欠かせなかった。水をやらない限り良い収穫はあり得なかったのだ。
       (98年2月12日河北大学の劉宝辰さん整理)