怒られやすいタイプ?!

思い起こせば、小学校の頃から私はよく先生に怒られる子供であった。
理由はただ一つ、授業態度が悪いということだった。授業中におしゃべりするわけだ。

一体何をしゃべっていたんだか、うるさかったらしい。らしいというのは、自分であんまり意識していなかったからだ。私よりうるさくしていた子はいくらでもいた気がするのに怒られるのは決まって私だった。
小学校の頃、担任の先生と交換日記みたいのをしていたけれど、その中でも「なんでわたしばっかり怒るんですか?○○さんだっておしゃべりしてたのに!」と疑問を投げかけている(そんなたいしたもんではないか........)。先生の返事がどうだったか、そのノートが今手元に無いのではっきりわからないが、私の?を解消できるようなもので無かったことは確かだ。理不尽に怒られている!という意識はこの頃から芽生えはじめていた(なんだか大袈裟だ)。

中学校に上がっても怒られた。中学校ではおしゃべりはしなかったのにやはり授業態度が悪いと言って怒られたのだ。これには非常に不本意だった。一体どういうわけだ?

中でも一番ショックだったのは大好きな森井先生(この際本名だ!ちなみに国語の女の先生で授業がとても面白かった)に怒られたことだ。
私は、この先生の授業が好きで非常に熱心な態度で臨んでいた。もちろんおしゃべりもしなかった。
思い当たることがあるとすればただ一つ。あるとき、段落ごとに先生がランダムに生徒を指名し、本読みをしているときだった。私は不覚にも教科書のお話に入り込んでしまった。
音読のスピードは遅いので知らないうちに自分でどんどん先まで読み進んでしまったのだ。そして、不運にもそんな時、次の読み手に指名されてしまったのである。どこから読むのかわからない。あわてふためく私。なんてついていないんだろう、大好きな森井先生の前で失態だ!..........。

そんな事件(?!)が1回だけあった。それなのに職員室でわたしをさんざんこきおろしたのだ。具体的になにが悪いと言わず、とにかく「授業態度が悪い!」というのだった。どうも、私の身に覚えのある1回の事件だけが原因ではなく、日常的に態度が悪いと認識されていたようだ。

それから先生不信に陥り、もちろん森井先生にも失望して授業は楽しくなくなった。確かにT先生の数学やM先生の地理なんかはつまらなくてぼんやりしていたし、先生を見る目つきもあんまりよろしくなかったかもしれない。怒られてもまあ少しは仕方ないかもと思えないことも無かった(完全に納得できたわけではない)。でも、森井先生の場合、この授業だけはと楽しみにしていただけにショックだったのである。

私は、それほどデリケートでも無いし、極端な行動に出るタイプでも無かったからよかったものの、場合によっては自殺や不登校、学校に放火なんて騒ぎがおこっていたかもしれない。「先生は何にもわかってくれない!」と問題をおこす子供の気持ちってこういうことから歪みはじめるのかもしれない(ホンマか?!)。

高校に入ってもやはり怒られた。特に国語の先生には嫌われた。確かに怒られる原因はあったが、怒られるのが私一人なんである。なんでわたしばっかり???と思ったがどうもそういう運命らしい。

ある現国の時間、なぜかクラスのほとんどの生徒が内職で倫社の勉強をしていた。なぜそうだったかは忘れてしまったが、私も倫社のノートをながめていた。そして、ほとんどがそうだったと先生もわかっていたに違いないのに(だってみんなあまり隠そうとしないんだもん)、なぜか怒られたのは私だけだった。
その先生は、私を立たせ、続く休み時間も説教し続け、次の授業が始まるので仕方なく切り上げた。国語の時間中に倫社の勉強をしていたのは事実なので反論もできずその時間が早く過ぎてくれることをただ祈るばかりだったが、疑問は残った。なんで、わたしだけ?

そんなこんなで私は理不尽に(と自分では思っている)怒られ続けた。そして、私はどうせ怒られるのなら自分でも納得できるようにと、意識して授業態度を悪くするようになってしまった。(なんて後ろ向きな考えだろう!それともただの言い訳か)

おかげでそれ以降、怒られてもさほど先生をうらまなくても済むようになった。嫌いな化学の先生の授業で「本持って後ろに立っとれ!」と言われても先生の顔が少しでも遠くになって嬉しいくらいだった。物理の先生は気が弱くて私を恨みがましい目でじと〜っと見るので気の毒だったが大嫌いな物理(それなら物理をとるな!)をおとなしく聞いているのは無理だった。うるさくするなら授業に出てくるなと言いたかったに違いない。私はというと、出席が足りないとと通してもらえないし、さぼるのは気が引けたので(なぜかおしゃべりは気が引けなかった)、先生にとっては余計たちが悪い生徒だったかもしれない。しかし、日本史の先生は授業を全く休んでもいないのに欠課(学校は休んでいないが授業に出ていないこと)を何時間もつけてくれて、私はちょっとあせったけど単位はちゃんとくれたので抗議はしなかった。真偽を確かめはしなかったが、あれは先生の逆襲だったに違いない。

大学に進学した私はその勢いおとろえることなく怒られ続け、先生がマイクでお話するような階段状になった大講義室で「そこの学生!」と指をさされマイク越しで怒られたこともある。皆の視線がいっせいに私に向いたのは言うまでもない(しかし、その講義もちゃんと単位がとれたから不思議だ)。私とならんで座るととばっちりを喰うからいやだとある友達(非常に口数が少ない)に言われてしまったが、その友人は結局そのスリルがたまらなくなったのか長らく私のそばに座り続けてくれた。
ある時、常に一番前の席で授業を聞く超真面目なクラスメートが、バッと後ろをむいて「静かにして!」と叫んだときは、悪いことしたなあーと思った。先生に怒られるのが前提(?!)なので、先生に怒られても平気だがクラスメートに怒られると弱いのだった。

大学を出てからはあまり怒られることはなくなった。授業が無いからだ。
(ただし、職場で話し声が大きくて電話の声が聞こえないと怒られたことが何度か........。)

理不尽に怒られ続けた結果、私は余計に悪い子になってしまった。今、教育職についておられる方は、怒るときにはちゃ〜んとその子が納得できるような怒り方をしましょう!(フン!アンタが単にしゃべりすぎなんや!ってか?)

ところで、今、私が心配しているのはしゃべりすぎの我が息子だ。
現在、保育所で年長の彼は「ちょっとその口黙らんか!」と担任の先生に言われている。話を聞くとそれは全然理不尽ではないのだが、幼き日の私の場合もひょっとしてこんなんだったのだろうか?遺伝子は嘘つかないだろうし.......。う〜む、タイムマシンがあればその辺を確かめてみたいものだ。さて、真実は如何に?

(1998.10.24)


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