Last Updated 3/3/2005
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Dr.まんぼうの一口メモ

Dr.まんぼうは非常に忙しくなってしまい、更新が出来なくなっております・・・
楽しみにしてくださっていた方々には、まことに申し訳ございません。
とりあえず、7号までをまとめなおしてみましたので、ご活用頂ければ幸いです。
〜それぞれのタイトルの左のアイコンをクリックしていただければ、記事へ飛びます〜

花粉症について
物忘れとアルツハイマー
梅雨と食中毒
酷暑と熱中症
腰痛
魔の時間帯
肩こりと頭痛
第1号:花粉症について
(2001.4.7)

桜の季節も過ぎ、ようやく暖かい日が多くなってきましたね。もう花粉の季節は過ぎた!と思いながら、なんとなく鼻がむずむずという方も多いのではないでしょうか。実は、勝谷医院の医師二人も花粉症に苦しんでおります。

花粉症に代表されるアレルギー性鼻炎は、いろいろなアレルゲンに対するポケットがいっぱいになって発症すると考えられています。それぞれのアレルゲンに対するポケットの大きさはまちまちなので、大きなポケットを持っている人は発症しにくいということになります。ところが、最近ではアレルゲン(花粉を含めて)の量自体がとても増えていることと、ポケットを小さくするような空気の汚れ、化学物質などの増加により、これまで花粉症とは全く無縁だった大人の方でも花粉症が認められるようになってきました。花粉のひどい時期には、日本人の二人に一人は花粉症であるとまで言われています。

花粉症と上手につきあうためには、規則正しい生活をする、暴飲暴食を避ける、マスクやめがねなどを使って入ってくるアレルゲンを出来るだけ少なくするなどの方法が効果的です。毎年3月頃から必ず花粉症に見舞われるという方は、杉花粉に対するアレルギーが最も疑わしいですので、2月頃から抗アレルギー剤を飲んで、症状の悪化を未然に押さえましょう。アレルギー症状が出てしまったら、抗ヒスタミン剤や、場合によってはステロイドの必要な場合もありますので、担当医師にご相談ください。シラカンバ類の花粉にアレルギーのある方は、一部の果物に対してもアレルギーが出ることがありますので、リンゴを少し食べ過ぎると口の中がしびれるなどといった経験をお持ちの方はご相談ください。杉花粉の季節は過ぎましたが、まだまだ檜の花粉が大量に飛んでいます。花粉症のみなさまお大事に。

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第2号:物忘れとアルツハイマー
(2001.5.11)

「最近、年のせいか、物忘れがひどくってねぇ。先生、私、アルツハイマーとちがいますか?」というお尋ねをよく耳にします。

物忘れにも、良性と悪性があり、また、年齢も大きく影響します。痴呆症の特徴は、やったことを覚えていないことで、一般的に最近の記憶から障害を受けますが、きっかけがあれば思い出せる場合は大丈夫です。例えば、「朝何食べましたか」と聞かれて、「えーっと・・・」とすぐに思い出せなくても、「パンでしたか、ご飯でしたか」と誘導されれば、「あーパンやったわ。ゆで卵もついてたっけ。」と思い出せれば大丈夫。しかし、朝ご飯を食べたかどうかを忘れているときは要注意です。本当に痴呆の方は、自分が忘れているということに気づいていないので、愛想よくその場しのぎをされたり、財布を置いた記憶がなくなって、取られた!と言って騒がれたりするのも特徴です。それから、時間・場所などがわかりにくくなったり、簡単な計算、例えば100-7=93ができても、93-7=86が出来ないなどといった症状もよい目安になります。

気になる方は、周りの方に関係のないものを5つ並べてもらい、10分後にいくつ思い出せるかといったテストも試してみてください。順不同で構いませんので、4つ以上思い出せれば大丈夫です。ご心配な方は、担当医師まで、お気軽にご相談ください。

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第3号:梅雨と食中毒
(2001.7.1)

鬱陶しい季節になりましたね。梅雨といえば、食中毒の増加する季節でもあります。堺で大量発生したO157が記憶に新しいので、食中毒の原因といえば、大腸菌とお思いの方も多いことと思いますが、細菌性食中毒のNo.1は、腸炎ビブリオなのです。これは、件数、患者数とも過去10年間でNo.1で、腹痛、下痢、38度前後の発熱を伴うのが特徴です。原因は、汚染海産魚介類の生食によることが多く、約8〜20時間ぐらいの潜伏期の後、発症します。このほかにも、サルモネラ病原大腸菌、ブドウ球菌などの食中毒が多いとされます。

和歌山の毒物カレー事件の第1報を聞いて、奇異に思ったのは、被害者の大部分が食べてからまもなく腹痛や下痢の症状を訴えていたことです。食中毒では、最も早いブドウ球菌でも、2〜4時間、時には24時間くらいの潜伏期を経て、発症するのが特徴ですので、食べて直ちに発症する場合は、毒物、あるいは、中毒(ふぐ、貝、きのこなど)が大部分です。

また、海外旅行の増加に伴い、コレラや赤痢の発症、癒し系のブームの中、ペットとの接触の増加に伴い、サルモネラやカンピロバクター感染による下痢なども増加しておりますので、ご注意ください。

予防法は、一に手洗い、二に保管の注意(冷蔵庫・冷凍庫を過信しない)、三に調理器具のこまめな洗浄(流水でも99% 以上の菌を除けます)です。抗菌・防カビグッズを過信せず、こまめに洗う!が基本です。また、下痢がひどいときは、脱水により、重篤な症状をきたすことが多いので、しっかり水分をとり、おさまらないときは、早めにかかりつけ医にご連絡ください。

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第4号:酷暑と熱中症
(2001.7.22)

いよいよ夏休みですね。海へ山へと行楽の予定を立てておられる方も多いのではないでしょうか。昔は35度というと、観測史上に残る記録的猛暑といわれたものですが、最近は37、8度まで上がっても、ニュースにもならなくなってきました。この酷暑の中、救急外来を賑わわせているのが熱中症です。

一般には、日射病として知られている病態ですが、高校野球、祭り、パレード、ジョギングなどでも多くの患者さんが発生しています。オゾン層の破壊の影響か、紫外線自体が強度を増していますので、長時間、皮膚を日光に晒さない、1時間おきに涼しい場所で休憩を取る、といった工夫が必要です。失神や意識障害を起こしてからでは致命的になる確率も大変高いので、皮膚乾燥(発汗停止)、過高熱、頻脈などを認めたら、直ちに身体を十分に冷やし、スポーツ飲料などでしっかり水分補給を行うことが大切です。頭部だけでなく、腋下などにも氷枕(直接あてると凍傷の恐れがありますので、タオルなどでくるんで間接的に用いる)をあて、手足を扇風機などで空冷するのも効果的です。

意識障害や、40度以上の発熱を認めたときには、すぐに救急車を呼びましょう。30分遅れただけで、命を落とす場合が多々あります。

基本は、一つ、30度を超える炎天下で激しい運動は控えましょう。酷暑の候、お身体、御自愛ください。

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第5号:腰痛
(2001.10.20)

さて、寒くなってくると、「腰痛がつらい!」とおっしゃるかたもたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。腰痛で診察を受けに行くと、貼り薬や痛み止めをもらって帰るだけ、と考えがちですが、実は腰痛を起こす病気はたくさんあります。

貼り薬で治るような腰痛は、大部分が腰椎のまわりにあってからだを支える筋肉の痛みによるものです。しかし、中にはちょっと動いただけでも激痛が走る、あるいは、お尻から足にかけて痛みが走るというような方は、椎間板ヘルニアを起こしている可能性があります。今では、MRIといって、磁気を使ってヘルニアの程度を正しく評価出来るものがありますので、整形外科の専門医の診察を受けると良いでしょう。

また、続けて歩くと足が辛くなって、歩けなくなる(間欠性跛行)ような場合は、閉塞性動脈硬化症またはビュルガー病といった、足の血管が詰まって、血が通わなくなる病気も疑われます。ひどい場合は、何もしていなくても足に痛みがあったり、足先に潰瘍や壊死を起こすこともあります。喫煙者や糖尿病の方は、この病気を疑ってください。血管を移植して、治すという手もありますが、それでもだめなときは、遺伝子治療しか手がなくなります。現在、大阪大学では、我が国初の遺伝子治療を行っています。詳しくは、リンク集の大阪大学加齢医学講座をご覧ください。

この他にも、突然の血尿を伴う腰背部痛ならば尿路結石、発疹を伴う片側だけの痛みならば帯状疱疹を疑います。また、消化管の癌や膵炎、ときには、心筋梗塞でも腰痛が出ることがありますので、痛み止めを飲んでコルセットをつけてリハビリしても治らないときは、内科の病気も疑ってみてください。詳しくは、勝谷医院でご相談ください。ではまた。

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第6号:魔の時間帯
(2001.12.2)

Dr.まんぼうも毎月更新のはずが、第6号で年末になってしまいました。お正月映画では、『ハリー・ポッターと賢者の石』が話題になっていますが、病気にも「魔の時間帯」があるのをご存知ですか。

Dr.まんぼうの専門は高血圧ですが、高血圧の患者さんでは、特に、朝、起き抜けの時間帯に血圧が著しく上昇する方があり、我々はこれを「モーニングサージ」と呼んでいます。心筋梗塞や脳卒中の疫学研究からも、朝、起きてから午前中の時間帯に死に至るような重篤な循環器合併症が多いことが報告されています。これは、夜間、布団の中で下がっていた血圧が、急に寒い外界に出ると、血管が収縮し、急激に上昇することに加えて、ストレスのかかる通勤や仕事の開始時期には、交感神経が活性化し、血圧が上がり、脈が速くなることも関係していると言われています。

正常な血圧の方ならば、日中に血圧が高く、夜間に血圧が下がるのは自然なリズムです。むしろ、夜、血圧が下がらない方は、食塩感受性が強く、循環器合併症も多いと言われています。主治医から、血圧の薬をもらっている場合、朝の血圧に加え、夜、風呂に入る前の血圧、時には、ねる前の血圧などを測っておかれると、体に合った薬が処方されているかどうか、主治医の先生にも大変参考になります。

これから、寒くなります。朝、起きてから、昼食を食べるまでの間が、救急車の発動の一番多い「魔の時間帯」となります。急激な温度の変化や激しい動きは、少し控えめにして、血圧を自分でチェックしながら、のんびり過ごすのが、事故を未然に防ぐ秘訣です。詳しくは、本院か大阪大学医学部附属病院老年・高血圧内科へご相談ください。

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第7号:肩こりと頭痛
(2002.4.4)

ご無沙汰いたしております。Dr.まんぼうも長い冬眠からさめると、もう桜は散ろうとしていました。例年ならば、これからお花見というのに、これも異常気象の一種でしょうか。

さて、春眠暁を覚えずと言いますが、うたた寝の後、肩こりや頭痛に悩まされる方も多いのではないでしょうか。腰痛、腹痛とならんで、外来受診の理由のトップ5に必ず入るのが肩こりと頭痛です。

大部分の頭痛は、肩こりの親戚のようなもので、薄い筋肉の血流障害によって起こります。病名としては、筋緊張性頭痛と呼ばれます。頭の上から後ろにかけて重い、首の後ろから肩にかけてがこるというのは、特徴的な症状です。むやみに揉み解したり、大量に湿布を張るよりも、適度な運動や、ストレッチ体操などが効果的です。入浴もいいですが、ぬる目のお湯にしておきましょう。ただ、肩こりの中でも、動かすと激痛が走る、動かない場合には、肩関節内のじん帯や軟骨に異常がある可能性がありますので、無理は禁物です。

頭痛でも、心臓の拍動に応じてドックンドックンと痛む場合は血管運動性頭痛、目の前がちかちかしたり、暗くなったりしたあと、激痛が襲う場合は片頭痛、眉毛の真ん中やや外よりや、頬部、下唇のやや下を中心に激痛が走る場合は三叉神経痛など、特殊な治療が必要なものもあります。特に、片頭痛に対しては、最近新しいお薬も出ていますので、また主治医に相談してみてください。

頭痛に加えて、視野が欠けたり、麻痺症状が出る場合は、即刻専門医を受診すべきです。脳腫瘍や動脈瘤破裂によるくも膜下出血などの危険性があります。しかし、頭痛のほとんどは筋緊張性頭痛であり、残りの中で突然の激痛を伴うものは片頭痛か三叉神経痛が多いとされ、命にかかわるものはまれですので、あわてて脳外科を受診しても受け付けてもらえないことが多いのでご注意下さい。

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