吉田拓郎

唇をかみしめて

作詞 吉田拓郎 作曲 吉田拓郎

ええかげんな奴じゃけほっといて くれんさい
アンタと一緒に泣きとうはありません

どこへ行くんネ何かエエ事 あったんネ
住む気になったら手紙でも出しんさいや

季節もいくつか訪ねて来たろうが
時が行くのもワカラン位に目まぐるしかったんじゃ
人が好きやけネー 人が好きやけネー

さばくも さばかんも 空に任したんヨー
人がおるんヨネー 人がそこにおるんヨネー

何かはワカラン足りんものが あったけん
生きてみたんも許される事じゃろう

自分の明日さえ目に写りもせんけれど
おせっかいな奴やと笑わんといてくれ

理屈で愛など手にできるもんならば
この身をかけても すべてを捨てても幸福になってやる
人が泣くんヨネー 人が泣くんヨネー

選ぶも 選ばれんも 風に任したんヨー
人がおるんヨネー 人がそこにおるんヨネー

心が寒すぎて 旅にも出れなんだ
アンタは行きんさい 遠くへ行きんさい
何もなかったんじゃけん
人が呼びよるネー 人が呼びよるネー

行くんも とどまるも それぞれの道なんヨ
人が生きとるネー 人がそこで生きとるネー
人がおるんヨネー 人がそこにおるんヨネー

落陽

作詞 岡本おさみ 作曲 吉田拓郎

しぼったばかりの夕陽の赤が水平線から もれている
苫小牧発・仙台行きフェリーあのじいさんときたら
わざわざ見送ってくれたよおまけにテープをひろってね女の子みたいにさ

みやげにもらったサイコロふたつ手の中でふれば
また振り出しに戻る旅に 陽が沈んでゆく

女や酒よりサイコロ好きですってんてんのあのじいさん
あんたこそが正直ものさこの国ときたら
賭けるものなどないさだからこうして漂うだけ
みやげにもらったサイコロふたつ
手の中でふれば また振り出しに戻る旅に陽が沈んでゆく

サイコロころがしあり金なくしフーテン暮らしのあのじいさん
どこかで会おう生きていてくれろくでなしの男たち
身を持ちくずしちまった男の話を聞かせてよサイコロころがして
みやげにもらったサイコロふたつ手の中でふれば
また振り出しに戻る旅に 陽が沈んでゆく