〜衛星放送へのお誘い 序章〜
もうすっかり認知されましたね。衛星放送・・・・BSはすっかり標準。
最近ではCSも知られましたね。ちなみに「何の略」かご存じですか?
一応BSは「Broadcasting Satellite(放送衛星)」で、
CSは「Communication Satellite(通信衛星)」の略な訳です。
何も知らない電気屋で「CS機器は?」と聞くと、
「デジタルCSですね?SKY-PerfecTV!のチューナーはこちらです。
DIRECTV・・・うちにはないですねぇ。それ以外?CSといったらSKY-PerfecTV!でしょ?何言ってんの?」
という恐ろしい店員が実際かなり居る訳ですね。
私は数年前に大阪は日本橋。某音響製品専門店の店員になったのですけれども、
その当時は衛星の知識は皆無に近かったのですね。BSやCSの名前程度しか知らなかったのです。
会社の先輩に資料などを見せて貰い、そこで「とりあえずこれを自分の武器としよう。」と思い、
自分が衛星を導入する事をきっかけとして勉強し出しました。
とにかく「あやふやな点を出来る限り無くす!」これが私のこだわりでもありますので、
出来る範囲で色々資料などをあさり勉強しました。
より深く知識を得る。それには「まずは自分の家に導入。」ですよね。当時はアナログCSのみで、
「CS-BAAN」を含む「JC-SAT 2号(放送・通信共)」を受信する事に。
私の家はマンションで、ちょっと方角がきわどいのです。数度ずれていたら受信出来ないと
言う立地で、試してみて駄目だったら諦める・・というのも資金がもったいない。
という事で、うちの真横に電気屋があるのでまず立地条件を含めて相談へ。
そしたらそこの店員がまぁ・・・本当に知ったかぶりだけの本に載っている上辺だけの知識を
だらだら並べる人間だった訳です。「ここのマンションだったら・・・せり出しがいるねぇ。
特注だね。ん?通信・・?だったら局発(注釈1)は通信用の物が必要になるよ。
素人は私に任せておけば良いんだから・・」とまぁこういう感じ。
当時、アナログCSの衛星で、チャンネルによって「放送」「通信」と分けられていました。
読んで時の如く「放送」は、一般向け。「通信」は個人向けのサービスというのでしょうか。
実際当時は建前上「通信は局発が一般に手に入り辛い物を使用する」として薦めるメーカーも
あった訳ですが、もちろんチューナーのプリセットさえちゃんと設けていれば、どの局発でも
問題ない訳です。それより昔、この業者にBSアンテナを取り付けて貰ったのです。
そしてCSを自分で取り付ける時にそのBSアンテナの取り付け状況を見たのですが・・
まぁ適当なアンテナケーブル。適当なケーブル加工。適当な金具取り付け。
ちょっとぞっとしましたね。
とりあえず地元の電気屋もあやふやだったので、とにかく駄目モトで導入を決めました。
購入店は大阪で有名な「ラビット電子」アンテナはノーブランドの60cm。局発は11.3GHzでした。
チューナーは富士通のCST-3000HPですね。その筋では有名です(笑)そこにコアテック通信デコーダー(注釈5)を
入れて貰いました。
うちのマンションの場合、「JC-SAT 2号」だととりあえずいけそうな雰囲気ではあるんですね。
(Super Bird B号の方がシビア。これがいけたら皆いける。実際、
Super Bird B号とマンションの壁がほぼ並行でした。)で、自分で金具を取り付け、
方向を合わせ、番組を楽しむ事が出来るようになりました。
次は「Super Bird B号(放送・通信共)」ですね。同じアンテナを購入。
デコーダーもスカイポート通信デコーダーを入れました。うちのマンションの立地の問題で
Super Bird B号がいけるかどうか?ぎりぎりだったんですね。今右側に表示されている写真を
見て下さい。正面にアンテナが3本建っていますよね。上から「JC-SAT 1号(90cm / SNG等)」
「JC-SAT 2号(45cm / CS-PCM用)」「JC-SAT 3号(60cm / SKY-PerfecPC!用)」なんですが、
昔は90cmのアンテナを「Super Bird B号」に向けていました。今映っている位置より
さらに反時計回りに回さないといけない。つまりマンションの壁とぎりぎり平行に近い角度だった訳なんですね。
ここまで来たら止まりません・・・折角万能チューナーの買ったのですから、
「SNG」(注釈6)も見てしまおうと更にアンテナを追加。当時SNGは結構盛んに利用されていました。
例えばオウムのサティアン(あそこって確か田舎なんですよね)からずっと素材を送信していました。
それに何か緊急事件。「誘拐」や「ハイジャック」等。が起こればSNGを利用され、編集されない
リアルタイムの事件現場を見る事が出来たりしていました。それにTBSやNTV等の、
朝の地域放送等もSNGを積極的に利用し放送されていて、
リハーサルや出演者の愚痴等も電波に乗っていました。
丁度この文章を書いている時、和歌山毒物カレー事件の初裁判の日で、
テレビ朝日がSNG(JC-SAT 1号)で和歌山の裁判所からニュース素材を送っていました。
現在では、殆どのテレビ局がデジタル化され、(初めはフジテレビだったのかな?)
個人では殆ど見る事が出来なくなってしまいました。非常に寂しいですね。今では「Super Bird A号」
で、ずっとTBSの放送が送信されている程度でしょうか。大阪に住んでいる私としては
TBSローカルの放送等も見れるのでまだ結構有益なんですけどね。
ずっと「SNG」というスーパーインポーズが入っていますけれども・・・
後はたまーに某宗教団体の放送等が送信されている程度でしょうか。
と言う訳で、現在、うちのベランダには7本のパラボラアンテナが立っています。
マンションだってやればこんなけ出来るんだぞという感じでしょうか。
諦めていた方も、工夫すればこんな感じで出来ますので、チャレンジされてはどうでしょうか。
ちなみに何度か台風を経験していますが、今の所は無事ですね。
壇は吹き飛んでもアンテナは無事です(笑)左側の写真の右に建っている3本の説明は上記通りで、
左側はこんな感じ。
左の2枚の写真は、それらのものを拡大したものです。まず上から、「JC-SAT3号+JC-SAT4号(45cm / SKY-PerfecTV!用)」「Super Bird A号(75cm / SNG等)」
「BS-3b(45cm / BS用)」「Super Bird C号(45cm / DIRECTV用)」という感じになっています。
ちなみに、一番下のアンテナは、つい最近下の店舗のオーナーが見るらしく付けたらしい。
最近まで気が付かなかった。角度から見てSKY-PerfecTV!でしょうね。
言ってくれたらやったげるのに(笑)んでBSアンテナの取り付け位置を良く見て下さい。
店舗の看板の鉄柱に付いていませんか?これ、私が勝手に付けました。
付けている途中に店舗のオーナーと目が合いましたが、
もう「にっこり」と会釈するしかないでしょう。今の所クレームは来ていませんが、
まぁ、気にしない気にしない。ちなみにこのBS、湾岸戦争の時に付けたので結構年代は
経っているのですが、このアンテナを付けた一ヶ月後、マンションにBSの共同アンテナが
建ちました。うちの反対側の棟は立地上BSは取り付けられないんですね。
それで共同になった訳ですが、付ける前に言えって感じですね。結局ハイビジョン放送を受信
するようになったので、自前で立ててC/Nを稼ぐ事が必要になったので結果的に良かったかなという
感じです。
と言うわけで、現在うちで受信している衛星は以下の通り。
 |
JC-SAT 1号 |
SNG その他 |
 |
JC-SAT 2号 |
CS-PCM用 |
 |
JC-SAT 3号 |
SKY-PerfecPC!用 |
 |
JC-SAT 3&4号 |
SKY-PerfecTV!用 |
 |
Super Bird A号 |
SNG その他 |
 |
Super Bird C号 |
DIRECTV用 |
 |
BS-3b号 |
BS用 |
とまぁ、こんな感じです。
と、ここまで書いてなんですが、以上なんですね(笑)時間があったら質問などお答えしたりとかしたいのですが、
なんせ職持ち故、なかなかフォローは出来ないのですけれども、どうしても聞きたい事。もしくは「こういうネタも書いて」とか、
このページの「ここの意味がわからん」とか・・・ありましたら
メール下さい。
気長に待って貰えるのであれば、解ることは対応させていただきます。
あ、ちなみに、海外衛星は専門外です。理屈は一緒ですが、アンテナのサイズの問題と、言葉のわからん放送には余り興味がない。というのが理由です。
ではではぁ。
ホームへ
衛星放送メニューへ
〜用語説明〜
〜注釈1〜「局発」
“局部発信周波数”略して「局発」と言う。アンテナの先端、コンバーター(実際には、
LNB(注釈2)とフィードフォーン (注釈3)という装置が合わさってコンバーターという場合が殆ど)
が、受信した高周波の電波を同軸ケーブルに流す為に変換する訳なのだが(だからコンバーターという)
その受信した電波を、どれ位落とすか。どれ位引くか。その引く数値が“局部発信周波数”という。
最近のデジタルCS等で標準で採用されている局発は11.2GHz。よって受信した電波から11.2GHzを
引いた周波数が、CSチューナーの受信したいチャンネルの周波数と合えば受信出来る訳である。よって上
で「通信は11.3GHzじゃないと駄目」とか言うのは根本的に間違いと言うこと。
〜注釈2〜「LNB」
“Low Noise Amplifier and Block Down Converter”略してLNBと言う。受信した高周波の信号を
同軸ケーブルが通すことの出来る1GHz帯の電波に変換する装置。
〜注釈3〜「フィードフォーン」
ディッシュ(皿)で反射し中心付近に集まった電波をLNBに効率よく転送する為に集める役目をする、
漏斗(じょうご)みたいな物です。そして日本のBSでは、電波が右回りにくるくる回って飛んでくる
「円偏波(右円偏波)」に対し、現在CSでは直線偏波(縦や横)で飛んでくる。
隣り合ったトラポン(注釈4)から送信(ダウンリンクという。地球から衛星に出力する場合は
アップリンクという)するので干渉し合わないように偏波を縦や横にして送っているのだが、
受信するアンテナでどちらの偏波を受信するか選択しないといけない。
なんせコンバーターが1つ。ケーブルが1本しか無い物ですから。
フィードフォーンのもう一つの役目は、この偏波のどちらを受信するかを選択する事です。
最近のアンテナは「偏波面電圧切替方式」で受信する偏波を選んでいる。チューナーからコンバーターに
15ボルト流れた場合は、フィードフォーンが水平偏波を。11ボルト流れた場合は垂直偏波を。
それぞれ受信するようになっている。昔はそんな便利な物が無かったので方法が幾つかあった。
フォードフォーンにLNBを2つ付けて、水平と垂直をそれぞれ受信する方法。
フィードフォーンにモーターを内蔵させ、チューナーから別に信号線を繋いで、モーターをぐりーん
と回して偏波の受信分けをする方法。等々・・・
〜注釈4〜「トラポン」
トランスポンダ。略してトラポン。衛星から電波をアップダウンする中継器の事を言う。
〜注釈5〜「コアテックデコーダー」
コアテック方式は、BSのWOWOWで有名ですね。デコーダーは、有料放送を行い、課金をした人間
だけ放送を見る事が出来るようにする装置の事を言う。幾つかの方式があるのですが、
有名な所では「スカイポート方式」「M方式」「NTT方式」なのでしょうか。最近の
デジタルCSでは、番組毎に見せる見せないが完全に管理出来るので、
デコーダーが事実上無くなったと言っても良いと思う。
〜注釈6〜「SNG」
“Satellite News Gathering”の略。色々な場所から衛星を通じて映像を送信する手法。
これが可能になり、空が見える場所なら、テレビ局からどんなに離れている場所でも、
映像がリアルタイムに飛ばせるようになった。各地にニュース素材を回す時等にも使用される。
現在では殆どのテレビ局が「デジタル化」され、個人では殆ど見る事が出来なくなってしまった。