以下の件について、事前に申し入れましたが、2/28当日は、司会者及び当事者ご本人より説明(釈明)があり、助成は2006年までで2007年はなかった、当初は喫煙科学研究財団とJTの関係を知らなかった、とのことでした。(間接情報) 主催者側は、今後はこのようなことがないようにしたい、と言っています。

この件は、今後、他地域で同じようなことが無いように、記録として留めておいた方が良いかと考え、具体的な機関名は伏せて紹介するものです。(連絡先:muen■silver.ocn.ne.jp ■を@に)

 

 

平成20年(2008年)2月20日

 

 

○○府県健康主管部長 様

○○医師会長 様

 

 

NPO法人子どもに無煙環境を推進協議会 理事

NPO法人日本禁煙学会 理事

    □□□□

 

喫煙科学研究財団等の助成を受けている講師は今後は採用しないようお願いします

 

平成20年2月28日(木)14時〜17時に、○○医師会館において、○○府県と○○医師会の共催で、○○府県内の医療機関での保険適用による禁煙治療の充実を目指して「医療機関における禁煙治療従事者講習会」が開催されるとのことですが、

 

【シンポジウム】−テーマ:保険診療による禁煙治療の実際
3.妊婦に対する禁煙治療(講演20分、質疑10分)

 

この講師は、以前より喫煙科学研究財団(1986年に主にJTが出資して設立された)の助成を受けている方です。

 

主催者側はこの件を把握していなかった、とのことですが、以下の点にご理解と今後の対処をお願いいたしたいので、ご高配をお願い申しあげます。

 

1.

JTは、禁煙治療の保険適用の制度導入時に、中医協のパブリックコメントで、これに強く反対しました。(2006年1月、 http://www.jti.co.jp/JTI/attention/20060123.html

 

2.

2006年8月からの「健康日本21中間評価」における喫煙率低減目標の設定においても、JTはこれに強く反対し( http://www.jti.co.jp/JTI/attention/about_measure.html )、このため厚生労働省はこの低減目標を断念しました。

 

3.

また2007年5月からの「がん対策推進基本計画」における喫煙率半減・低減目標設定においても、同様にJTはこれに強く反対し(リンク先:同上)、このため国はこの半減・低減目標を断念しました。

 

4.

これ以外にも、JTは若者や若い女性(思春期児童や妊産婦も含む)をターゲットにしてタバコ商品を販売し、販拡を続けるなど、国民(とりわけ若い世代)の健康をタバコの危害から守る動きに冷水を浴びせ続け、タバコによる健康危害を生み出し続けています。

 

5.

喫煙科学研究財団にはJTから多大の寄附金が投入され、JTとは表裏一体の関係にあります。このような財団から研究助成を受け取ることは、その理由の如何を問わず、国民の生命と健康を犠牲にしたタバコマネーを受け取るのと同じことと言わざるを得ません。

 

6.

このようなタバコマネーを受け取って、タバコの健康関連の医学的研究を行うことは、国際的にも倫理的でないとされてきており、昨年(2007年)10月には、世界医師会も1997年に引き続き(「医学部、研究所、研究者は、タバコ産業からの助成金を受けてはならない」を改訂)、下記の声明(勧告、コペンハーゲン宣言)を出しております。

 

タバコ製品の有害性に関する世界医師会声明(勧告、コペンハーゲン宣言)
http://www.nosmoke55.jp/data/0712wma.html
9. タバコ産業からいかなる資金も教育的物資ももらわないこと。そして医学校、研究施設、研究者個人に対しても、同様のことを要請する。これは、タバコ産業にいかなる社会的信頼性も与えないためである。」

 

7.

私の所属する日本禁煙学会は、この声明(勧告)を踏まえ、以下の声明を出しています。(200712月)

 

NPO法人日本禁煙学会の声明「タバコ産業からいかなる資金も受け取るべきではない」
http://www.nosmoke55.jp/action/0712dirtymoney.html

 

また、日本禁煙学会及び会員の倫理指針として、以下を決定したところです。(2008.2.17通常総会)

 

【日本禁煙学会及び会員は、タバコマネーとはいっさい関わらない倫理指針】
(1)
タバコ製品の有害性に関する世界医師会声明(勧告、2007.10
http://www.nosmoke55.jp/data/0712wma.html
 及び
日本禁煙学会の声明(2007.12.10)「タバコ産業からいかなる資金も受け取るべきではない」
http://www.nosmoke55.jp/action/0712dirtymoney.html
 を踏まえ、

日本禁煙学会及び会員は、タバコ会社及びその関係団体・関係者から、直接的または間接的な資金や物資提供・便宜供与を受けない。またこれらが主催あるいは後援・協賛するイベント・催し等には協力しない。

 

【タバコマネーとは関わっていない旨の投稿・学術総会発表規程、及び細則】
(1)
日本禁煙学会雑誌に投稿し、あるいは日本禁煙学会学術総会で発表する研究は、国内外のタバコ産業及び関連団体から研究助成を受けていないことを要件とする。

(2)投稿論文および学術総会発表内容に、他機関から研究助成・補助、及び利益・利害相反がある場合は、その内容を明記すること。

 

8.

行政の健康部局及び医師会は、以上の経緯を見ていただくなら、その催し、とりわけ禁煙推進や禁煙治療に関わる講演会やシンポジウムで、タバコ会社及びその関係団体から、資金や物資提供・便宜供与を受けている人を講師とすべきではない、のではないでしょうか。

 

(1)今回、財団から助成を受けていることを事前に把握できていなかった、ということであれば、今後はその事前把握(ご本人に確認すれば良いのでは)と周知をよろしくお願いすると共に、喫煙科学研究財団等の助成を受けている講師は採用しないようお願いします。

 

(2)もし当日、この講師が講演されるというのであれば、7項までの指摘に関連して、財団からの助成とご自分の研究テーマとスタンスについてのお考え、及びご自身の社会的責務についてご発言されるよう希望します。正しい情報開示があってこそ、内容の正しい理解が可能なはずであり、それが聴衆の方々に対する責務なのではないでしょうか。

 

(3)そして今後は、このようなタバコマネー依存から離脱され、国民(とりわけ若い世代)の健康をタバコの危害から守るためにご尽力いただけるよう、お願い申しあげます。