2010年 2月
横断歩道に埃をかぶった手袋がひとつ
はれやかに横顔涼し舞一つ
大阪城公園の堀にて
群れ遊ぶ飛翔する翼を持ちながら
木の下にて
空にひび声を枯らして叫ぼうか
空にひび今日はすっかり忘れたい
よんでいる埋もれている静けさと
呼ぶ声のしょうがないかとなく千鳥
さすらえどさぶらふなかれわがことば
かたりたい何も言えない深い空には
待ちぼうけ人の心と夏の空には
呼んでいる懐かしき問い今さらに
呼んでいるはるかな問いが沈黙のまま
呼んでいる世代を越えてはるかに遠く
打てない手白紙のままの私の頭
空とぼけすっかり春となりにけるかな
見渡せば花も嵐もなかりけり
河川敷を散歩中に
柔らかく陽光風が吹きすぎる
少年の時に鋭くさしとおす
寛いで懐かしすぎる浜辺かな
寛いで時のしじまに欠伸かな
今日はうたが漂うにちようび
間隔を保ってゆきすぎる自転車の群れ
やわらかなまなざしひとつ持ちてゆく
癌になり結婚すると友人がぽつり
はりさけんばかりに胸がいとおしい
極端にはりさけそうな胸の内
桜桃今年も小さき春かとぞ見ゆ
夕月夜大きく見ゆる底の底へと
虚と実となくなりそうなこのところ
月によみて
打ち明けたあとに感ずるなつかしさ
打ち明けたあとに気づいた空っ風
星によみて
うち明けた跡も気づかず大空の解
うち明けた跡に気づくか大空の解
うち明けたあとも気づかず星のむれゆく