十津川支流のこの谷へは、昨年の5月にもH君と一度釣行している。
エサ、ルアー、テンカラとなんでもやるH君だが、その時彼は久しぶりにテンカラを
選んだ。しかし、H君のこの日は最悪で、竿を二本折る、カメラと共に水没する、魚
は釣れないと散々な一日だった。しかし、その渓相とそれを取り巻く自然の素晴ら
しさが気に入って、もう一度来ようと言っていた。それで、今日はH君のリベンジ釣
行ということになった。
必勝を期して、前夜に車止めに到着して車中泊。朝起きてみると珍しく他に釣り人
の車はなく、今日一日、釣り場は我々の貸切り状態。
7時前に車止めを出て、しばらく歩いてから川へ下りる。
|

大石をばら撒いたような渓相が続き、
その間を小さな落ち込みを伴って水が流れる
|
もう太陽は高く上っていて、開けた谷には日が良く差し込んでいる。
早速流れに毛鉤を打ち込むが反応が全然ない。2、3個の落ち込みを釣ってから
回りを良く観察してみると、落ち込みから離れた、ほとんど止水状態になった岸際
の浅場で、小さい羽虫に盛んにジャンプしているアマゴがあちこちに見える。
今度は、それに向って毛鉤を打つが、全く無視。毛鉤が大き過ぎるのだろうか。魚
の前に、横に、後ろに、真上にと打ってみる。魚の向うへ打って真上を引いてくる。
竿をふわりふわりと上下させて誘う。しかし捕食している虫と毛鉤があまりに違うの
か、何をやっても全く反応がない。ではと、竿先を左右に小刻みに震わせ、毛鉤を
ビリビリ振動させると・・・、パクリ。やっと咥えた。
それからしばらく、この岸際のビリビリで数尾を掛けた。 |

水面は鏡のように滑らか、アプローチは慎重に
|
やはり天気が良過ぎるせいか、流れの中でようやく魚が出るようになっても毛鉤を
咥えていないことが多い。そのたびに空合わせになって後方の木に頻繁に引っか
かり、今日だけで10本以上の毛鉤をなくしてしまった。 |

このあたり、さらに大きな石が続き、遡行には体力が必要
|
所々に現われる水深のある淵では、数回毛鉤を打っただけでは何も起こらない。
普段ならそれで通過してしまうところだが、今日のように魚の出にくいときには粘っ
てもみる。20回、30回と打ち込んでいると、それまで全く魚の気配のなかったとこ
ろでも、反応が出て来ることがある。しかし、出は素早くてUターンも多く、なかなか
鉤に掛からない。 |

少し減水気味の渓、ノンビリ遊ぶアマゴが数多く見られた
|
リベンジのH君、やはり出の悪さにはてこずっていたようだが、昼食の時点でツ抜
けの可能性が見えていた。その後、出が少し良くなり納竿の3時には楽勝でツ抜
け。一応リベンジ成って気持ち良く納竿できた。
|

春の森は明るくて気持ちがいい、道を外れて好きなコースをとる
|
今日は、夏を思わせるお天気で、渓歩きは気持ち良かったが、釣りの方はかなり
厳しいものとなった。しかし、H君のリベンジも成ったことだし、ビリビリの効果も確
認できて納得の釣行といえるものであった。 |