お母さんはロボット


私は肩こりがひどくて高周波治療器を愛用している。効いてるか効いてないかわかりにくいが、肩こりがひどくて頭痛がするときなど、これを付けていると知らぬ間に頭痛が和らいでいたりするから、やっぱり効いている気がする。最新型はどうなのか知らないが、私の持っているのは淡いグレーの5百円玉くらいの円盤状の形で、電池チェック用の直径2mmほどのちいさな丸窓が1つあって、充電できていると赤い電気が点滅する。赤い電気がつかなくなると充電しなければならない。

この赤い点滅がなかなかの代物で、暗闇だと服を透して見えてしまうのだ。厚手のものなら大丈夫だけれど、Tシャツ、Yシャツ、薄手のトレーナーくらいなら簡単に透過し、怪しい赤い光が肩から放たれるのである。

ある日、肩にこの治療器を付けている(粘着テープで直に肌に貼る)のを忘れて、子供と一緒にお風呂に入ろうとしたときのこと。息子が服を脱ぎだした私の方を見て「お母さん!」と叫んだまま固まってしまった。母の肩に怪しい赤い光を見たのだ。全部脱いでしまうと、そこにはますます怪しい、2個の円盤が(左右対称に1個ずつ付ける)くっついている。そして、それが点滅する赤い光を放っているのだ。絶句している息子に母はすごい秘密を打ち明けた。
「あっ、とうとうばれたか。お母さん実はロボットでこれで充電してるねん」
「うそやー!ロボットとちゃうわー!うそや、うそや、うそやー!」
信じたくないけど目の前のこれは一体何?ボクのお母さんがロボット??息子はパニックだ。

パニクる息子の様子がかわいそうではあるが面白くて、母は調子に乗ってどんどんすごい秘密を暴露していった。
「何言うてんの。アンタかってホンマはロボットやねんで。自分では人間や思てるやろけど、寝てる間にお母さんがこっそり充電してんねんで」
「うそやー!うそやー!」半狂乱に叫ぶ息子。
「まあ、そう思ててもエエけど。せやな、人間ということにしとこか」図に乗る母。
息子は、マジに怒ってしまった。子供ってこういうことに異様に真剣に怒り出すのだ。

「そんなことしてたら子供がひねくれるでー」と友人に言われてしまったが、日頃、世話を焼かせてくれるお返しにこのぐらいええよなーと子供をおちょくって楽しむ悪い私。

その後、息子はたびたび「お母さん、ロボットちゃうよな?」と心配げに聞いてくるが、いまだ「そういうことにしとこか」とはぐらかし、はっきり「ロボットじゃない」とは言わないものだから息子は不安で仕方ないらしい。「ちゃんと違うって言うてよ!」とせがむ息子がいじらしくってカワイイ。
息子は6歳になったばかり、この先いつまでロボットおかあさんで楽しめるだろうか。

<子供をからかう話-番外編->
先日、娘(こちらは3歳)が保育園で節分の鬼の面の工作をしてきた。「毛糸でなー、オニさんのまゆげ作ってなー、糊で貼ってん」とうれしそうにお話してくれるので、母もすっかりうれしくなって「Kちゃんのまゆげはなー、お母さんが糊で貼ってんでー」とつい、言ってしまった。「ちゃうわー!はじめっからついてるの!」と娘が激怒したのは言うまでもない。もう、かわいいったら!これだから子供をおちょくるのは止められません!

(1999.1.29)

雑記帳目次に戻るホームページに戻る