マムシ: マムシによる咬傷が明らかであれば,全例入院経過観察とすべきである.牙痕は8mmほどの間隔で2個ないしは1個.症状は牙痕中心の腫脹,疼痛,皮下出血あり.重症化すると患肢の緊満,しびれ,冷感,水疱形成、複視・霧視(かすみ目)、腎不全、DIC、ショックが起こる.マムシ毒による症状より,抗血清投与による副作用を重視し,その使用を行わないとする意見もあるが,腫脹が中枢側までおよぶ症例や,1〜2時間の経過観察で症状の進展が認められる症例は,抗血清を使用するほうが無難であろう.とにかく、軽く中枢側をしばって、患者を動かさないで病院に運ぶことが大切.
ヤマカガシ: (北海道と南西諸島を除く日本列島)牙痕は不鮮明,いくつかの小さな傷.ヤマカガシ咬傷では,痛みや腫れはほとんどない.数時間の潜伏期間後の咬傷部や歯ぐき,口腔および鼻粘膜からの出血あり.重症になると頭痛、腎不全、DIC、ショックなどの全身症状が起こる.
蜂刺傷: 蜂の種類,刺傷の数,既往の有無などにより症状はさまざまであるが,重症の場合はアナフィラキシーショックから死亡することもある.刺傷部の腫脹と疼痛だけの症状で6時間以上経過した症例では,局所の処置だけで帰宅させてもよいが,他部位の発赤腫脹,呼吸困難,低血圧などの症状を呈するものは,入院経過観察を要する.
クモ刺咬症: ゴケグモ(widow spider)が毒をもつ.セアカゴケグモが関西で,ハイイロゴケグモが関東で生息しているのが確認されたが,刺咬症を発症した人は最近日本には出ていない.針で刺されたような痛みが約30分後に再発,その後次第に筋肉痛,筋痙攣が生じる.嘔気・嘔吐,発汗,発熱など.抗毒素血清あり.重症化した場合に使用.軽症なら鎮痛剤投与.→治療.
カバキコマチグモによる刺咬症が多い.局所の疼痛,発赤,腫脹が主で,全身症状をきたすことは少ない.局所の激しい疼痛に局所麻酔,抗ヒスタミン薬投与.