曹洞宗の葬儀関連の回向

壇信徒喪儀法を紹介します。諸般・時々により異なります。 By:Jikyo ©


臨終諷経(りんじゅうふぎん)(枕経)


 訃報に接したならば、喪家に伺い懇ろに弔辞を述べ哀悼の意を表し、臨終諷経を行います。
遺教経舎利礼文3偏を読誦し回向。今後についてご相談いたします。
何なりとご相談下さい。

回向

上来、香華灯燭浄水を供え、仏垂般涅槃略説教誡経(遺教経)・舎利礼文を諷誦す、集むる所の功徳は、新亡精霊に回向す。こいがねう所は四大縁謝の次いで報知を荘厳せんことを。
 十方三世‥‥

準備物‥‥
 <大経本・回向集・数珠・中陰表・位牌>

  話題 

      通夜諷経(つやふぎん)

  開経偈と観世音菩薩普門品

回向

「一切の有為の法は夢と幻と泡と陰との如く、露の如く亦稲妻の如し、応に是くの如きの観を作すべし。仰冀くは三宝、ふして照鑑を垂れたまえ。 上来謹んで佛諷誦す、集むるところの功徳は、新亡精霊(俗名何某)に回向す、冀う所は速やかに如来宝明に入らんことを」  (略三宝)

準備物‥‥

  <位牌・大衣・木蘭お袈裟・大経本・数珠・手巾・座椅子・薫香・水筒>





準備物‥‥

  <血脈・法語・戒尺・払子・差定・塔婆:赤衣・金襴袈裟・回向要集>
  <塔婆・大衣・木蘭お袈裟・数珠・手巾・座椅子・薫香・水筒>
  <法語・位牌・のり・タブレット・SP・座椅子・水筒・タオル・アイマ・スマ>

壇信徒喪儀法

‥‥ご導師をお迎えします。ご一同様には‥‥ ご一同 「合掌」  〈開式〉

剃髪

まず上香し合掌して報恩偈を三回唱えます。

「流転三界中 恩愛不能断 棄恩入無為 真実報恩者。」
(るでんさがいちゅう おんないふのうだん きおんにゅうむい しんじつほうおんしゃ)

次に剃刀を取って香に薫じ、合掌し「剃髪の偈」を三唱する。

「剃除鬚髪 当願衆生 永離煩悩 究竟寂滅。」
(ていじょしゅほつ とうがんしゅじょう ようりぼんのう くぎょうじゃくめつ)

剃刀をもどして焼香します。

受戒

戒尺3回して曰く

夫れ新帰元某甲信士・信女、帰戒を求めんと欲せば、先ずまさに懺悔すべし。二儀両懴有りといえども、先仏の護持しまう所、曩祖の伝来したまう所の懺悔の文有り。罪障ことごとく消滅す、吾が語に随ってこれを唱うべし」。

「我昔所造諸悪業 皆由無始貪瞋痴 従身口意之所生 一切我今皆懺悔。」
(がしゃくしょぞうしょあくごう かいゆうむしとんじんち じゅんしんくいししょしょう いっさいがこんかいさんげ)

導師が「我昔所造諸悪業」と唱え戒尺したならば衆僧はこれを合掌して唱和する。次に三帰戒を授けます。


巳に身口意の三業を懺悔して、大清浄なることを得たり。」 
            〈香〉  洒水


「次には応に仏法僧の三宝に帰依したてまつるべし。三宝に三種の功徳有り、いわゆる、一体三宝、現前三宝、住持三宝是れなり。一たび帰依する時、三種の功徳、ことごとく皆な円成す。」



「南無帰依仏 南無帰依法 南無帰依僧 帰依仏無上尊 帰依法難塵尊 帰依僧和合尊 帰依仏竟 帰依法竟 帰依僧竟。」
(なむきえぶつ なむきえほう なむきえそう きえぶつむじょうそん きえほうりじんそん きえそうわごうそん きえぶつきょう きえほうきょう きえそうきょう)

三もしくは一遍、句ごとに戒尺、衆僧、隋唱すること前と同様です。

「帰戒を授与すること此の如し。今自り以後、如来至真等正覚は、是れ新帰元某甲信士・信女が大師なり。更に余道に帰依せざれ。」

南無大慈大悲大哀愍故(三遍)

「既に仏法僧の三宝に帰依す、次には応に三聚浄戒を受けたてまつるべし。

第一摂律儀戒、第二摂善法戒、第三摂衆生戒、是れなり。

次には応に十重禁戒を受けたてまつるべし。

第一不殺生戒、第二不偸盗戒、第三不貪姪戒、第四不妄語戒、第五不コ酒戒、第六不説過戒、第七不自賛毀他戒、第八不慳法財戒、第九不瞋恚悪戒、第十不磅三宝戒是れなり。

上来、三帰、三聚浄戒、十重禁戒、此れは是れ、先仏の護持したまう所、嚢祖の伝来したまう所なり。我れ今汝に授く、汝今身従り仏身に至るまで、此の事能く護持したてまつるべし。」


十六条戒を授け終わって、導師は血脈を授けます。血脈を拈じて香に薫じて曰く

「此れは是れ、仏祖正伝菩薩大戒の血脈なり。仏々祖々、嫡々相承して、我れに到る、我れ今新帰元某甲信士・信女に授く、汝今身従り、仏身に至るまで、頂戴護持したてまつるべし」

血脈を霊前に安置して曰く

衆生仏戒を受くれば、即ち諸仏の位に入る、位大覚に同じゅうし已る、真に是れ諸仏の子なり」

「南無大慈大悲哀愍摂受」 
(三遍)

 (ししかいじきくん じれんかふじゃしい しんしんじんちょういひ きしゅりんぶじょうそん 

処世界如虚空 如蓮華不着水 心清浄超於彼 稽首礼無上尊

   ▲  戒尺を二回聞き維那、磬子を三回打ち大悲心陀羅尼挙す。

            13分くらい

入龕諷経

読経終了で回向

「上来、諷経する功徳は、新帰元某甲信士・信女に回向す、伏して願わくば入棺の次いで、報地を荘厳せんことを。」

  十方三世(略三宝)

龕前念誦

引き続き

「切におもんみれば生死交謝し寒暑互いに遷る、その来るや電長空に激し其の去るや波大海に停まる。
この日即ち新帰元某甲信士・信女有って生縁すでに尽きて大命にわかに落つ。
諸行の無常なることをさとって寂滅を以って楽と為す。
うやうやしく現世の清衆を請して謹んで諸聖の洪名を誦す。
集まる所の鴻福は覚路を荘厳す。あおいで清衆を憑んで念ず」


一衆、
十仏名を唱える。

清淨法身昆盧遮那仏 (しんじんぱしん びるうしゃあのうふう)
円満報身盧遮那仏 (えんもん ほうしん るしゃあのうふう)
千百億化身釈迦牟尼仏 (せんぱいかしんし きゃあむうにいふう)
当来下生弥勒尊仏 (とうらいあさん みるうそんぶう)
十方三世一切諸仏 (じいほうさんし いいしいしいふう)
大乗妙法蓮華経 (だいじんみょうは りんがあきん)
大聖文殊師利菩薩 (だいしんぶんじゅ すりいぶうさあ)
大乗普賢菩薩 (だいじんふえん ぶうさあ)
大悲観世音菩薩 (だいひかんし いんぶうさあ)
諸尊書薩摩詞薩 (しいそんぶうさあ もうこうさあ)
摩詞般若波羅蜜 (もうこうほうじゃあ ほうろうみい)

次いで維那は舎利礼文を挙し、唱和し、回向

「上来、念誦諷経する功徳は新帰元某甲信士・信女に回向す、伏して願わくば神浄域を越え、業塵労を謝す。蓮は上品の華を開き、仏は一生の記を授く。再び清衆を労して念ぜんことを。」

  十方三世(略三宝)

挙龕念誦

維那は挙棺念誦を唱える。

「霊龕を挙して荼毘の盛礼におもむかんと欲す。仰いで清衆をたのんで、諸聖の洪名を誦す。攀帷を用表して上み覚路を資助して念ず。」

   舎利礼文

 鼓鉢三通

  大宝楼閣善住秘密根本陀羅尼 (じねんぶつ)

 鼓鉢三通

 〈弔電〉

◎たいまつ

◎引導法語

次に侍者は大香を導師に奉呈する。導師は枯香して侍者に渡し、払子を振るい、引導法語を唱える。終わって棺前に進み侍者は大香を持ってこれに従う。上香問訊して位に復る。

            20分くらいかなぁ

山頭念誦

導師の引導法語に続き維那は山頭念誦を唱える

「是の日即ち新帰元某甲信士・信女有って、既に縁に従って寂滅す。乃ち法に依って茶毘す。百年虚幻の身を焚いて、一路浬薬の径に入らしむ。仰いで清衆を憑んで、覚霊を資助して念ず。」

維那は十仏名を挙す

清淨法身昆盧遮那仏 
円満報身盧遮那仏
千百億化身釈迦牟尼仏
当来下生弥勒尊仏
十方三世一切諸仏
大乗妙法蓮華経
大聖文殊師利菩薩
大乗普賢菩薩
大悲観世音菩薩
諸尊書薩摩詞薩
摩詞般若波羅蜜


続いて回向

「上来、聖号を称揚し覚霊を資助す。唯だ願わくは、慧鏡輝きを分かち、真風彩りを散ず。菩提園裡に覚意の華を開敷し、法性海中に無垢の波を活動す。茶三奠を傾け、香一炉にたき、雲程に奉送し、聖衆を和南す。」

読経 (観音経普門品偈

◎ 親族焼香 ‥‥ ここでご焼香案内と終了のお知らせ

焼香終えて回向

「上来、念誦諷経する功徳は、新帰元某甲信士・信女に回向す。伏して願わくは、葬送の次いで、報地を荘厳せんことを。」

 ▲ ▲ 鼓鉢三通

         40数分くらいかなぁ


 ‥‥
ご導師、(式)衆の(退)場です‥‥。

  お別れして、鼓鈸三通 「道中念仏」 鼓鈸三通


仏事
 仏事には秉炬の外に奠湯・奠茶の二仏事を加えることがあります。
霊棺が喪場に至り安置されたならば奠湯師、秉炬師、奠茶師の順に位に就く。
「大宝楼閣陀羅尼」の後、鼓鉢三通。喪司の維那は奠湯師を請する。
奠湯師は椅より立って中央に進む。左方の供頭は湯盞をささげて奠湯師に渡す。
師はこれを受けて拈し終わって右方の供頭は湯盞を受けて棺前に備える。
供頭が自位に復るのを待って奠湯師は法語を唱える。終わってさらに棺前に進み焼香低頭、身を転じて秉炬師に問訊して帰位する。
次に奠茶師は維那の請を受けて前に進み、奠茶すること奠湯と同じ二仏事終わって秉炬。

安位諷経(あんいふぎん)

葬儀を終わって後の、安位諷経回向

上来、諷経する功徳は、某甲信士・信女に回向す。こがねう所は、安位の次いで、報地を荘厳せんことを

  十方三世‥‥(略三宝)

(安位諷経は正しくは霊骨を収めて後、又は埋葬の後に行います)


諷経(ふぎん):声を出して経文を読誦する事、禅宗では宋音で「ふぎん」と読む
払子(ほっす):導師が用いる法具
戒尺(かいしゃく):読経の拍子をそろえるために打ちならす拍子
回向(えこう)本(曹洞宗回向要集)
維那(いの):曹洞宗では読経に際して経の題目や回向文を読み上げる役
 塔婆 磬子 
 鈸 剃髪
参考・引用書籍
© 曹洞宗行持規範 壇信徒喪儀法 © 曹洞宗回向要集 ©



 法語例

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