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はんだづけの指導
(スパイラル型技能指導法)



森川正彦(法則化中学太子サークル)

一連の実習の中で、少しずつ変化を加えながら、何度も体験させることで、確実に「技能」を習得させる「スパイラル型指導」。はんだづけの指導を紹介する

(1)「はんだごて」製作中
 一人一台ずつ個人用の「はんだごて」を製作する。その中で、コードの処理として、はんだづけを行う部分がある。二カ所はんだをつける部分があるので、以下のようにしている。

一カ所 教師がやる  (生徒は横で見ている)
一カ所 自分でやる  (できたら教師に見せる)

このときは「はんだをたっぷりつけなさい」と指示している。つきすぎた場合は教師が手直しをしている。

(2)「はんだごて」完成時
「はんだごて」完成時に「パフォーマンステスト」を行っている。コードを輪にして、矢印の部分に「はんだづけ」をしてつないでいくというものである。ゲーム感覚で「はんだを溶かす感覚」を身につけていく。


(3)「はんだづけ」事前練習
 現在製作している作品には「練習用基板」がついている。10カ所程度のはんだづけ練習ができる。
 まず、はんだづけを行っている動画を見せながら、キーワードとして、次の4つを押さえている。【あたため→とかす→ながす→はなす】
 その次に、最初の2〜3カ所を教師と一緒にやっている。(生徒がはんだごてを持ち、教師がはんだを持つ)
 上記のキーワードのうち【ながす】という部分がなかなか身につかない。そこで「先生が離せ、というまで離すな」と「いいながら一緒にやっている。これで生徒たちはかなり微妙なタイミングを理解するようになる。
 その後一人でやるのだが、途中で一度チェックをかける。ここで上手くできていない生徒はもう一度教師と一緒にやる。

【写真】生徒がはんだごてを持ち、教師が巻きはんだを持っている。「先生が(はい)と言ったらこて先を離しなさい」と言っている。


(4)技能を習得した生徒の感想
 ここまでやると、はんだづけのやり方を全員が習得することができる。
 後は基板に部品を取り付ける際の極性間違いに注意しておけばよい。動作不良で修理に出す作品は激減するようになった。
 また、修理を依頼した業者からも「A中の生徒のはんだづけは、みんなきれいですね」と感想をいただいた。
 同じサークルで勉強している技術の先生からも「みんな、きれいにできている」と言っていただいた。
 卒業時に生徒が書いた感想を以下に掲載する。

先生には技術の授業や生徒会でお世話になりました。先生が授業で「モリカワ式」と呼んでいる方法は、とてもやりやすくて生活でも役立ちました。先生に教えていただいた技術は、これから生きていく上で役に立つことがあると思います。3年間ありがとうございました。(3年生男子)

先生が教えて下さった技術はとてもおもしろかったです。私は最初「はんだづけ」がとても苦手でした。途中からだんだん慣れてきたことがとてもうれしかったです。またやれる機会があればやりたいなぁと思っています。(3年生女子)

2人目の感想を書いてくれた生徒は「特別な支援を要する生徒」であった。おそらく、何らかの「発達障害」であったと思われる。
 これらの生徒に共通して「手先の不器用さ」がある。【微細運動障害】という。
 はんだづけで言えば、はんだごてを持った手がふるえるようなこともある。
 
 これまでのやり方(スパイラル式を取り入れる以前)では、こういった生徒は
  @他の生徒より大幅に遅れる  A他の部分まではんだをつけてしまう。
ことが多かった。授業中に個別に教師が手を貸して、失敗した部分をやり直したり、放課後に残して作業したりすることが多かった。

 個別指導で長時間つきっきりになることは「あいつは上手くできない」ことをクラスの中で公言しているのと同じことである。
 生徒に「成功体験」ではなく「失敗体験」「劣等感」を持たすおそれがあるので、「短く」「何回も」を指導の基本としている。


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