Broken Hill


Broken Hill(ブロークンヒル)は、あたしが訪れたオーストラリアの場所の中でもひときわ印象の強い街です。まず、ブロークンヒルて、どこにあんねん?!と言う感じやと思うけど、シドニーからやと電車で約13時間西に行ったところ。ニューサウスウェールズ州の端っこの方です。何でまたそんなところに行こうかと思ったかというと、使っていたパスというのがニューサウスウェールズ全域使えるということで、それやったら一番遠いところはどこや?!と考えるのは至極普通で、見つけたのがこのブロークンヒルやったというわけです。ブロークンヒルに関しては、全く知識がなくて、ホストファミリーとか学校の先生に聞くと、みんなが口をそろえて『暑い』ということやった。しかも『真夏にブロークンヒルに行くなんて……!!!!』と言う感じで、だいぶんびっくりしていた。そして、ブロークンヒルは、ニューサウスウェールズのアウトバックとも言われているようで、その意味は『奥地』というらしい。あたしはてっきり、赤い土で何にもないところのことを言うんかと思っていた。

それはさておき、ブロークンヒル。シドニーからの電車はほぼ爆睡。前日にネットオールしていただけあって、寝れる寝れる。たまに目がさめて電車の外を観て、何もないなぁ、とぼんやり思って、また寝る。それで、またしばらくして起きて、外を観ても、やっぱり相変わらず何もない。途中、アボリジニーの人がいっぱい乗ってきた。やっぱり、内陸に行く方がアボリジニーの人は多いんかなー、と思った。ブロークンヒルに着くころには、疲れでぼーっとしていた。荷物も相変わらず多いし。早速地図とにらめっこしてYHAがどこかを探す。荷物が重くてイライラしてる最中、めっちゃ大きい虹が出ていた。きれいねんけど、それよりも、だるい方が先行してしまった。一応写真に収めたけど。YHAに着くと、えらい小ぶりなYHAで、レセプションのおばちゃんがめっちゃマイペースやった。しんどいから早くしてくれよ、と思ったけど、なおもマイペースに説明をするおばちゃん。あげくの果てには、YHAの中の設備の説明(ここがキッチンで〜、ここがプールで〜みたいな感じで。)まではじめるから、参った。元気な時にそういうことまでしてくれたら、ありがたいわ〜、と思えるんやけど、本気でしんどいときは、とりあえず早く座ってぐったりしたい。けど、このブロークンヒルのYHA、めちゃくちゃよかった。家族経営らしく、たまにレセプションのボタンを押したら、子どもが出てきて自分のお父さんのことを『オーナー』とよんで、『オーナー呼んできます……(奥の部屋に入って)お父さん〜、お客さんが自転車借りたいらしい〜〜〜!!!』とか言うてるから面白い。オーナーも奥さんもめっちゃ優しいし、いつも『大丈夫?』とか色々気遣ってくれた。ツインの部屋が多いらしく、友達と2人っきりで、5泊ほど滞在するからと、部屋も散らかし放題でかなりよかった。気ぃつかわんでいいからな。

まぁ、しかし、若干疲れ気味でスタートしたブロークンヒルやけど、この街の何がそんなにスペシャルなのかというと、"City of the arts"という異名を持つ町だけに、アートギャラリーが多い。古くから、鉱山で栄えた街で(今でも世界指折りのマイン産業が盛んな地らしい。)、結構古い町並みをいまだに残していたり、ブロークンヒルから20キロほど離れたSilverton(シルバートン)という街は、今はもうゴーストタウンなっていることで有名らしい。ゴーストタウンというても、それゆえに、今は観光客が多く訪れるらしいんやけど。映画の撮影にも使われたりしているらしく、ブロークンヒルにもプリシラ(残念ながらまだ観たことない!!!)という映画に使われたホテル&バーがあった。もちろん、そんなバー見に行くに決まってるし!!と思って友達といってみたけど、ちょっと怖かったから、写真だけとって速攻でてきた。バーで写真?!は?!と思われるかもしれへんけど、なぜプリシラにこのバーが使われたかというと、このバーの内装(壁や天井に一面に絵が描かれている!!!)がめっちゃかわってるからだそうで、それをちょいと写真に収めたかったまでです。夏で日が長かったせいもあってか、7時か8時にいったのに、外はまだ明るくて、他の店は閉まって、街自体から人が消えたみたいな雰囲気で外には人がおらへんのになぜか、バーにも人がまばらで微妙な雰囲気やった、あれは。うん。

ブロークンヒルは、前述のとおり、マイン工業(鉄鉱業)が盛んなんやけど、それを利用したUnderground Mining Tours(アンダーグラウンドマイニングツアー)という、実際に鉄鉱を掘っていた地下にいけるというなんともエキサイティングなツアーがあったから参加してきた。要予約で、気合入りまくりでの参加。作業服みたいなのを着て、重いバッテリーを腰に下げて、そこから延びる線はヘルメットのライトに。ライトがちゃんとつくか確認できたらこれ、準備完了。この道何十年、というおっちゃんのガイドのもと、シャフトと呼ばれるエレベーターみたいな箱型の乗り物に乗って、いざ地下の世界へ!!!!こんな地下にいけることもめったにあることじゃないから、テンションだけはごめんやけどうなぎのぼりで、写真も暗すぎてちゃんと撮れてへんのがわかってるのに、シャッターきりまくりやった。地下の世界の印象は、うわ!!!!ラピュタや!!!という感じ。シャフトも、パズーが親方に頼まれて操縦しているみたいなあんな感じやった。地下は、もちろんそんなに天井が高くなくて、いかにも「掘りました」という感じのその通路は、うわ〜、ポムじいさんでてきそうや〜、と大興奮。梁にいろいろ文字が書いてあって、この先危険、とか、頭上注意、とか、あとは、マイナーたちのトイレとか、普段は見ることのない鉱山の様子をみれて大満足やった。最後に、行き止まりの部屋があって、そこで全員ライトを消すように指示されて、ライトを消してみてびっくり。ほんまの真っ暗やねん。そら、地下やから真っ暗なんはあたりまえやけど、さっきまで見えていたものが一切みえへんようになって、急にマイン産業の過酷さや怖さみたいなもんを見た気がした。あたしが参加したのは400フィート(1200メートルくらいかな?!)ほど下る、というものやってんけど、もっと深いマインのところは、蒸し暑くて仕方ないらしい。あたしは、そんな寒いとも暑いともおもわへんかってんけど、暑くても、寒くても大変やでなぁ。しかも、岩を砕くわけやから、マシンの騒音はものすごいらしい。最後に、マイナー修了書みたいなものをもらってマインツアーは終了した。

アンダーグラウンドツアーよりも身体を張って感動したのがSunset Scripture(サンセットスクリプチャー)。ブロークンヒルの町から約13キロほど離れたところにサンセットスクリプチャーという場所があって、何があるのかというと、何もないところに岩のオブジェが置いてあるという場所で。その名のとおり、サンセット(夕日)時に行くとめっちゃきれいらしい。13キロも離れていてどうやっていくのかというと、選択肢は3つ。@歩きAレンタカーBチャリンコ。一番無難かと思われるのがレンタカーなんやけど、友達と2人やしやっぱり高いということで、B番チャリンコで行く事になった。しかし、何せお金がないから、一日中チャリンコを借りるのもなぁ、と思って、半日だけ借りて行く事にした。やっぱ、サンセットやろう、ということで早めの夕食を済ませて(おなかが減ると、動かれへんようになるのはすでにブルーマウンテンズで経験済みのため、しっかり食べた。笑)、夕方に出発した。オーストラリアでは、まずママチャリを見かけたことがない。そういうわけで、貸し出しチャリンコももちろん、本気チャリンコ。そして、ヘルメット着用。これは、法律らしい。本気チャリンコ、速いは速いんやけど、サドルが辛すぎる!!!めっちゃ硬いねん。本気やから。そんなん普段のらへんから当然すぐにおしりが痛くなってきて、ブーブーいいながら出発したけど、途中からほんまに辛くて、おしりに体重がいかへんようにチャリンコをこぐもんやから、なんか他のところに負担がかかって膝とかまで痛くなってきた。もっと、気軽にチャリンコ乗りたいわ。それはさておき、すごいのは景色。街を抜けると、まもなく両サイドには何もなくなった。あるのは砂漠のみ。イメージで言うと、砂漠というても、サハラ砂漠みたいな砂の砂漠じゃなくて、どっちかというとアフリカの草原、みたいな感じ。赤い土が広がっていて、その上に木とか草が生えていると言う感じやった。チャリンコのスピードが結構でるから、途中こぐのが楽しくなってぶっ飛ばしてみたりした。最後2キロくらいの道が最強に悪くて、でこぼこもええとこ。このでこぼこがさらにおしり痛いねん!!!!!!!最後の坂道の前でチャリンコをとめて歩きでサンセットスクリプチャーポイントまでむかった。いろんな岩があって面白かったけど、岩よりも何よりも、そこから見た景色がすごかった。何もないところを爆走してきたけど、止まって、小高いところに立ってそれを客観的にみて始めて、そこがめっちゃ広いことに気が付いた。そこって言うのは、もう、なんか、オーストラリア全土の規模で。なんちゅう広い国や!!!て思った。ブロークンヒルの町の始まりと終わりも見えた。つまり、砂漠に街がぽつんとある、っていう風景。これは、ほんまに、びびった。すごい。360度に地平線が見えた。地球って、ほんまに丸いねや〜、と海以外のものを見て思ったのははじめてやった。日も落ちてきてきれいやん〜、てそんな悠長なことをしてる場合でもなかった。チャリンコやから、暗くなったらお終いや。感動もそこそこに、再びチャリンコで13キロ先の町まで……。ケツがいたいっっっっっ!!!!けど、こがなたどり着かれへん!!!というわけで、夕暮れの中チャリンコを爆走。日が暮れたころには無事にYHAに着いてよかった。
  

もちろん、街歩きもしてきた。あたしは、友だちと旅の行程を共にしながら、お互いがお互いをまたへん、というこのスタイルを取っていてそれがすごい楽やった。だから、ツアーとかレンタルサイクルとかは一緒にしたけど、やっぱりお互い違うことをしたい日もあるやろうということで、この街歩きデイ、言うたらギャラリー巡りやな、は別々に動くことになった。さっきも書いたけど、ブロークンヒルはほんまにギャラリーが多い。マインにしろ、アウトバックにしろ、どこか他の町とは違う要素を含んだこの街が、アーティストたちに愛されないわけがなく、実際たくさんのアーティストたちがブロークンヒル出身であったり、あるいはギャラリーを構えて活動をしていたりするらしい。ギャラリーは、小ぶりなものが多くて、ほとんどが入場無料やった。暑い中歩いてアップダウンの坂を登ったり下ったりしつつ、いろいろなギャラリーを見たけども!!!特に気に入ったのを3つほど。1つ目は、Broken Hill Regional Art Gallery(ブロークンヒルリージョナルアートギャラリー)。旧リージョナルアートギャラリーから移転してまだ3ヶ月くらいしか経っていないというそのギャラリーは、古い建物を使っているけど、内装が真っ白ですっきりとした印象を受けた。階段を上ったところが、シャフト(エレベーターみたいな乗り物)みたいになっていたり、他の作品にもたくさんマイン工場や、マイナーをモデルにした絵があって、この街は、ほんまにマインで成り立っているんやなぁ、と思わせられた。地元のアーティストたちがブロークンヒルを描く時、真っ先に思い浮かぶのがこのマインなんやろうなぁ。アボリジニーアートもこのギャラリーにはあって、鉄みたいな素材でハリネズミを作ってあったり、立体的な作品が多くて面白かった。2つ目は、Images of Australiaという写真のアートギャラリー。Boris Hlavicaという人が撮ったオーストラリアの風景の写真を展示しているんやけど、写真てすごいなぁ、と改めて思った。そして、こんな風景があるオーストラリアもすごいなぁ、と思った。こじんまりとしたギャラリーやったけどなかなか見ごたえがあって楽しかった。そして3つ目は、Pro Hart Gallery(プロハートギャラリー)。プロハートというのは、ブロークンヒルを代表するアーティストだそうで、このプロハートギャラリーは、彼の作品はもちろん、プロが集めた絵画や美術品も飾ってあって、個人で所有するアートコレクションギャラリーではオーストラリアで一番大きいのだそう。そういうわけで、ちゃっかり入場料取られた。けど、やっぱりお金を取るだけあって、いっぱいあった。プロの絵はめっちゃ力強くて、赤土、マイン、といったブロークンヒルらしい絵がたくさんで、彼の絵の特徴の一つである『マスクをかぶった人間』シリーズの絵も気に入った。ポストカードまで買ってしまった。彼には5人の子どもがいるらしく、そのうちの3人がこれまた画家だそうで。そのうちの一人、Julie Hartというアーティストのギャラリーも勧められて行ってみた。ジュリーの絵はあんまり覚えてへんのやけど、そのギャラリーにたどり着くまでにチャリンコスパッツみたいなんをはいたおっさんに、『おーい』とか言われてついてこられてるっぽくなって、ちょっと怖いし気持ち悪いし!!!!!!と思ったことと、ギャラリーのおっちゃんとおばちゃんがめっちゃいい人らで、コーヒーを入れてくれて、これ食べー、と差し出されたビスケットがバケツに入っていたのをよく覚えている。しかも、おっちゃんとおばちゃんには、YHAまで送ってもらったし、ほんま、至れり尽せりやったなぁ〜。うん。ありがとう、おっちゃんとおばちゃん!!!

後、ブロークンヒルといえば、水がまずい!!!!!1.5リットルかける6本の水をスーパーでこうて友達とブーブーいいながら持ち運んだ思い出も。確実に、力強くなっている。笑 それから、オーストラリアのいろんなところに『大きいものシリーズ』というのがあるらしいんやけど、この街には『めっちゃ大きいベンチ』があった。

▼Images of Broken Hill
  
  
  

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