初めての海釣り
 

 

 

日  程      平成16年5月22日(土) 日帰り

費  用      基本釣り料(4時間) 1,000円×2人

           駐車料金 500円

           貸し竿代(えさ代込) 1,300円×2人

行  先      神戸市立平磯海づり公園 http://www.umiduri.com/

メンバー      みいちゃん 吟遊詩人

            

 

 

みいちゃんが魚釣りをやってみたいと言うので、わたしが既に予定していた芦屋でやっているさつきの展示会を観に行くのにつきあってもらって、そのあと午後から神戸の平磯海づり公園に魚釣りに出かけることにした。

わたしは田舎で川や池で釣りをやったことがあるけど、海釣りはこれが初めて。みいちゃんに至っては、全く釣りは初めてという初心者コンビだった。

神戸大塩の道路沿いの店で昼食にパスタを食べた後、車で5分ほど走り、目指す海づり公園に着いた。

やる気満々のみいちゃんは、魚を入れるクーラーボックス、折りたたみ式の椅子(なんとわたしの分まで!愛だ・・・)、食べ物を入れるクーラーボックスと準備万端でやってきた。

 

釣竿は売店で餌付のものを貸してくれる。ちゃんとリールも付いている。

釣り針や錘はワンタッチでセットすることが出来るようになっていて、便利だ。

売店のおじさんが、竿の一本に針と錘をセットしてくれた。

餌はなんと!「ゴカイ」

グロテスクなミミズみたいなやつ。ぎゃーーー!

オガクズにまみれてパックに入っていたけど、外からも見える蠢いている様子が異常に気持悪い。

でも餌としては、これが最高だろう。

川釣りでも、ご飯粒やサツマイモ、うどんなどを餌にして釣ることがあるけど、やっぱりいちばんよく釣れるのはミミズだ。

ミミズを餌にするとき気持悪いので、いつも炊事手袋をして餌付けをやっていた。

今回もこんなことを予想して、炊事手袋と軍手を持ってきた。

みいちゃんにもアドバイスをしておいたので、彼女も持ってきたと言っていたが、ゴカイを見た瞬間、

「こんなんあかんわー!!付けられへん、違う餌ないんですか?海老とか、気持悪くないやつ!!」

と、叫んでいた。

「こっちの方がよう釣れんねんでー」

とおじさんは言ったが、みいちゃんは譲らず、結局、餌はゴカイと海老のパックを1つずつもらった。

 

わたしたちは、山のような荷物(みいちゃんは、折りたたみ椅子、クーラーボックス、釣竿、わたしはバケツ、クーラーボックス、釣竿。そしてそれぞれ自分のカバン)を持ち、よたよたと釣り場である岸壁に行った。

午後も少し過ぎていたので、たくさんの人が釣りを楽しんでいたが、駐車場に止めてある車の感じでは、これでも少ない方だろう。

わたしがもう一本の釣竿に釣り針をセットしていると、みいちゃんは早速海老を取り出して餌付けをしている。

次は「ゴカイ」だ・・・。

これはかなりの決意が要るでー。

息を詰めて、蠢くゴカイを見た。怖くて蓋が開けられない・・・。

「きゃー!!これ何ーー!!気持悪いー!!」

緊張で張り詰めた空気の中をみいちゃんの叫び声が響く。

ゴカイよりも気持が悪いもんがあるんかいっ!

振り向くとみいちゃんが海老の入った餌のパックを指差していた。

「これ何!これっ!」

見ると小さなカナブンが止まっている。

わたしは無視した。

カナブンよりゴカイの方が何億倍も気持悪い。

軍手をした手で恐る恐るゴカイを1匹つまみ出した。自らの運命を悟ったゴカイは、猛烈にくねりまくっている。

みいちゃんは静かになった。カナブンを自分でなんとかしたのだろう。

海老を付けて釣りを始めたようだ。

わたしは死ぬ気でゴカイを掴んで、針に付けた。

針が刺さると、気持悪いゴカイの汁がにじみ出て、叫びそうになったが我慢した。

針は2つ付いているので、ゴカイも2つ付けねばならない。

針の先の返しが軍手の縫い目に引っかかったりして、大変だったが、何とかうまく付けられた。

よーしっ!釣るぞっ!

 

海に針を投げ入れる。

はじめは竿とリールの扱い方に慣れなくて苦労したが、だんだんに上手く遠くに投げ入れられるようになった。

ほどなくして1匹目のベラを釣り上げた。

釣れたー!わーい♪

ベラは結構大きくて、子供の頃に煮付けのベラを食べたのを思い出した。

こんなのが釣れるってすごいよね。

みいちゃんは隣で、餌につけた海老がすぐに無くなるとブツブツ言っていた。

わたしは魚が突いて餌を食べているんじゃないですか?と言ったが(実際、わたしの竿のゴカイも突かれて半分くらい短くなっていた。)、みいちゃんは

「違う。海老がすぐ取れてしまう。」と言って、海老を付けた針を投げ入れた。

海水に仕掛けが入る前に、空中に海老が飛んでいくのが見えた。ぷっ

そうこうしていると、またわたしの竿がヒットして、今度は小さな黒い魚が釣れた。

なんだろう・・・?アイナメ?

針に付けた海老を海に撒いているみいちゃんのブツブツの声が大きくなっていく。

うるさい・・・。

仕方ないのでみいちゃんを黙らせるべく、みいちゃんの針にゴカイの餌を付けることにした。

だんだんにゴカイにも慣れてきて(慣れてくる自分が嫌だけど)、それほどドキドキ、ギャーギャー大騒ぎしなくても餌を付けられるようになった。

川釣りに行ったとき、父は、「釣をしたいのなら、餌を付けて、釣った魚の針を外すことが自分で出来なければ行ったらあかん。」と言って全然餌を付けてくれないので、手袋をしてミミズを自分で付けるか、食いつきの悪い他の餌で妥協するかしていたが、そのスパルタ教育が役立って、釣のときにはかなり度胸の付いているわたしだった。

みいちゃんにその話をしたが、何と言ってもカナブンでビビッている人である。

馬耳東風状態で、「だって気持悪いもーん。」と言い張った。

天気は曇っていたのが、だんだんに晴れてきて、ジリジリ太陽が照りつける。

帽子を被っているけど、かなり日焼けしているだろう。日頃せっかくビタミンCを飲んで美白しているのに・・・。

ゴカイの餌でやってみると、みいちゃんもすぐにヒットした。

釣り上げたのはベロンとしたヘンな魚。

・・・フグだった。

膨らんでいないフグは貧相です。

それでもみいちゃんは初めて魚を釣り上げたのですごく喜んでいた。

わたしたちの隣では、おじさん、おばさん、小さな子供の3人連れが釣りをしていたが、親子ではないみたい感じだった。(いろいろ類推してみたが、関係はわからなかった。)

おばさんがいちばん釣りに詳しいらしくて、いろいろな仕掛けを使ったり、ウンチクを述べたりしていた。

でも3人とも何も釣れていないようだ。

みいちゃんがまたヒットした。

今度釣り上げたのはガシラだった。

わたしはあまりよく知らなかったが、ガシラは結構高価らしい。

みいちゃんは至極喜んだ。

しかしみいちゃんは魚が掴めないのである。いくら魚を釣り上げても針を外したりなんて出来ないのである。(しつこいようだが、ただ釣り上げるだけの人だった。)

みいちゃんがガシラを釣り上げたとき、隣のおばさんが飛んできて、何故だか針を外してくれた。(1匹目のフグはわたしが外した。)

わたしは2匹釣り上げてからはさっぱりだった。

そのうち仕掛けが海底に引っかかったりして針を無くしてしまい、2人とも同じ頃に予備の針も失ってしまった。

いい潮時だろう。釣り始めてから2時間ほど経っていた。

荷物をまとめながら、釣った魚の処分の話をしていると、さっきのおばさんがやってきて、魚を処分するのなら、ボク(小さな子供)がまだ全然釣れていないから、(ってボク以外も釣れてないじゃん。)ボクにあげてと言うので、写真だけ撮って魚はあげることにした。

わたしが先に釣ったベラとアイナメはもう死んでいたが、フグとガシラは生きていたのでそれをあげようとすると

「フグは要らない。」と言って海に捨てた。(フグは海に浮いてました・・・。ショック死?)

そして死んだベラとアイナメ、ガシラを自分たちのバケツに入れ替えた。

上から順に、みいちゃんが釣ったフグ、ガシラ、わたしが釣ったベラ、アイナメ(?)。

他の人たちに比べて、2時間ほどでこれだけ吊り上げたわたしたちは、かなり成績が良かったようだ。

 

わたしもかなり楽しんだが、みいちゃんはすっかり海釣りにハマったようである。

ボウズだったらここまで楽しめなかったと思うが、とにかく2人とも釣れてよかった。

重い思いをして持ち運んだ椅子は、結局使わず仕舞い。

冷えたグーラーボックスの中のジュースやお菓子も、釣りに夢中になって、最後まで飲まず食わずでやってしまった。

帰りの車の中でみいちゃんが

「あの魚、おばさん、ボクにとか言ってたけど、自分で持って帰って食べるね・・・。」

と言った。

「なんで?」

「だって、生きているのに食べられないフグはすぐ捨てて、死んでいるのに食べられるベラとかはもらってたやん。」

ほんまや・・・。

まあ食べてもらえる方が魚も無駄死にせずに済むわけだし、成仏できるだろう。

みいちゃんは最後の最後まで、ガシラは値打ちがあると力説していた。

この調子では、多分また行くだろう。

今度行くときには、2人ともマイ竿持参で。

 

風来のTOPへ