武奈ヶ岳

武奈ヶ岳を目指して
 鯖街道沿いの坊村町がスタート、比良山系の金糞峠を通って、琵琶湖側のJR比良駅がゴールの7月のコース案内が届いた。近くに武奈ヶ岳があるが行かないようだ。高校に入学し、ワンゲル部に入り、初めての夏合宿が比良で、武奈ヶ岳に登った記憶を思い出した。 しかし、行かないなら仕方がない。 
 会長さんのコース案内によると、最初は、川沿いの林道のような道で、まぁー、ファミリー向けのようなコースと話しておられ、近くの山にも1回登り、靴、杖を買いそろえたので、何とかなるかなぁと思っておりました。
梅雨も明けた7月17日、山科駅で、皆さんが乗られている電車に飛び乗り堅田駅へ。
山科8:19     堅田着8:33  堅田発8:50頃 バス代1,000円 坊村町9時30分        
 7月末には夏合宿に行かれるとの事で、トレーニングを兼ねて武奈ヶ岳経由にコース変更になったと聞き、おおかた40年振りに武奈ヶ岳に登るのかと、嬉しさがこみ上げてきた。
「ここから登りますよ。」と、先頭の方から声がかかり、指さされた先を見てガックリ。 
いきなりの斜面
幅30mぐらいの長さのジグザグ道がはるか先まで続いた。「サァー、登ろう!!」と、会長さんのかけ声で先頭の方がスタート開始。2番手で私が登り始めた。 30分登っても誰も休憩しようと声が出ない。 ついに、「1回休憩しよう。」と、声を上げた。 前回よりは心臓の鼓動もましであるが、上りばかりの道、だんだん体が重たくなり、足が上がらない。 
 1時間が過ぎてもまだ登り、だんだん、皆さんより遅れ、距離が離れていく。 追いつかなければ、追いつかなければ。 やっと、頂上らしい雰囲気。
 ここを登れば頂上か? 時間も丁度12時、お腹も減って来た。 登り終えて、「頂上ですか?」と、尋ねると会長さんが、「頂上が見える場所や。 あそこが頂上や。」と、指さされる先を見て、「まだ、あんなに先なのか。」と、ガックリ。 「ここで、弁当食べましょう。」と、言っても、「弁当食べたら歩かれへん。弁当は登ってから。」と、厳しい言葉。 空腹を癒すためにリンゴを食べた。 先回の時に頂上で、ご婦人が、おにぎりの後に美味しそうにリンゴをかじっておられたのを見ていて、リンゴを持参したのであるが、のどの渇きは収まるし、満腹感もあり、リンゴを持参したのは正解でした。 
                                                                                                      
サァー、出発!!」と会長さんから声がかかるが、「ここで待っていますから皆さん登って下さい。」と返事をすると、「ここには帰って来ないよ。登らなくては帰れない。」との返事。
せっかく登ったのに下ってまた登り、情けない。」と、
思いつつ、皆さんの後に続いて御殿山を下る。  いよいよ最後の登り、ここを登れば頂上、蹴り上げる足がだんだん重たくなってきて、上がらない。
よいしょ、コラショ。 頭の中で、「後少し、後少し。」と、お経を唱える様な感じで、繰り返す。 ついに、頂上、やったー。 時間も午後1時前。 到着早々、リックをおろし、シソ入りの爆弾おにぎりをほおばる。 
下界を見ながらの食事は、本当に美味しい。 
風に吹かれて戴くコーヒーは最高! しんどさが吹き飛んでいく。!!
下山開始前に皆さんで記念撮影。 標高1214.4mの武奈ヶ岳。
スタート地点が約200mであり、標高差約1000m。
休みながら約3時間30分かかりました。
せっかく登った頂上であるが、午後2時前から下山開始。 5、6歩下り始めた途端、右足大腿部がぴくぴく。
ケイレンの前兆。「ワァーどうしよう。こんな処で。」と、思いながらさすっていると、激痛が走る。 右足が治まると今度は左足。 膝にしていたサポーターを大腿部に引き上げ。 Tさんが持っておられた膝サポーターをお借りして、ズボンの上から装着し、何とか下り始める。 八雲ヶ原では清流で顔を洗い、冷たい沢水の感触を楽しんだ。 最後の登りとなるスキー場当たりで、今度は会長さんが膝の不調を感じられ、私がつけていたサポターは会長さんへ。 午後3時半頃、廃止になったロープウェイ頂上駅に到着。
運転してたら、「楽ちん、楽ちん。」と、言いながら下ることが出来たのにと話すと、すかさず、会長さんから「運転していても乗らんよ。」との言葉が返って来た。
 ここからの下りが大変でした。 雲行きが怪しくなってきたので、休む間も無く下山開始。しばらく下りるとポツ、ポツと大粒の雨が落ちてきた。 樹木の中なので、大丈夫かなと思いつつ下っていると、ゴロゴ、ピカピカ、突然ザァーザァーの大雨。 カッパがあっちこっちの樹木の枝に引っかかり、歩き難い。歩いている道に後ろから雨が流れ落ちてくる。 見ている間に水深が20cm程になり、道が川になる。しばらく、土手に足を広げて歩くが、足長が短くあえなくダウン。 「上の斜面を歩こう。」との声がかかり、上がって斜面を歩くが、カッパが枝に引っかかり、なかなか進めない。 ついに、「待機。」の声がかかる。
 しかし、だんだん体が冷えだし、雨も弱くなる様子もなく、時間が経つばかり。 「水の中を歩こう。」との会長さんの声で、川のような道を下り始め、滑らないようにと下ろす足に力が入る。 ようやく、林道に出た頃に雨がやみ、リフト道との合流点にある山小屋売店に着いたのが午後5時半過ぎ。 山中を出た安堵感がこみ上げてくる。 着替えをお持ちの方は着替えられたり、みなさんビールやジュースで喉をうるおし、しばらく、休憩。 同じ県内との思いから着替えを持って来なかった私は、妻に比良駅まで、迎えのSOS電話をかけた。(ほんと、携帯は便利ですねー。)
 再び、ゴールの比良駅目指して出発。 しばらく歩くと、また、ぽつポツと大粒の雨が落ちだし、見ている間に大雨。 やけくその思いで、比良駅へ。 こんなに激しい雨中を歩いたのは初めてです。 
比良駅には午後7時前。 朝の9時半から午後7時。 それにしても、皆さん感心するほど健脚。 日頃、膝が痛いと話されている会長さんのがんばり。 脱帽の思いである。 
やっぱり、私は皆さんの足引っぱりになっていると思う1日であった。
 駅で、皆さんと別れ、車の中で着替えを開始したところ、また、大腿部にケイレンが走る。
靴を脱ごうと紐をほどくが、靴下が雨でふくれ、なかなか脱げない。 近くのコンビニに止まり、妻に靴を脱がして貰う。 
 妻から「朝はおにぎり。 夜は着替えを持って迎えに来て!。 靴まで脱がし、ちょうと迷惑かけすぎ違う。 家から1時間かかったんよ。 大雨で前の車が突然止まり、事故を起こしかけた。 友人のご主人も山登りをされているが、朝、起きたら勝手に出て行っていると言っておられる。」と、大目玉。 続いて「ほかの方は何ともない顔をされていたのに、お父さんは疲れ果てた顔して、何十年と山歩きされている方々と一緒に行くのは無理と違う。 こんな迷惑かなんし、止めといたら。」と、速射砲のごとく、小言の連射。 「すいません。ありがとう。」の返答も吹き飛ばされ、我が家へに到着。
 マァー、それにしても大変な一日でした。 やれやれ。
 小言を言っても迎えに来てくれる、明日になれば忘れてしまう妻に、感謝・感謝、大感謝。
黄緑:武奈ヶ岳コース  行 程 地 図  茶色:当初のコース