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<奏法について>  2004.2.27.Fri.作成 2006.11.12.Sun..0:05 更新
 一般の教則本に解説されている奏法を御紹介してもしょうがない。
教則本に解説されていない奏法についても解説します。
また、ちょっと違った角度から奏法を眺めてみましょう。

1.奏法についての考え方
 特殊奏法が楽譜に指示されていれば、自動的にそう行わなければならないと考える方がほとんどだと思います(もしかしたら全員?)。
しかし、「良い演奏について」のページに解説しましたが、まず先にイメージがあって曲があるわけです。
作曲者がその奏法を行うことを演奏者に強制していると考えるのか、その奏法がもたらす効果を期待してると考えるのか、どちらなのか。
私は後者だと思います。
ですから、教則本などに書かれている奏法を何も考えずに機械的に行うのではなく、作曲者がどんなイメージでそう指定したのかを考え、その作曲者のイメージに合うのならば時には従来とはちがう奏法も行うべきと思います。
作曲者が想定しなかった(思いつかなかった、知らなかった)奏法の方が、作曲者の意図に合うのなら、その奏法を使用すべきではないでしょうか。

2.ピチカート奏法
 ピチカートは、ぼそぼそした音を出す奏法ですね。
pizzicato(名詞)の動詞形である pizzicare は、「つまむ、つねる、虫が刺す、現場を押さえる、かゆい、人を叩きたくて手がむずむずする」などの意味があります/(引用)音楽用語・楽器名 由来辞典  遠藤三郎 著
(1)
通常のピチカート
 教則本によれば、ブリッジ上に小指側の手の横を乗せて弾きます。
これは、音量が出にくいのと早く弾くことがちょっと困難です。
(2)ブリッジごく付近の弦上に手を置く
 この方法では、(1)の通常の奏法よりも音量が得られます。
ピチカートは、基本的にはこの奏法をお勧めします。
(3)親指の付け根奏法
 親指の指先から第2関節を同時に弦に付けて、その部分を用いて弾き、すぐに元に戻して消音します。
親指第2関節から指先の部分での肉弾き後、直ちに消音ということです。
この奏法は、通常の音とピチカートを交互に早く切り替わって出てくる曲(トローバのソナチネ第1楽章など)に有効です。
また、低音のみピチカート、高音通常の音が可能になります。
(4)肉弾きピチカート
 ブリッジの近くを肉弾きし、直ちに弾いた弦に触れて消音をしますが、このとき弦に触れるのと同時に手の平(小指の付け根から手首の部分)をブリッジ置きます。
こうすることにより、音量のある柔らかなピッチカートの効果が得られます。
私は、朱色の塔の中間部分の高音部和音でのピチカートで使用しています。
(5)移動テクニック
 ピチカート奏法を行ってから、右手の弦との接触部分を移動させるテクニックです。
 ・(1)の位置から弾くと同時にすばやく接している右手を弦の方に移動します。
 ・(2)の位置から弾くと同時にすばやく接している右手をヘッド側に移動します。
 ・(1)のピチカートを行うと同時に右手を浮かしピチカートを中止します。
 ・(2)のピチカートを行うと同時に右手を浮かしピチカートを中止します。
 ・通常に右手で弾き、即ピチカートの位置に右手を置きます。

3.スラー奏法
 スラーの記号がついていると、ギターでは、上昇スラーは左指でたたく(hammering on)、下降スラーは左指ではじく(pull off)のスラー奏法を行うのが通常ですね。
しかし、スラー=スラーの特殊奏法は、ギターだけで、他の楽器や歌唱ではスラーは「滑らかに音をつなぐ」でしかありません。
スラー奏法とスラーを同じ記号で表したことに問題があります。
このため、点線と実線で両者を区別している楽譜も一部にはあります。
スラーの本来の意味を考えて、時にはスラー奏法を使わないスラーでの演奏も必要です。
 では、スラー奏法について解説しましょう。
(1)下降スラー/pull off
 指は、1弦側から斜めに押さえます。
pull する指は、低音弦側に少し押し上げてから1弦側に抜くようにします。
このとき軽く僅かにひっかけぎみにしますが、教則本にあるように「ひっかいて」はいけません。
ひっかくと、どうしても雑音(ぴち、など)が出てしまいます。
(2)上昇スラー/hammering on
 これは、多くの教則本にあるように叩くで良いのですが指は指板に対して常に垂直に叩くのでなく、いろいろな角度で叩きます。
また、叩く際には、「指だけで叩く」「手首の回転によって叩く」「腕から叩く」など、いろいろあります。
(3)隣のフレットに対するスラー
 これは、私が思いついた方法で、教則本等には記述されていません。
隣のフレットつまり半音のスラーは、押さえている指を隣のフレットにずらすことでもできます。
つまり、奏法的にはポルタメントなんですが、音的にはスラーになります。
この方法の方が雑音が出ないですし、滑らかなスラーになるので本来のスラーの意味からすれば、この方法の方が優れているかもしれません。
(4)滑らかな下降スラー
 pullする指を、まず指先で弦を押さえるのではなく、手の平側の指先と関節の間の一番盛り上がったところくらいでベタと弦を押さえます。
その状態から、pullする指を斜め下方向に抜きます。
斜め下というのは、少し弦から指が離れる方向(指板から僅かに垂直方向)で下側(床面)に抜くと言うことです。

4.トレモロについて
 トレモロは、結構皆さん早め(ギター暦浅い目に)に練習を始められますね。
中級クラスの技術と思っておられる方が多いように思います。
 しかし、私は、トレモロは最も高度な技術ではないかと思います。
なぜならば、姿勢、構え方、演奏法、爪の長さと形、など、全てがきちんと揃わないと上手くいかない技術だからです。
これらが、一応これで良いと思えるようになるにはかなりの経験(ギター暦)を要します。
プロの中にもトレモロに自信のない方もおられるのではないでしょうか。
そして、プロの演奏でもきれいなトレモロにはそう多くは出会えません。
私は、他人に聴いてもらってもそう恥ずかしくないと思えるようになったのは、ギター暦20数年のときでした。
 さて、ある人は、「アルハンブラの思い出を1回弾くと、くたくたになる。」と言っていました。
親指の低音だけ音が大きくて、トレモロの高音が小さい人もいます。
また、十分ウオーミングアップしないと弾けないとか、小指が出てくるとか、いろいろとトレモロは大変難しいですね。
これらのことは、その方の演奏技術の欠点がトレモロの場合に顕著に表れるからです。
 1回弾くとくたくたになるとか、ウオーミングアップしないと上手くできないとか、小指が出てくるとかは、弾くときに右手の力を入れすぎているからです。
あるいは、力を入れすぎないと弾けない弾き方になっているからです。
または、指の動きが大きすぎるのかも知れません。
 トレモロが小さくて低音が大きい人は、力を入れるタイミングと抜くタイミングが上手くいっていないか、弦を弾く方向が誤っているか、指の動きが大きすぎるのです。
 最小限の力で、最小限の動きで、最小限の時間だけ指を動かさないと上手なトレモロはできません。
つまり、脱力運動を身に付けないときれいなトレモロは難しいでしょう。
脱力運動については、そのページを参照下さい。

5.トレモロの練習法
(その1)
 指の動きを小さくして、なおかつ、音量の十分確保し、均一に音を出すことが必要ですね。
その練習方法として、弦を表面板に押し込むように指先で順に叩くようにアルアイレします。
弦を叩くと同時に力を抜く、指を元に戻します。
このとき、音量とタイミングをきちんと均等になるように注意して練習します。
力は入れすぎないように軽く弦を叩き、すぐに力を抜くことが大切。
これらのことがきちんとできる最大速度で練習します。
不均等になっていたり、指に知らないうちに無駄な力が入っていたり、動きのおかしい指になっていたりしないように細心の注意を払って練習しなければなりません。
もし、そのような状態になっているのに練習を続ければ、その練習は、不均等なトレモロを弾くための練習や無駄な力を入れるための練習、おかしな動きを身に付けるための練習、・・・、つまり、下手になって行く練習になってしまいますから、絶対避けなければなりません。
(その2)
 ・爪と弾き方のチェック
  1本の高音弦(1〜3弦のどれでもよい)に右手の4本の指(p,i,m,a)全てを置きます。
 そして、弦に置いた状態から4本の指で同時に弾きます。
 4本の異なる弦で同時和音(4本の弦を同時に弾く和音)を弾くのと同様の弾き方を、1本の弦で行うのです。
 どの指も同じ力で同じように抜けて(弦から外れて)滑らかに弾くことが出来ればOKです。
 これが、上手くできないのならば、良いトレモロはまずできません。
 ・練習法
  2弦を用いてトレモロの練習を行います。
 a指を弦を弾く構えで2弦に置き、弦上に停止させます。
 そこから、弦を表面板に押し込むようにします。
 付け根の関節を曲げ、第二関節を伸ばし、指を延ばすようにします。
 弦を表面板に押し込むようにするには、自然とそのように行うと思います。
 ある程度押し込んだら、少しだけ手首を返す(手の甲の側に曲げる)と同時に指先を高音弦側に逃がすようにしてください。
 このとき指の第2関節を曲げて弾こうとせずに、力を抜きながら僅かに第2関節を曲げる感じです。
 a指が弦から離れたら直ちに指および手首の力を抜き、直ぐにm指を2弦に置きます。
 この時、m指を2弦に出来る限り早く、しかも指や手首などの緊張無しに行います。
 当然ながら、このことが行える構え方をしていなければなりません。
 m指を弦上で静止させたら、a指と同様にして弾きます。
 以下同様に、i指も行います。
 p指も同様に行うのですが、p指は5弦で行うと良いでしょう。
 p指から始めれば、アルハンブラの最初の部分になります。
  以上の練習は、確実に出来る速度で行わなければなりません。
 きれいで力強いトレモロは、弾くタイミング、強さを完璧にコントロールしなければなりません。
 そのためには、たいへんまどろっこしいですが、確実に行うことが大切です。
 最初は、1音出すのに数秒(もしくはそれ以上)かかるかもしれませんが、いい加減に行うのは、できなくなる練習になってしまいます。
 辛抱強く、根気よく練習するしかありません。
 練習を行う前には、必ず最初に記したチェックを行ってからしてください。
 練習の途中でもチェックを行うことをお勧めいたします。

6.ポルタメントとグリッサンド
 この2つはよく似ていますから、同じことと思っている方が居られるかもしれません。
ポルタメントは、音程の異なる2つの音を無段階に滑らかにつないでいくことです。
低音から高音に無段階に音程を上昇させていったり、その逆であったりします。
シンセで、ダイヤルを回してぎゅーんと音程を上げたり、バイオリンで弓を引きながら弦を押さえている指を押さえたまま移動させたりします。
 グリッサンドは、音程の異なる2つの音の間に複数の音があり、段階的に滑らかに音程を変えていくことです。
ピアノで低音のキーから高音のキーまでキーを押さえたまま移動させる奏法は、グリッサンドです。
ピアノでは、ポルタメントは構造上不可能です。
ギターはフレットがありますので、厳密にはグリッサンドだけしかできないのですが、ポルタメントに聞こえるように弾くことができます。
 強い力で押弦して行うとグリッサンド的になり、力を抜いて軽く行うとポルタメント的になります。

7.自然ハーモニックス
 これは、ご存じのように3,4,5,7,9,12,19,24フレットなどを軽く触れて出すハーモニックスです。
フレットの上を軽く触れてと、教則本には書いてありますが、実際の触れる位置はフレットの真上とは限りません。
自然ハーモニックスは、弦長の1/2(12フレット)、1/3(7フレット)などですから、音階で言えば純正率音階になります。
しかし、ギターのフレットは12平均率音階を基に作られているので、ハーモニックスがきれいに鳴る位置とはずれるのです。
ですから、そのフレットの位置付近できれいに鳴るポイントを探さなくてはなりません。
 ハーモニックスの音の表情、音色などを変えれないと誤解している人もいるようですが、もちろん通常の音と同様に変化させることができます。
通常の音の場合に行うタッチや弾く位置、弾く方向などの変化と同様にいろいろ行えば、音は変化します。
また、ハーモニックスにビブラートをかける場合には、ハーモニックスの音の高さと同じ高さ(オクターブ上下しても良い)の他の弦のポジションを押弦してビブラートすれば、共振作用でビブラートがかかるのです。

8.オクターブハーモニックス(人工ハーモニックス)
 これは、左手で押弦したポジションの12フレット上を右手の指先で触れて弾くことによりハーモニックスを作ります。
12フレット上の位置は、弦長の半分になりますから押弦している音程の1オクターブ上の音が出ます。
通常は、人差し指で触れて薬指で打弦します。
(1)触れる位置
 12フレット上の位置を触れるわけですが、12フレットをナットと思って楽譜通りの位置を触れると、ちょうど12フレット上になります。
(2)音の表情を変化/右手
 打弦する際に、通常の音の場合と同様に、弦を表面板に押し込んだり、弦上を滑らせて弾いたり、弦に対して垂直に弾くなど、タッチを変えることによりハーモニックスの音も変化します。
(3)逆の指
 通常と逆の指、つまり薬指で触れて人差し指で打弦する。
通常よりも柔らかめのハーモニックスになります。
(4)親指と薬指
 親指で触れて、薬指で打弦する。
(5)ハーモニックスと自然音の混合音
 まず、親指で触れて、薬指で打弦します。
ハーモニックスが出た瞬間、触れている親指で更に打弦します。
すると、ハーモニックスと自然音のミックスした音が出ます。
(6)3倍音のハーモニックス
 これは、開放弦の振動数の3倍の振動数による1オクターブ+5度上の音がでます。
自然ハーモニックス(開放弦のハーモニックス)では、7フレットもしくは19フレットで3倍音ハーモニックスになりますから、この原理の応用です。
押弦した7フレットもしくは19フレット上を触れて打弦すればよいのです。
(7)4倍音以上のハーモニックス
 5フレットの自然ハーモニックスは開放弦の振動数の4倍上の音であり、開放弦の2オクターブ上の音になります。
ですから、押弦したフレットの5フレット上もしくは24フレット上で人工ハーモニックスを行えばよいのです。
同様にすれば、5倍音、6倍音の人工ハーモニックスが可能です。
(8)音の表情の変化/左手
 これは、左手の押弦している指を通常の音の場合と同様に、ビブラート、押さえ込み、引っ張り、など、行えば音が変化します。

9.タンボーラ
 ご存じのように、大太鼓の音を模倣する奏法です。
(1)通常の奏法
 教則本に載っている方法は、右手の手首を回転させ、親指の側面全体でブリッジ近くの弦上を叩く方法です。
 太い重みのあるタンボーラになります。
(2)親指以外
 ブリッジ近くの弦上を叩くことは同じなのですが、親指以外の指でも行います。
 手首の曲げ伸ばし(スナップを効かせる)によって中指全体(手の平側)を弦に叩きつけます。
 また、中指1本だけではなく、中指+人差し指、中指+薬指、中指+人差し指+薬指、など、四指のいろいろな組み合わせによって、音の表情が変化します。
 親指以外で行う方が、親指で行う方法よりも速度を上げることができます。
(3)交互
 人差し指と中指、あるいは、人差し指と薬指、など交互に弦を叩きます。
 速度的には、上記の中では最も速い速度が可能ですが、その分、軽めの音になります。
(4)ブリッジからの距離
 弦を叩く位置を変える(ブリッジからの距離を変える)ことによって、音の表情が変化します。
(5)指の角度
 ブリッジに対して指を斜めにして叩く。
 つまり、高音弦側と低音弦側で、弦を叩くブリッジからの距離を変えるわけです。

10.タバレット奏法
 小太鼓の音を模倣した奏法のことです。
教則本等では、5弦を6弦に重ね合わせて弾くように解説されていますね。
重ね合わせる際には、左手人差し指を軽く曲げて指板上を滑らせるようにして、下から(指板と弦との間から)人差し指を伸ばしながら弦を上に持ち上げ(指板面と垂直直方向)ます。
その状態で、左手中指で弦を6弦方向に押し上げて6弦に重ね合わせます。
6弦の上に5弦が乗る状態で重ね合わせます。
弦を押さえる指は、人差し指または中指が普通でしょう。
 また、逆に6弦を5弦の上に重ね合わせてもかまわないでしょう。
左手中指もしくは人差し指を曲げながら6弦を指ですくい上げ指を曲げながら6弦を5弦の上に置きます。
 いずれにせよ、弦を重ね合わせた状態で右手で弾けば、巻弦の金属が擦れ合い、そのとき発生する雑音がちょうど小太鼓の巻き線の音になるわけです。
(1)重ね合わせる弦
 これは、通常は上記のように5弦と6弦が多いですが、他の弦の組み合わせも可能です。
すなわち、低音弦では、5弦+6弦、5弦+4弦、の2通りが一般的な組み合わせですが、4弦+5弦+6弦の3本重ねも可能です。
また、4弦+3弦や高音弦同士の組み合わせもありうるでしょう。
 弦の組み合わせを変えれば当然ながら、音程と音色が変化します。
(2)重ね合わせる位置
 どのポジションで弦を重ね合わせるかで、タバレットの音程が変化します。
同じ弦の組み合わせならば、ローポジションよりもハイポジションで重ね合わせる方が音程は、当然上がりますね。
(3)右手
 右手も目的に応じて様々に使い分ける必要があります。
一般的にはi指+m指ですが、小太鼓のトレモロの模倣の場合には、a指+m指+i指もしくはp指+a指+m指+i指で行います。
さらに、音量の必要な小太鼓のトレモロ模倣のタバレットでは、ラスゲアード・リブレの右手の動きでタバレットを行う場合もあります。
また、ギターと小太鼓の2重奏の模倣として、タバレットと通常の音の両方の場合には、p指でタバレットを行い他の3指で通常の音を出します。
タバレットにおいても通常の音の場合と同様に、右手の位置やタッチなど弾き方を変えれば、それは音色に影響を与えます。
(4)まとめ
 タバレットにおいても考え方は他の奏法と同じで、作曲者が意図するイメージを想定しどの様にすればよいのかを考えることが大切です。
あらゆる弦の組み合わせ、重ね合わせる弦の上下、押さえるポジション、右手の弾き方、など無数の組み合わせがあります。
もし、譜面上に重ね合わせる弦の組み合わせやポジションが指定されていれば、それが作曲者のイメージを推定する1つのヒントになりますが、指定されている通りに考えもせず漫然と行うことは避けなければなりません。
なぜ、その指定が為されているのかを考察しなければならないのです。

11.ラスゲアド(Rasgueado)
 これは、元々はもちろんフラメンコギターの奏法の1つですが、クラシックギターの楽譜においても特にスペインの作曲家の曲ではしばしば現れます。
右手の爪の手の甲の側で弦を弾く奏法です。
フラメンコギターのおけるラスゲアドは、パーカション的な要素も含みますのでかなり激しく掻き鳴らされます。
細かく分類すればいろいろありますが、大きくは、1回行うラスゲアドと連続して行うラスゲアド・ドブレがあります。
クラシックギターでは、連続して行うラスゲアド・ドブレは出てこないでしょう。
ラスゲアド奏法を指定する場合、楽譜では、Ras.と書かれています。
フラメンコギターのおけるラスゲアド奏法は、右手を握った状態から指をはじくように小指から順に開いていき弦に爪を叩きつけていきます。
これは、踊り手や歌手、聴衆の手拍子、足でのタップ、歌手の声、などに負けない(消されない)で音を出す必要があるからです。
それに対して、クラシックギターでは、ギター以外の音は考えなくてもよいので、フラメンコギターの奏法では、音がきつすぎになってしまいます。
 では、クラシックギターにおけるラスゲアド奏法について、解説します。
(1)基本的なラスゲアド
 右手を軽く握り、もしくは脱力状態で、右手小指の手の甲側の爪を6弦に置きます。
このとき、小指から人差し指はくっつけ、これら4本の指の爪は1直線に並ぶようにします。
そして、人差し指がネックの方に、小指がブリッジの方になるようにし、1直線に並んだ爪の直線が弦の面に対して30度〜45度位になるようにします。
小指〜人差し指の順に、爪の手の甲側で順に指を開きながら弦を弾いていきます。
最後に親指(通常の爪の面で手の甲側ではない)で弾く場合と、親指は使わない場合があります。
(2)指だけで弾く
 指を開くことだけで、他の箇所はあまり使わないで行います。
(3)手首の回転
 指を開きながら、同時に手首を回転させることによって行います。
(4)肘を使う
 肘を伸ばすことによって、手を1弦側に下げていく動作を伴って行います。
(5)手首の回転と肘を同時
 これは、(3)と(4)の動作を同時に行いながらすることです。
大きな音が必要なラスゲアドの時に用いると良いでしょう。
(6)指をはじく
 手を握って指を伸ばす筋肉を緊張させ、指に力をためて、指をはじくことで、弦に爪を強くぶつけるやり方です。
はじき方の強さを変えることで、音量を調整することができます。
(7)弦を撫でる
 指を自然と開くようにしながら弦を撫でるように爪を滑らせていきます。
これも、途中で指を開く力を変えたり、途中から指をはじくようにするなどで、いろいろな表情のラスゲアドができます。