海に針を投げ入れる。
はじめは竿とリールの扱い方に慣れなくて苦労したが、だんだんに上手く遠くに投げ入れられるようになった。
ほどなくして1匹目のベラを釣り上げた。
釣れたー!わーい♪
ベラは結構大きくて、子供の頃に煮付けのベラを食べたのを思い出した。
こんなのが釣れるってすごいよね。
みいちゃんは隣で、餌につけた海老がすぐに無くなるとブツブツ言っていた。
わたしは魚が突いて餌を食べているんじゃないですか?と言ったが(実際、わたしの竿のゴカイも突かれて半分くらい短くなっていた。)、みいちゃんは
「違う。海老がすぐ取れてしまう。」と言って、海老を付けた針を投げ入れた。
海水に仕掛けが入る前に、空中に海老が飛んでいくのが見えた。ぷっ
そうこうしていると、またわたしの竿がヒットして、今度は小さな黒い魚が釣れた。
なんだろう・・・?アイナメ?
針に付けた海老を海に撒いているみいちゃんのブツブツの声が大きくなっていく。
うるさい・・・。
仕方ないのでみいちゃんを黙らせるべく、みいちゃんの針にゴカイの餌を付けることにした。
だんだんにゴカイにも慣れてきて(慣れてくる自分が嫌だけど)、それほどドキドキ、ギャーギャー大騒ぎしなくても餌を付けられるようになった。
川釣りに行ったとき、父は、「釣をしたいのなら、餌を付けて、釣った魚の針を外すことが自分で出来なければ行ったらあかん。」と言って全然餌を付けてくれないので、手袋をしてミミズを自分で付けるか、食いつきの悪い他の餌で妥協するかしていたが、そのスパルタ教育が役立って、釣のときにはかなり度胸の付いているわたしだった。
みいちゃんにその話をしたが、何と言ってもカナブンでビビッている人である。
馬耳東風状態で、「だって気持悪いもーん。」と言い張った。
天気は曇っていたのが、だんだんに晴れてきて、ジリジリ太陽が照りつける。
帽子を被っているけど、かなり日焼けしているだろう。日頃せっかくビタミンCを飲んで美白しているのに・・・。
ゴカイの餌でやってみると、みいちゃんもすぐにヒットした。
釣り上げたのはベロンとしたヘンな魚。
・・・フグだった。
膨らんでいないフグは貧相です。
それでもみいちゃんは初めて魚を釣り上げたのですごく喜んでいた。
わたしたちの隣では、おじさん、おばさん、小さな子供の3人連れが釣りをしていたが、親子ではないみたい感じだった。(いろいろ類推してみたが、関係はわからなかった。)
おばさんがいちばん釣りに詳しいらしくて、いろいろな仕掛けを使ったり、ウンチクを述べたりしていた。
でも3人とも何も釣れていないようだ。
みいちゃんがまたヒットした。
今度釣り上げたのはガシラだった。
わたしはあまりよく知らなかったが、ガシラは結構高価らしい。
みいちゃんは至極喜んだ。
しかしみいちゃんは魚が掴めないのである。いくら魚を釣り上げても針を外したりなんて出来ないのである。(しつこいようだが、ただ釣り上げるだけの人だった。)
みいちゃんがガシラを釣り上げたとき、隣のおばさんが飛んできて、何故だか針を外してくれた。(1匹目のフグはわたしが外した。)
わたしは2匹釣り上げてからはさっぱりだった。
そのうち仕掛けが海底に引っかかったりして針を無くしてしまい、2人とも同じ頃に予備の針も失ってしまった。
いい潮時だろう。釣り始めてから2時間ほど経っていた。
荷物をまとめながら、釣った魚の処分の話をしていると、さっきのおばさんがやってきて、魚を処分するのなら、ボク(小さな子供)がまだ全然釣れていないから、(ってボク以外も釣れてないじゃん。)ボクにあげてと言うので、写真だけ撮って魚はあげることにした。
わたしが先に釣ったベラとアイナメはもう死んでいたが、フグとガシラは生きていたのでそれをあげようとすると
「フグは要らない。」と言って海に捨てた。(フグは海に浮いてました・・・。ショック死?)
そして死んだベラとアイナメ、ガシラを自分たちのバケツに入れ替えた。

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上から順に、みいちゃんが釣ったフグ、ガシラ、わたしが釣ったベラ、アイナメ(?)。
他の人たちに比べて、2時間ほどでこれだけ吊り上げたわたしたちは、かなり成績が良かったようだ。
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