007 荒島岳 2000.07.22
000
2000年7月21日金曜、
急遽明日が休みになる。
これは前から狙っていた百名山、
「荒島岳」に行くしかない。
簡単に装備を固め、
未明の出発を目標に就寝。
001
・・・やってもた。
起きると外は明るい。
5時半を少し過ぎていた。
ちゃんと準備を確認して、
(今日は単独行やから忘れ物は命取りや)
車に詰め込み7時出発。
夏休み最初の土日やから、
ばっちり摂津と京都で渋滞にはまり込み、
北陸道の福井ICに着いたときには10時を過ぎていた。
道なりに大野市に入ったところで、
水の補給にコンビニに入る。
時間が時間やからここで昼飯を買って食う。
(これで持っていく荷物も少なくできるやろ)
大野市街を遠巻きに回り、
前方に目指す荒島岳が見えてきた。
やがて道は山間部にはいり高度も増す。
崖崩れや雪崩よけのシェルターをくぐりつつカーブを進む。
眼下に最初の集落(勝原)が見えてきたらスキー場の看板がある。
カーブの内側に入り口があるので対向車に注意したい。
002
11時20分。
スキー場の駐車場に到着。
きれいなトイレがあるのでここで済ませておく。
(荒島岳には山小屋などない)
入山の届け出を記入して案内板を見ていると、
なんと朝一で登った人が降りて来た・・・
朝4時から登り始めて今下山してきたところ。
話を聞いてみると、
1)最初から最後までずっときつい登りが続く。
2)案内板に書いてある所要時間(登り3時間10分・下り2時間10分)は、
あてにならない。
3)最初のスキー場もきついが、
最後の登りはもっときつい。
ということ。
最初からびびらしてくれる。
躊躇してもしょうがない、
なんせ時間がないんやから行くしかない。
さっきのおっちゃんに写真を撮ってもらい、
登山口のスキー場
11時40分出発。
(腕時計の高度計430m・以下同様)
003
ここからリフト最高点まではゲレンデを歩く。
楽と思っていたが、
いわゆる中斜面で木がない、
しかも岩も小さく靴のグリップも悪い。
おまけに超がつく晴天、
暑いの何の・・・すでに汗びっしょり。
出発前の友人okaの、
「夏の低山をなめてはいかん」
という忠告を守り、
多い目の水と首と頭の露出を抑えるで何とかクリア出来た。
(一番暑い時間にここを通るのは自分が悪いんやけどな)
12時10分リフト最高点(715m)着。
リフトの支柱の陰で少し休憩して汗を引かせる。
ふと前を見ると、
ここからいきなり登山道になっていた。
つまり本番はここから・・・
004
木々のなかに入り込んで直射日光は避けることが出来たけど、
勾配は相変わらずきつい。
おまけに足元が粘土系でよく滑る。
(下りも大変やで)
と思いながら次々に降りて来る人と挨拶を交す。
みんな、
「えっ?今から?」
「大丈夫ですか?」
と同じことを聞く。
日も長いし夕立ちさえ来んかったら大丈夫やろ、
と意気込んでいたのにちょっとびびる。
しかし途中で、
「11時40分から登ってもうここまで来た?・・そりゃ早い!!」
と言われてもう悪い気はせん、
鼻息荒く先を急ぐ(バテるのに)ことにした。
005
延々と続く登りに嫌気が差してきた頃、
目の前が開けた。
13時23分「シャクナゲ平」着(1230m)。
運よく?休憩中の御夫婦がいたので、
無理を言って(疲れてそうやった)写真を撮ってもらう。
「シャクナゲ平」残り1.3km
進む方向に山頂らしき峰が見えたが、
山頂にあるはずの人工建造物がないので、
さらにその向こうなんやろ・・・
ここは「小荒島岳」との分岐点で、
看板もあった。
進行方向は下りになっていたので、
後で余計に登らんとあかんのがちょっと嫌やった。
006
一気にかなり下ったと思ったら、
後はやはり登る意欲も失せるような登り登り登りやった。
粘土質の悪い足場も健在で、
昼一休みして下り始めた人達とそんな所で擦れ違いまくった。
皆登りの自分に道を譲ってくれる。
急いで通過する・・・一気に疲れる・・・
『登り優先』とは車やと嬉しいが、
団体さんをかわした後の急激な疲労は、
これまでのペース配分をブチ壊しておつりがきた。
(下るほうからすりゃ乱しているのはこの私やな)
きつい登りをいくつも越えて、
やっと頭上が開けたら、
遥か山頂の建造物が遠くにちっちゃく見えた。
3つぐらいコブを越えたその先にある。
まだまだやと気持ちが萎えたがとぼとぼ進んだ。
しかし前がはっきり見えるので、
やっと山頂までの位置関係がわかった。
007
何人かと擦れ違い、
いくつ目かのコブを越えたら、
目の前にコンクリートのかたまりが現われた。
山頂らしいがコンクリートの建築物や電波塔それに看板、
眼下の美しい眺望とは明らかに質の違うモノがそこにあった。
14時20分、
「異質な」ものに囲まれた標高1523mの山頂三角点(1530m)に立つ。
対面した人の多さからすると意外にも山頂には誰もいなかった。
写真を撮るのに三脚なしのセルフタイマーやったから苦労したが、
三脚ないのでカメラに合わせる
誰もいない山頂もなかなかいいもんやな。
無機質な鉄塔とコンクリートの(しかも廃虚)建築物・・・
その側に古びたほこら、
ガスで見えない遥か白山と眼下の大野市街。
自然と人工が混じりあったなんとも奇妙な山頂の風景やった。
割と広く開けた山頂でおにぎりとバナナチップを食べ、
濡れた服とタオル・ザックを乾かしながらぼんやりと過ごした。
008
14時50分。
時々流れてくる薄暗い雲が気になるので下山開始。
少し下ったところから山頂を望む
登りは2時間40分となかなかのペースやったので、
17時には下りることができそうや。
ガンガンとさっきの急な坂を下りる。
15時20分シャクナゲ平に戻る。
いいペースやけどヒザとふとももにかかる負担が気になるので、
(最後まで勾配が変わらないのが心配やからな)
少しペースを落として進む。
やはり途中からふとももに踏ん張りがききにくくなってきた。
いつまでたってもスキー場は現われない・・・
足を投げ出して休憩して回復させながら単調に下る。
山中は景色が見えないのでただただ足元を見て下るだけ。
半ばマシーンと化した16時5分、
話し声が聞こえて目の前が開ける。
リフト最高点着。
7人ほど休憩していた。
皆行きに擦れ違った人ばかりや。
009
4人組の方々は何と宮城県からやってきたそうで、
3日間ほどこの辺りの知人の家に厄介になって周遊しているとのこと。
登山が終ったような雰囲気やったが、
この先のゲレンデの下りも気が抜んかった。
登山道と違ってゲレンデは広いが、
踏んでも崩れる浮き石だらけで怖い怖い。
それでも下の人に気を付けて斜めにジグザグに走る。
膝もモモもふくらはぎもガクガクになりながら、
16時35分下山。
速攻靴を脱ぎ楽な格好になる。
足が急に軽くなった。
あとは片付けもそこそこに風呂を探さないと・・・
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地図で最寄りの温泉を探す。
途中に勝原の駅の方に向かって温泉の看板が出ていた。
地図でその先をたどると・・・
「鳩ケ湯温泉」
という名前がかなり山の奥にあった。
しかしそこ以外は見当たらない。
かえって「小さな秘湯」っぽくていい感じちゃうんか?
はたして駅の向こうで道は細くなり、
川沿いをガードレールもなく登っていく。
家などほとんどなく道を間違えたかと思ったが、
手書きの看板が「あと10km」などと置かれていては、
期待は嫌でもふくらむ。
そして約20分後、
「鳩ケ湯温泉」到着。
木造の結構大きい建築物で旅館もあるみたいや。
車も多いが静かで風情たっぷりや。
さてどこが入り口や・・・えっ?
外湯は3時で終りです??
入り口で主人らしき男性に聞く、
すると「泊りの人に使ってもらうのでもう駄目です。」
とそっけなく門前払いされた。
泊りの方には笑顔をふり巻きやがって!!
国道の入り口に営業時間くらい買いとけよ・・・
意気消沈して来た道を戻る。
綺麗な景色もちっとも目に入らんわ!!!
011
その後も大野市で地図を頼りに探すが、
地図の温泉マークは浴場だけやなかった。
「鉱泉」ちゅうのもあって、
風呂なんか何処にもない工場みたいなヤツやった。
諦めて汗だくのまま福井市街で銭湯でも探そうと思っていたら、
途中の美山町で保養所みたいな温泉を発見、
何とか汗を流す事が出来たときには外は真っ暗やった・・・
■access(2000年現在)
1 大阪から名神高速経由で米原から北陸道を福井ICで下りる
2 国道158号線を大野市・九頭竜方面に進む
3 大野市街を抜けると次第に切り立った渓谷沿いに景色が変わる
4 勝原集落(鳩ケ湯温泉)の分岐を過ぎると右カーブの内側にスキー場の入り口有り
行程約4時間
**名神を一宮JCTまで進み・東海北陸道の白鳥ICから油坂峠道路を経て・
九頭竜湖経由のルートもある
5 鳩ケ湯温泉は前述の通り早めに行かないと着いてから入れないと泣きそうになる
6 美山の湯(名前忘れた)は福井市と美山町の境のトンネルが連続する区間の間に
右折(福井市に向かって)する道がある
曲がればすぐでレンタサイクルもあったが遅かったのでよく分からない