おまけの章:再開
「ギルバート、お客さんが来ているぞ!さっき入った新人だ」
ファーブリア山でゴーレムを倒した後、組織に帰るとワイスンがいきなりそう言い出した。
「誰だ!?」
俺がこの世界に来てできた知り合いや友人……この組織の外にはほとんどいないはずだ。
ましてや、この組織に入れるほどの強い奴……。誰?
「アイリスにじゃないのか?」
「私だって、故郷以外にいないわよ!?」
じゃあ誰だ?
「行けばわかるんじゃないかな?応接室に通しておいた」
とりあえず、部屋を出て廊下を通り応接室。早い話が隣の部屋に……入れなかった。
どうなってるんだ。応接室への部屋の廊下だけが、人で埋まっている……異様な光景だ。しかも女性ばっかり?
「……こんな奴に心当たりがあるか?」
少なくとも、ここまで人の目を集める人間を見た事がない。
アイリスが、この組織内でひそかに人気があるのを除けばだが……
「もしかして!」
アイリスが急に走り出した。長蛇の列もなんのその、あっという間に扉にたどり着く。
ついでに俺も、アイリスの通った後を通って、たどり着く事ができた。
「レグルス!」
アイリスが扉を開けた。その先には、あのレグルスが笑顔で座っていた。
「久しぶりだねアイリス。ギルバートさんも元気そうで何より……」
アイリスがレグルスに駆け寄った。
「それよりどうしたの!もしかしてまた村が?」
……違うな。そういや、そろそろあれから三年だ。来てもおかしくない。
「大丈夫。村は平和なままだよ」
「だったらどうして?せっかく幸せに暮らせるようになったのに!」
今の俺には、なんとなくわかる。理由はかなり恥ずかしい。
「あなたは分かってますよね?」
レグルスがこっちを見た。助け舟を出してやるか。
「おまえが自分の夢を話したくないぐらい、レグルスの理由は話したくない事だ。
そうなんだろ?」
「そんな感じで合ってます」
「なによそれ!教えてくれないの!?」
「ごめん言えないんだ。とにかく僕の部屋に行こうよ、話したいこともあるし。
ギルバートさんもどうぞ」
そう言って、部屋の外に出た。その途端……
「レグルス様ーーー!」「私と付き合ってーーーー!」
「結婚してーーーー!」
レグルスと、隣にいたアイリスが人ごみに流された。どんどん遠ざかっていく……。
「ギルバート!助けてーーーー!」
そう言われても、あの集団はすごい勢いで遠ざかっている。追いつくかどうか……とはいえ、
「レグルスとアイリスが一緒にいるってのも癪だな」
全力で追いかけた!
〜〜〜FIN〜〜〜
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