「ペンギンの国のクジャク」

「ペンギンの国のクジャク」

 今回は、2年ほど前のある時期に有名になった書籍から表題を引用しました。

 題して
「ペンギンの国のクジャク:a PEACOCK in the Land of PENGUINS」について書いてみたいと思います。この本は、「チーズはどこに消えた」のベストセラーを出版した扶桑社の本で、当時の書店では売上数で6位だったと覚えております。

 物語の
「ペンギン」は、企業や組織の象徴であり、経営や管理職あるいは組織の決まりやルール、さらにそこで仕事をする社員などを表しております。そして「クジャク」「ペンギン」と比較して華麗でカラフルで自己主張が強いが実力のある者を象徴しております。物語では、保守的で固定的な考えで、ある程度は成り立っている「ペンギン国」に、「クジャク」のような新しいメンバーを加えて国をさらに発展させたいという設定で始まります。

 
「ペンギン」たちは自らのルールやしきたりを「クジャク」に強要し、ペンギンの服を着ることまでも迫ります。しかし、「クジャク」はそれに馴染めません。努力して実力を認めてもらおうとしますが、最終的には「ペンギン国」を出てしまい「チャンスの国」に移り住みます。その国は、官僚的に支配されているのではなく「クジャク」を含めて全ての鳥たちが自分たちの上に立つ者に信頼を置いており、指揮をとるのは持って生まれた才能と研鑽を積んだ技術と、実行力によってリーダーとなった様々な鳥たちが行っているという設定です。例えば、状況を俯瞰して組織をよりよい方向に転換させるリーダー(ワシ)、組織への柔軟性を持つリーダー(モノマメドリ)、自分の仕事をこなして堂々とできるリーダー(ハクチョウ)、新しい市場を開拓する腕利きハンターとしてのリーダー(タカ)などです。

 この
「チャンスの国」では、新しいアイデアに対してはオープンで、聞く耳を持ち、学習意欲を持って成長することを望んでおります。そして、柔軟性を持って変化に対応することが非常に重要であると説明しております。そのためには、「ペンギンの国」のような保守的で官僚的なスタイルではなく、ものの見方を変え、自分の気持ちに正直に生き、ありのままの姿で行動できる「チャンスの国」を作ることが必要であると説明しております。

 
「優れたものは大勢の中から生まれる。」

 物語はこれでおしまいですが、この
「ペンギン」「クジャク」の資質は、我々の心の中に必ずある程度の比率で存在しており、「ペンギン」からの脱却や、「クジラ」の組織への適用などもヒントと共に書かれております。この話は、海外の保守的と思われている大手企業ですらも研修に使うなどの改革に積極的に利用しているようです。

 今回のお話は
「イソップ物語」のようですが、21世紀のグローバルな大競争時代に入って、我々企業はやはり正しい規則の中で「チャンスの国」の要素を持ちたいと思います。そして社員は大いに活躍できる「ワシ」、「ハクチョウ」、「タカ」、「クジャク」、またその他のたくさんの有能なリーダー的な「鳥たち」でありたいと思います。

 *本文は、著者が現役時代(2013年頃)に執筆した原稿に加筆修正を行った文章です。

 2023年1月26日


ペンギンの国のクジャク(日本語)単行本
BJ. ギャラガー(著)、ウォレン・H. シュミット(著)、田中一江(翻訳)
扶桑社

 
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