道具を作って遊ぶ

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昭和30年代頃の子供たちの遊びは、外で遊ぶことがほとんどでありました。 特に田舎の子供は野や山、川などが遊び場でした。
野山の木や、竹などの自然の材料を利用して、 小学校低学年から小刀やナイフなどを使い、高学年が作る遊び道具を見よう見まねで 作っていました。もちろん初めはまともなモノは作れません。高学年の子供たちも、 だいたいはほったらかしですが、どうしても作れない子には見かねて手助けしていました。

杉鉄砲他 いっしゃりん(パチンコ) つけばり うさぎ捕り おじゃみ

タイトル杉鉄砲

作り方は、杉の実がちょうど入るぐらいの太さのオナゴダケ(当地ではこう呼んでいた。篠竹など) の節のない部分を15p前後の長さに切る。
次にその中に入るように、竹の外側を使って芯棒を作る。サヤの長さより短いめにする。 これでできあがり。

使い方は、画像のように、最初に杉の実を一つ押し込む。一度芯を抜いてもう一つ実を入れ真ん中あたり までゆっくり押し込んでから一気に押し込む。
あまり遠くへは飛ばないが、いい音がします。

スギ鉄砲アニメ

他にも紙鉄砲、グシタマ鉄砲など、弾のサイズに合わせて大きさを変えるだけ。 紙鉄砲の弾は、新聞紙を濡らしてサヤの大きさにまるめる。
グシタマというのは田圃の土手などに生えている青い実のこと。正式にはどう言うのかなぁ?

グシタマ

タイトルいっしゃりん

石槍が訛って「いっしゃりん」となったと思われる。一般にはパチンコと呼ばれている。

木の枝の又の部分を使ってゴムひもを取り付けて、そのゴムに石をはさんで飛ばす。 適当なモノを的にして、当てあいっこする。人に向けるのはルール違反です。
鳥などを狙ったりもしていたが、当たったためしはない。

いっしゃりん

タイトルつけばり

夏になると、楽しみにしていた遊びのひとつに「つけばり」があります。 これは、川や池で仕掛けをして、ウナギや大型の魚を獲る遊びです。
10〜20メートルぐらいのたこ糸の片方の端に、おもりの石を付ける。そこから適当な間隔で 数本の釣り針をつり下げる。針は大きめが良い。
昭和30年代頃、私たちの地方(兵庫県吉川町辺り) では、釣り針をテグスに結わえる内職をお年寄りなどがやっていて、 その針を少し失敬しておりました。(時効ですが、針屋さんにはすみませんでした)
もう片方の端には、糸を巻くために板等を取り付けておく。 エサは、ドジョウとかタニシを使用しておりました。

つけばり仕掛け

 

休日の前の日の夕方、溝でドジョウを捕り、大きいモノは半分にし、 タニシなら殻を割って針につける。 そして、出来た仕掛けを一人に2〜3本持ち、川や池へ出かけ(川がほとんどであった)、 魚の棲んでいそうな所(川なら岩の際など)をめがけて、おもりの石を投げ入れます。 端を木や岩に括り付けたり、地面に差し込んだりして流されないようにしておく。
他の仕掛けも、絡まないように適当に間隔をあけて同じようにする。
あとは、あくる朝を待つだけだが、その瞬間からすでにウナギやナマズ、鯉などが掛かっていることを 想像して、ワクワクした気分で仲間とはしゃぎながら家路についたものでした。
そして、朝、起こされもしないのに薄暗い内から起き出し、仲間と落ち合って仕掛けた場所へ向かいます。 仕掛けを投げ入れた方向がずれていたり、糸がピーンと張っているときは、何かが掛かっている証拠です。 ドキドキしながら、仕掛けを引き上げて、手応えがあったときは舞い上がるような気持ちでした。 逆に、何も掛かっていなかったときの落胆、針を切って逃げられたときの 悔しさも大きいモノがありました。

川で掛かってくるのは、ほとんどがウナギかナマズ、ギンタと呼んでいた背びれにトゲのある魚でした。
小学生でも高学年になるとウナギを自分でさばいたりもしていました。まな板の上でウナギの頭に釘かキリを 打ち込み、布でおさえながらナイフで背中を開くわけですが、もちろんまっすぐに切れるワケがありませんね。
昔は、おとなが子供の遊びに付き合うことは希であったようです。 何事も子供同士で上から下へ伝わっていたのです。

近年、川にウナギがいないと聞きます。下流で河川改修が行われ、コンクリートで川床が固められたためらしい。
ウナギは海から川へ上るとき、岩や泥土、水中の草などに体を絡めながら、 流れに逆らって上ることができる。それが途中で遮られた、ということらしい。

タイトル兎捕り

秋から冬にかけては、うさぎ捕りをしたことを思い出します。
簡単な罠を仕掛けて捕獲し食用にしていました。他に食べ物がない時代でもなく、遊びでやっていた様なもので 今から思うと残酷なことでした。
ただし、成功した例は極めて少なく、私自身は一度だけだったような 気がします。他の仲間も似たようなものでした。
あまりに無駄足が多いので、私は二シーズンぐらいしか しなかったと思います。

罠の作り方は簡単で、1メートル程度の針金の端を曲げて小さい輪を作り、もう片方の端をその輪に通して 兎の頭がちょうど入る輪にします。それを山(といっても雑木林程度ですが) に持って行って仕掛けるだけです。
そこで仕掛ける場所、すなわち兎が通る道を探す訳ですが、これが簡単にはいきませんでした。 雑木の中で細いトンネル状になったような所を探し出します。 しゃがみ込んで下からのぞき込むように眺めねばわかりませんし、 見つけてもそれが本当に兎の道(当時こう言っていた)かどうかも わかりません。たまたまトンネル状になっているかも知れず、また狸など他の獣の通った後かも知れません。

とにかく、そこへ先ほどの罠を仕掛けますが、輪の大きさは兎の頭がちょうど入るぐらい、小さいと入らずにすり抜けてしまうし、 また大きすぎると前足も一緒に入ってしまい、一旦は締まってもその足で輪を広げられて抜けられてしまうおそれもあります。 仕掛ける位置も、飛び越えられず、下からくぐり抜けもしにくい高さにせねばなりません。
いろいろと条件が厳しくて成功の確率が低かったのでしょう。今思うとそれが幸いでした。

小学唱歌「ふるさと」の歌詞の「うさぎ追いしかの山…」を、うさぎが美味しいと思っていた方は少なからずおられたと 思いますが(もちろん私も含)、実際に食べた方は少ないでしょうね。
私が食したのは一度、ひょっとしたら二度ぐらい、しかも四十年チョット前ですので、美味しかったのかどうかも覚えていません。

タイトルおじゃみ

一般にはお手玉と呼ばれている。関西方面では「おじゃみ」といっているところが多い。(?)
小豆や大豆などを、布のはぎれで包んで縫い合わせたもの。おばあちゃんたちが作っていました。
2〜3個の「おじゃみ」を使ってジャグリングをしたり、5〜6個使って、一つを投げ上げている 間に下に置いた「おじゃみ」を初めは一つ、2回目は二つと拾い上げる遊びなどがあったようです。

イラストおじゃみ

 

「おじゃみ」は女の子の遊びで、男の子が「おじゃみ」をしているのを見たことがありません。昔の男の子は 女の子の遊びをするのが恥ずかしいといった男尊女卑的な偏見があったのです。
一つだけ男の子が「おじゃみ」を使って遊んでいたのは、足首の内側で蹴って、何回続けられるかを競って いたのを思い出します。これなら男らしいと思っていたのでしょうね。 この遊びを「チャン蹴り」と呼んでいました。名前の由来も分かりませんし、あまりメジャーでは なかったようです。

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