#019 dousenbou...
原山(京都府和束町)〜童仙房〜月ヶ瀬口〜高山ダム〜大河原(京都府南山城村)
2001.05.20.sun
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*access... *one point... *map...
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00
蓼科から帰って2週間。
体調が悪い。
咳が止まらず体もだるい。
しかし天気が良いのでおそるおそるザックを担いで電車に乗る。
01
和束から南山城に抜ける今回の自然歩道上に、
補給ポイントは「童仙房」と呼ばれる開拓地以外になさそうや。
出発地点の「原山」もバス停以外は民家しかなかった。
バスにのる「賀茂」駅前にもコンビニはない。
電車に乗る前におにぎりとお茶・ソーセージ・飴・チョコの最低限の食料を買っておいた。
約1時間半でJR賀茂駅に着く。
バスは20分後に発車や。
駅前にスーパーがあるので覗いて見た。
せっかくやから、
お茶をもう1本とバナナを3本、
買って出る。
02
買い物帰りの人4〜5人を乗せてバスは12時10分に出発した。
和束町内を抜けて終点原山に着く頃は乗客は自分一人になっていた。
原山バス停周辺は、
家は多いが人の気配が少ない静かな所やった。
すぐに細い舗装路になってY字路。
迷っていると家の中から、
「童仙房か?あっち(左)や!」
とおっちゃんが教えてくれた。
やるな和束町。
田んぼの中の舗装路を歩く。
天気も良く気分も良い。
調子の悪さも忘れる位や。
03
集落を抜け山沿いに坂を登っていく。
家は見なくなったが、
斜面一帯が茶畑や。
目の覚める緑色にシャッターを切った。
森と畑が交互に続く道を、
どんどん登る。
さすがに登りになるとしんどくなる。
病み上がりのせいかめまいに似た疲労感をかかえて進む。
畑はなくならないが人はほとんどいない。
(昼休みやったからかな)
車が通るせいか舗装路が続き足にもかなり負担がかかる。
もう茶畑には目もくれず半ば下を向きながら歩く。
と、
目の前に蛇!
「うわっ!!」
と飛び上がって後ろに下がったが、
・・・死んどった。
でも蛇が出るんか・・・
04
結局茶畑はなくならず、
車道に出てしまった。
やはり茶畑は続いていた。
民家と製茶工場がぽつぽつ見え始めると、
童仙房に入ったみたいやな。
ここは明治時代の公家さん達の入植地で、
古い順に「一番」「二番」・・・と数字が地名になっている。
「七番」までは比較的近くに集まっていて、
離れた「八番」「九番」まである。
自然歩道は「三番」「四番」「五番」を抜けている。
日曜日にもかかわらず、
製茶工場からは機械の音が忙しそうに聞こえてきた。
しかし、
人は各工場に2〜3人位しか見えず、
外には人が全然歩いていなかった。
05
2時15分、
「四番」中心にある旅館『童仙房山荘』前に到着。
といっても人気は全然なく、
居心地が悪いので、
前の自動販売機でジュースを飲んだだけで、
ここを立ち去った。
しかし、
お茶の産地やのに、
お茶の葉を売ってないんが拍子抜けや。
他のところでは結構あった無人販売店もなかったしな・・・
そういえば、
ハイカーも全然おらんかったな。
そこから数百m先に東屋とトイレが見えた。
「自然歩道」の休憩所は看板で分かった。
側の寺は「泥沮寺(ないおんじ)」と書いてあった。
コンクリート製のぐらぐらする丸太テーブルで、
遅い昼食にした。
人が全然おらんせいかとても静かやった。
06
腹ごしらえも済んで先を急ごう。
「五番」集落に学校が見える。
大規模な道路工事が行われていて、
正規ルートは通行止めになっていた。
でかい舗装路の敷設の為に、
小川沿いの小道はショベルで掘り返されていた。
(コンクリートの護岸の道がまたひとつ増えるんか・・)
ここから山のなかの舗装路を進む。
何もない山のなかに記念植樹の桜が一定間隔で植えられている。
当然歩く人などいないのに・・・
まだ4月の花が咲いている季節やったらいいけど、
何か空しい。
時々車が通るその道を、
一人とぼとぼと歩いていた。
07
峠を越えて道は下り坂になる。
と、
前に何か動くもの・・・
「蛇や!!!」
後ろからバイクが近づいてきた。
気付いて欲しくてわざとオーバーに、
道の上に何かいるようなジェスチャーをしてみた。
何とかバイクは気付いて蛇を避けて通りすぎた。
道を渡り終えた蛇は排水溝に落ちて、
溝沿いに動いていた。
08
民家がまた見え始めるとそこは野殿の集落。
予想通り店がない。
仕方ないので先にいこうと思ったら、
反対方向に自動販売機が見えた。
飛んでいって水分補給。
隣が騒がしいので見ると、
消防団が放水ホースを子供達と巻取っていた。
消防訓練やろうか、
ここ数時間で一番ようさん人を見た。
野殿を過ぎるとまた山のなかに入り、
くねくねと下り始めた。
遥か眼下に月ヶ瀬口の集落が見えるから、
かなり高いところにいる事になる。
09
季節柄か知らんけど、
道端の草は毛虫だらけで鳥肌が立ちそうやった。
(上から落ちてきたら失神もんやな)
山側の斜面を見ていると、
砂地のさらさらな斜面で、
造成した所が崩れて上の木の根がむき出しになっている。
谷側の斜面も同じやったら崩れてるはず・・・
山側は毛虫と根っこむき出しの木・谷側は地盤が弱いので近づけない、
道の真ん中をこわごわ歩く。
約70分、
延々と曲がりくねった道を歩き続けて国道163号線に出た。
地図を良く見ると国道沿いに200m程移動や。
反対側にルートを発見したが、
車が多すぎて渡れない。
(自然歩道やぞ?こんなことがあるんか?)
横断歩道も無かったぞ!
10
何とか渡ってまた斜面を車一台しか通れない道を歩く。
月ヶ瀬口の駅に向かっているはずやのに、
山のなかを歩く。
疲れと毛虫と何処かわからへんのとで参った。
左手は沼地、
右手は山。
目の前に建物が見えたが、
周囲をフェンスで囲まれたその施設は、
どうも犬を大量に飼育しているみたいで、
前を通ると、
ごっつい犬数匹に思いっきり吠えられた。
何も悪いことしてへんけど慌てて退散した。
11
回りに毛虫・体は疲労と空腹。
駅が近いはずやのに予想以上に回りに何もない。
ガイドブックを読むと、
「必要以上に遠回りなので、
国道を直接歩いて月ヶ瀬口駅まで行くか、
タクシー・バスを利用したほうが良い。」
などと書かれる位何もないらしい。
それに地図もそうやったけど、
「ひ」の字に進むものすごい遠回りなコースが続いた。
店も自動販売機もなく、
民家が途切れ途切れにあるだけで、
結局駅が見える所まで来ても家しかなかった。
12
すでに5時30分を過ぎていた。
しかし、
月ヶ瀬口の駅には向かわず、
さらに先を進む。
この先大河原から向こうはすでに踏破済みやからな。
木津川を笹瀬橋で渡る。
ここからずっと車道歩きや。
川沿いに行けば短いのに、
なぜか車道を通って山側を抜けている。
バスや乗用車が後ろから次々に通りすぎていく。
車から見るとこんなところを『歩いて』いるのは、
絶対不審やろうな。
ハイカーがこんなところ歩く?
歩いてるとしてこんな時間に?
13
坂の上に割尾坂の集落。
店は何故か焼き肉屋が1軒しかない。
前に置かれたビールの看板にそそられるが、
ここで寄り道したら一瞬で日没リタイヤやで。
恨めしそうに横目で睨んで店を通過。
集落の外れに潰れた喫茶店があり、
ちゃんと動いていた自動販売機で補給。
ここで分岐して川沿いに戻る道を高山ダムに向かう。
一変してランニングコース風の何もない車道になる。
依然道端に毛虫が大量にいる。
下り坂になると右に野球グラウンドとクラブハウスらしき建物、
左にダムの駐車場が見え、
公園らしい雰囲気になる。
野球グラウンドに久しぶりに多人数の人を見た。
14
坂をぐるりと下り切ると、
高山ダムと名張川がいきなり目の前に広がった。
6時15分。
ダムをゆっくり眺める暇はない。
しかし空腹によるノックダウンが怖いから、
残っているバナナとお茶と飴で燃料補給だけはしておく。
暗くなるのは時間の問題や。
とっとと出発しよ。
ダムを渡って向こう岸沿いに川を下ってルートは続く。
川沿いの府道82号線は、
ガイドブック購入時の1999年夏時点で通行止めやった。
去年はヤバいから行かへんかったけど、
今年は大丈夫やろ・・・
(あちこちでまだ土砂崩れが残っとったからな)
向こうからも後ろからも結構車が来ていたので、
心配はしてへん。
名張川と木津川が合流して「夢絃峡」と呼ばれる渓谷を進み、
問題の通行止めポイントに差し掛かった。
山側を鉄骨で土留めして、
車1台は通れるように復旧されていた。
15
もうすぐにでも南山城の大河原集落が見えるはずやけど、
景色は一向に山の緑と川の水・岩から変わらない。
通りすぎる車もライトを点灯し始める。
無常にも午後7時。
ようやく向こうに大河原大橋が見えた。
ひたすら歩いて橋まで来る。
しかし渡らずに右に折れて進む。
民家しかない南大河原の方に歩いて行く。
集落とはいえやはり店がなく、
自動販売機もタバコのやつが1台だけや。
もう駅まで歩くだけやな。
16
大河原の駅に向かう標識を見つけて、
自然歩道と分かれる。
ここから先はまた山のなかに入っていくイチ押しのコースや。
そのせいか知らんけど、
今回はツナギ区間の車道歩きが多かった。
暗い沈下橋を渡ると、
上には真っ暗な無人の大河原駅と、
ひっきりなしに車が通る国道163号線しか見えなかった。
7時17分駅到着。
電球の切れた薄ぐらい無人駅のホームで、
残ったお茶とお菓子を食べ、
列車を待っていると、
じわじわと疲れが込み上げて来た。
access...
■原山
JR大和路線加茂駅から原山行きのバスで約40分。
バスは1時間に1本しかないので、
注意が必要。
食料は加茂駅前のスーパーで確保しないと原山には何もない。
バスを下車したところが自然歩道。
■大河原
先ほどの加茂駅から関西線に乗り換えて2駅目。
無人駅でおまけに、
店も自動販売機も何もない。
加茂駅の乗り換えを利用して食料を確保するか、
むしろ電車に乗る前にコンビニで買っておくことをすすめる。
one point...
原山から童仙房までは茶畑のなかの快適ハイクや。
どんどん高度が上がってくるにつれての景色の広がりを楽しめる。
が、
童仙房からの舗装路歩きはかなりうんざりする。
しかしここはバスも来ていないので、
行ってしまえば歩いて帰るしかない・・・
童仙房から月ヶ瀬口までの林道歩きはかなり厳しいので、
原山〜童仙房〜原山のプランが無難。
ただし原山の終バスは早い。
童仙房から国道165号線に下ると、
ルートは国道沿いを三重県方向に歩き、
すこし先で横断して対岸の斜面につづいている。
国道は交通量が非常に多いので、
注意して横断すること。
この国道沿い三重方向にJR月ヶ瀬口駅があるけれど、
徒歩ではかなり遠い。
バスがあったと思うけどあてにはしないで欲しい。