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丸形畳の作り方

丸形畳写真

 円形の畳は一般では見かけることがほとんどないと思います。畳はだいたい四角いものと決まっており、 芯床材、畳表、縁、そして機械も、すべてが四角に作る仕様となっています。それを無理に丸く 仕上げようとするので、いろいろと不具合な面が出てくるのです。面倒な細工をせねばなりませんし、 もちろん機械では出来ません。しかも商業ベースには乗りませんので手がける人が少ないようです。

紋縁
両端の紋を合わせて中心を縫ってます。

 材料を選ぶ
芯床材は、インシュレーションボード、縁は紋縁を使います。紋縁を使うのは縁巾の外径と内径の 差によって生まれるシワを無くしやすい生地だからです。 この縁のシワを無くすことが、円形畳において一番のポイントとなります。 表は何でもよいと思います。

 寸法を決める
円周を縁の紋の数で決めます。あまり少なすぎると縁の外径と内径の差の率が大きくなり シワを解消出来ません。中紋(直径1寸4分ぐらい)で半紋(七分)の縁巾にするとして16 紋以上でないときついです。 (紋の数は偶数の方が仕事がしやすい) そして縁を強く伸ばした状態で長さをはかり円周とします。 縁は両端をミシンで縫いつけて円状にしておきます。

 ボードを円に切る
半紋を縁巾とした場合、もう半分を側面に出すために、 厚さ10oまたは15oのインシュレーションボードを使います。
先に測った円周をもとに半径を割り出して針や糸を使ってコンパスにして円を描き、カッターナイフやジグソーなどで切る。 描画ソフトを使って正確な円を描いて型を取るのもよいでしょう。また、円切りカッターで切る のも速くてきれいに切れます。(ワシァ もっぱらこれです。)

 表の準備
表は合わせ(畳表の目を互い違いにして二重に張り合わせること)にして、糊や木工ボンドなどで 貼り付けます。これをやらないとイ草がバラバラになってしまいます。また表も伸びません。
寸法が決まっていれば仕上げ寸法より少し大きめにして、先に貼って乾かしておく方がいいでしょうね。
乾いたら円形に切ったボードに合わせて切ります。 または裏表に直接畳表(一重でよい)を貼り付けて乾いてからボードに沿って切るのも方法です。 刺しの時に少し縫いにくいですが、きれいに仕上がります。

 平刺し(縁を縫う)
縫う前に少し準備をします。平刺しをするのは円の内側ですので縁の長さは当然それより長くなります。 そこでヒダを取りながら縫うわけですが、縁を均等に縫うために前に表に印を入れます。 ここでは円形に切ったボール紙に均等に印を入れておき、それに合わせて表に印を付けました。 (写真右) その印を目安に縁を割り付けてホッチキスで仮留めしておきます。 これをせずに適当にヒダを取っていくと最後になって縁が引きつったり余ったりしてしまいます。
ボードに直接畳表を貼り付けた場合は、縁をボードに巻き付けて、表と縁の同じ位置に印をつけておきます。(写真右下)
そして印にそってヒダをとりながらなるべく細かく縫っていきます。細かいほど円に近くなる理屈です。
戻り針(縫った糸の上へ少し戻して針をあげる)で縫うとヒダも取りやすいと思います。

      
丸畳裏側
裏側です。上に乗っているのは曲げ針

 平刺しの後処理
平刺しをするときに普通の畳なら縁下紙を当てて縫うのですが、円形の場合はできません。 そこで平刺しが終わってから、縁巾で円形に切った薄手のボール紙を 刺しの上から当てて縫いつけます(ガンタッカーで止めるのもあり)。こうしておくと 出来上がったときに、きれいに周りの角がつき、縁を起したときに見えやすい刺しの糸も隠れます。
そしてそれを芯床材のボードに接着剤で貼ります。ずれない程度に軽くでよい。 裏にも畳表を、ここはしっかりと貼ります。ボードの厚みと縁の紋の巾に応じて、 合わせまたは一重(ひとえ)にします。

 返し(縁を起し、裏(ふつうの畳は横)へ折り返して縫うこと)
普通の畳と違い、横縁が見えますので横に糸を出すのはきれいではありません。 それで返した縁は裏で縫い止めます。畳針をガスコンロで焼いて曲げ針を作り、それを使ってすくう様にして 縫っていきます。いきなり細かく縫うと掛かりが浅くなりますので、粗く縫っていき、そのかわり2周しています。 ガンタッカーで止めてもよいですが縁の引きが弱くなります。

 仕上げ
これで出来上がりですが、縁の内側にシワが寄っています。そこへ霧水を多い目に吹き付けます。 乾いたらシワは消えています。
紋縁の生地は縮みやすい性質の様で他の縁ではこうはうまくいきません。 ただ、半端になった紋縁を長期間放っておきますと自然に縮んでしまい、霧水を打っても縮む率が 少なくシワが取れにくくなってしまいます。強く巻いて保管しておくと少しはましかと思ってるのですが…。
一般に使われる綿縁でも円を大きくするか、縁幅を細くすれば何とかなります。

以上が私なりの丸畳の制作工程です。畳屋さんでない人が見られても分かるように書いたつもりです。 分かってもしょうがないですかネ…


霧水を打つ前。シワが残っている
ちょっとわかりづらかったですね

ほぼシワは消えている。