
〜衛星放送へのお誘い 第一章〜
“質”より“量”の放送・・・
だけど“圧倒的な量”
さて、「CS」と言えば「SKY-PerfecTV!」と、すっかり定着してしまった訳ですが、ここに来て「CS110度」という新語が出てきて戸惑っている方もいらっしゃ・・・いるのかな?戸惑う前に認知されていなかったりして。
「CS110度」に関してはちょっと置いておいて、今回はすっかりメジャーになった「SKY-PerfecTV!」のお話。
先日来CSの事を書こう書こうと思っている間に「DIRECTV」が日本から撤退し、「BSデジタルハイビジョン放送/CS110度・PLAT ONE・SKY-PerfecTV!2・ep」放送が始まったりで。でもまぁ今回は「多チャンネルデジタル放送」の先駆けである「SKY-PerfecTV!」の、少し他では触れられていないお話をしたいと思います。
まず、「SKY-PerfecTV!」って、二つの衛星から成り立っている事を心置き下さい。実は昔、「PerfecTV!」という名前で一衛星「JC-SAT 3号」を使用してサービスが開始されました。そしてそこに「J-SKY-B(スカイサービス)」という会社が、「JC-SAT 4号」を使用して参入しようとしたのですけれども、色々紆余曲折がありまして、結局統合。名前を「SKY-PerfecTV!」と改め、サービスが開始され、現在に至っています。ですがもちろん「PerfecTV!」時代の機器(チューナー/アンテナ共に)では、二衛星を受ける事が物理的に不可能ですから、全てのサービスを受ける事が出来ない状態になってしまう訳ですね。
ですが、二衛星対応パラボラアンテナを見ても今までのパラボラアンテナと何も変わりないように見えてしまう訳です。(若干コンバーターが大きい様に見受けられます。)しかし、ちゃんと一つのお皿で二つの衛星を受信し分けているのですね。と・・・・言う事は、それぞれの衛星を受信するに当たり、「ロス」がかなり在る訳です。こういう衛星放送は、首都圏をメインとして電波が送られている訳なんですけど、電波が強い地域に住んでいる筈。と思っていても、ちょっと曇った程度で映像が固まってしまったりとか、雨なんか降ったらいつ映像が止まるかどうか分からないとか、そういう方たくさん居るでしょう?最近は幾らコンバーターが高性能になったとはいえ、アンテナ自身が小型化になりすぎ、幾ら慎重に調整しても、どうしても「無理」が出てしまう訳です。
昔の様な「アナログ放送」でしたら、多少減衰してもノイズ等が乗りはしますけれども見られますからね。「デジタル放送」となればそうはいきません。スイッチが切れたかの如く「ピタ」っと止まってしまいます。
ましてや重要な放送・・・・PPVなんてその一番組にお金払っている訳ですから、受信中に天気が悪くなってきてしまうと・・・
じゃ、エンドユーザーである私達が、出来うる限りの対策として何があるか?
・「良いアンテナ同軸ケーブルに交換する。」
という方法も有効ですね。受信した電波の減衰を軽減する事が可能だと思います。
・「アンテナケーブルを必要最低限度にし、短くする。」
というのも有りです。無駄な減衰が減る事でしょう。
・「アンテナプラグなどを良い物に交換する。」
という方もいますよね。こういう部品のちょっとした減衰も、箇所が増えてきたら決して侮れません。
・「アンテナ取り付け部材等をしっかりした物にし、そう簡単に調整がずれないようにする。」
これも重要ですよね。最近の付属の金具を見ると、「をいをい大丈夫か?根本からもげるぞ。」とかついつい心配になってきてしまいます。
とまぁ・・・・ぱっと思いついた事例を少し挙げてみましたが、この辺の対策をしただけでかなり違ってきます。二衛星用で、且つ大きいアンテナを使えば更なる安定受信が可能となりますけれども、エンドユーザーが購入するとしては非常に高価な値段設定ですよね。じゃ、今回はちょっと考え方を変えてみましょうと。
先程書きました通り、「SKY-PerfecTV!」というのは「二衛星」を使用して放送している訳ですが、原則「一枚のパラボラアンテナで二衛星を受信し分けている。」んですけれども、それだったら「二衛星それぞれを、一枚のアンテナで受信すりゃいいじゃん。」となる訳です。単純明快ですね。ですが、ここで問題が出てきます。
※「パラボラアンテナを2基設置する場所が無い。」
こればっかりはどうしようもないですよね。笑って諦めましょう。
※「チャンネルによって使用している衛星が違う。」
当然ですよね。じゃ、チャンネルによってアンテナを手動で差し替える(切り替える)か・・・、まぁ非現実的ですね。でも、見たいチェンネルが使用している衛星を控えておき、それ毎にアンテナを切り替えて使っていた方はいらっしゃるんじゃないでしょうか?私も、そういう方を少なくても一人は知っています。
じゃ、少し悩んでみます。実際のチューナーとアンテナの動作は、選ばれたチャンネルが使用している衛星をチューナーが判断。アンテナケーブルを通して、アンテナに対して「衛星選択信号」を送ります。(注:偏波とはまた違います。)その「衛星選択信号」を受信した対応アンテナは、その選択信号を判断して衛星を受信し分け、必要な衛星を受信。チューナーに送ります。
じゃ、選択信号を自動的に判断する物を自前で用意する事を考えます。そう言う訳で色々カタログを漁る訳ですね・・・そうすると、やはり在る訳なんですね。と言う訳でご紹介。
アンテナ専門メーカー、「マスプロ社」さんの、「CS 二衛星切換器 SE2JP」。説明書には「CS 2衛星切換器 SE2JP は、当社の製品を使用したシステムでご使用ください。」と書かれていますが、このメーカーのチューナー自体は他社供給品なので、どうにかなるかな?という「安易」な考えの元試してみる事に。
しかしそういえば・・・アンテナを二基どうやって手に入れるべきか・・・幸いに、一衛星用アンテナは「異様に安い」んですよね。
先程触れた「DIRECTV」のアンテナは、一衛星用アンテナですからそのまま利用出来ますし、二衛星用アンテナだって、衛星選択信号が無ければ一衛星用と一緒です。そして更なる安定受信を目指して、それぞれのアンテナとして大きい物を準備するのも良いかと思います。
うちには、昔アナログ放送を受信する為に使用していた少し大きめのアンテナが残っていました。60cmが二つ。75cmが一つです。じゃ、二衛星のうち、受信レベルが低かった方に75cmを使う事にしました。これに関しては受信する場所・環境でどっちが強いかは変わるかも知れませんが、うちではかなりの差で「JC-SAT 4号」の方が強く受信する事が出来ました。と言う訳で60cmの方を「JC-SAT 4号」。75cmの方に「JC-SAT 3号」を割り当てる事に。
アンテナに同軸ケーブルを接続。家・部屋に引き込みます。もちろん二枚のアンテナですからケーブルも二本になりますね。そして室内で一旦「SE2JP」に接続します。もちろんアンテナ直下で「SE2JP」を接続すれば、引き込み配線は一本で済むのですが、元々防水仕様になってませんので、防水加工するのはちょっと邪魔臭いかも知れません。
さて、「SE2JP」で二本のアンテナ線を一本にまとめる事が出来た訳です。その線をチューナーに接続し、下準備は完了です。
それぞれのアンテナを、出来る限り調整してあげます。チューナーには必ず調整メニューがありますね。その中でも私が触ってきた複数のチューナー全て「衛星別受信レベル」を見るメニューがあります。今までの経験ではそれが無い機種は無かったんですが、仮に「衛星別受信レベル」を見る事が出来ない機種でも、「SE2JP」を使用する事も二衛星対応アンテナを使用する事も、動作原理は一緒でチューナー自体はその事を見分ける事は出来ませんから、「通常通り調整」すれば大丈夫です。万が一「SE2JP」を使用出来ないチューナーの場合は・・・・どうしようもないですね。事前に試す事はまず出来ませんしね。しかし「SE2JP」を使用出来ないチューナーがあったとすれば、そのチューナーにセットされているアンテナ以外は使えない・・・って事なんでしょうかね。仮に存在するのであれば理解に苦しみますが・・・
と言う訳で、左右にある写真が私が使用しているチューナー「Panasonic TU-DSR35」の衛星アンテナ調整メニューです。それぞれの衛星名・レベルが表示されていますが、それぞれの衛星を出来る限り調整し、追い込んでやります。
ご覧の通り、うちは60cmのアンテナを使用しているのにもかかわらず、「JC-SAT 4号」の方が受信状況は良いようです。まぁその辺は環境によって左右されますのでなんとも言えません。
衛星を切り替える度に、アンテナセレクター「SE2JP」から「カチッ!」と音が鳴り、あ〜切り替わっているんだなぁっと実感出来る事だと思います。実際二衛星アンテナ自体も、切換時はこういう音が鳴っているのかな?確かめた事はありませんけれども。
さて、少し余談を。
私が使用しているアンテは、マスプロ社製の「CS60A」「CS75A」と言う、出力が2系統有るアンテナだったりします。ですので、それぞれの出力を「私の部屋」「リビング」に引き込み、それぞれの部屋に「SE2JP」を設置、2台のチューナーを稼働させています。
「二衛星アンテナを二基建て、それぞれで駆動させる。」方法と、アンテナ台数的には一緒になってしまう訳ですが、どっちに分があるか等は、此処まで読んで下さった方ならお分かりだと思います。
また、マスプロ社さんでは「SE2JP」や、その他対応機種を組み合わせる事により、「SKY-PerfecTV!」とBSを混合させてたり、複数の部屋で見られるようにしたりする器材が販売されています。揃えるとかなり高価な組み合わせになってしまうんですけれども、そういう器材を見ると結構楽しいですから、興味のある方は、一度ホームページのカタログなどを参照して下さいね。
さて、これで降雨など天候にも強いデジタル放送環境になりました。もちろんどんな天候にも万全とは言えませんけれども、「これで駄目なら諦めがつく」とは言えるんじゃないかなぁ。と思えるのではないかと思います。
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