後記


ポラロイドピンホールカメラの撮影にあたって、感じたことと、メモしておきたいことを以下にまとめる.

計算上のF値は、85mm÷0.3mm=283 となり、
おおよその露光時間は、f8でのシャッター速度に1024倍した時間であるはずだが、
実際にはf16でのシャッター時間に1024倍した時間露光するほうがうまく撮影できた.
(ポラロイド669フィルムに限る.その他のフィルムは不明)

最初のものは比較的青くならなかったが、その他のものではかなり青くなった.

いずれもこのフィルムの相反不軌特性のためと考えられる.

ポラロイド社の公開している669のデータを次に示す.
「露光時間が0.01秒を越えると青みがかり、0.1秒を超えると露光時間が多く必要となる.」
と読めると思われるが、ちょっと謎.
というのは、(分光感度の縦軸の単位もそうだが)相反則の縦軸の単位が不明だから.
特性曲線のグラフにいたってはもっと意味不明.
解る方教えてください.お願いします.nishino@jtw.zaq.ne.jp

669data

出来あがりが青くなるのであれば、その色を生かす撮り方をするべきと考え、空と雲を撮ってみたが、意外に雲は動くのでうまく撮れなかった.

つぎは、色温度変更フィルターを試してみる予定.

また、もう少しボディ強度が欲しいのと、もっと広角にしたいのと、露光時間をもう少し少なくしたいので、木箱に改造したいと思っている.でも、壊すのも惜しいから躊躇もしている..

ピンホール自体は、自作のものより格段に出来がよく、逆光でもバリによる滲みはなかった.(2番目の写真

2001.8.16


写真について大変詳しい「おやじ」さんの主催されるBBSで聞いてみました.(おやじさんのwebページ
おやじさん自らこんなコメントを寄せていただきました.
本当にどうもありがとうございます.

特性曲線でわかるのはカラーフィルムの発色や階調の傾向ですね。リバーサルだと中間濃度はD0.8〜1.2で、
ここを中心にRGBを重ね(グレイバランスを取る)て感材の傾向を見ることになります。
直線部分の傾きは感材の硬調/軟調を表していて、ポジ画像の理想値としては約45度と言われてます。
(実際には目的や感材などで異なります。ネガなんかは非常に緩やかで、印画紙はもっと急角度です。)

一応カーブが3本揃うのが理想ですが、実際には化学反応で作るので揃うことはありえないです。
また、ほとんどの感材が高濃度でばらばらになるんですが、人間の目には同じ「黒」にしか見えません。
実際の写真で重要になってくるのは、どちらかといえば中間域から明るい側(低濃度側)です。
この濃度域の曲線で、感材の大体の発色と階調の傾向を見ることが出来ます。

でも、実際にはそんなグレイバランスを取るような補正で撮影してる人はいませんよね。(^_^;)
それに加え、乳番による製造ロットのバラツキや、ラボや処理条件で特性曲線は変化します。
ですから、わかるのはあくまでも「傾向」として、目安程度にしかならないんですよ。

#実際には特性曲線の差が全然写真に出なかったり、逆に線幅1本のズレで大きく変わったりします。
#写真とつき合わせた時に「ああそんな傾向があるな」ってわかるくらいのもんです。(^_^;)

それより気になるのは分光感度です。Bがブロード(幅広)で、UV領域にも割と感度があります。
レンズのないピンホールはダイレクトに光が届くと思うので、SL39をかけた方がいいかも..。
でも、1番の問題は相反測でしょうね。ウォームな色調にしたいし、やっぱフィルター使うかな。

なお、長時間露光による相反測では、感度低下を起す傾向にあります。この時全部の色が同じように
「低下」してくれれば「露出補正」だけで済むんですが、色によってまちまちなんです。
そのためカラーバランスが崩れ、「色補正」もしないといけなくなるんです。

#相反測のグラフの縦軸はおそらく濃度(D)でしょう。(多分、反射濃度かな..)

ということは、青色を自然な色にするには、相反則不軌分を補う色温度変更フィルターだけではなく、UV域をカットしてブルーの反応を押さえるアプローチもあるということかな.次ぎ試してみよう.

しかしいろいろ勉強になるネットの世界です.
世の中、博学で親切な人が多いです.感謝.

2001.8.18.


こんどはポラロイドのA氏からメールを頂きました.びっくり!(@_@) で、なんかうれしい.(^_^)v

よると、

タイプ669というフィルムはすでにお気づきの通り、長時間露光すると青味に振れる
特性を持っています。特性曲線の横軸と相反則特性の縦軸は英語ではRelative Log
Exposureと言って日本語では基準露光時間とでも訳すのでしょうか、

...中略...

とにかく、ネガに塗布してある赤を感じる銀が青や緑を感じる銀よりも弱い光に対し
て鈍い(光を感じない)わけです。まあ2−3秒程度でしたら何とかカラー写真らし
く見えますが、10秒を超えるとほぼ青一色になってしまいます。ちなみにフジの
FP-100Cはマゼンタがすごく強くなります(緑を感じる銀が鈍い)。

逆にこの青味にこける特性を利用して、プロのカメラマンはタングステン光(2,800K
- 3,200K=黄色い光)を使った長時間撮影のプルーフィングに、また光学顕微鏡ユー
ザー(光源の電圧により2,500K〜4,300K)はノーフィルターで顕微鏡のカラー写真
(半導体のパターンや染色した細胞組織)を撮っています。すなわち黄色い光を青い
フィルムで撮るとちょうど打ち消されてニュートラルになるというわけです。

ハンドブックに書いてある通り、T-669には色温度変換フィルターの85C(相当黄色い
フィルター)が必要ですが、コニカカラー機材が売っているLEEフィルターのアン
バー系フィルター(#203、159、 etc.)でも構いません。

とのこと.

こりゃ、もっとがんばらねばいかんなぁ、とおもう今日この頃です.ハイ.

2001.8.19.


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