奉献生活の特別な価値

 

32 これらの賜物の調和の取れた配置のなかで、それぞれの基本的な生活様式には、キリストの唯一の神秘のあれこれの一側面を、それぞれに独自の仕方で表現する任務が委ねられている。一般信徒には、福音の使信が世俗的な領域で宣言されることを確実にするという特有の使命がある。教会的交わりの領域においては、不可欠の奉仕職が、聖なる叙階を受けた人たちによって、しかも司教によって特別の仕方で遂行される。聖なる叙階を受けた人たちは、み言葉の宣教と諸秘跡の執行、および教会的交わりに奉仕する聖なる権力の行使とによって、神の民を導く任務している。教会的交わりは、教階制度によって組織化された有機的な交わりである。

教会の聖性を前面に表す一つの道として、キリストご自身の生き方を鏡のように映し出す奉献生活には、客観的な優越性があることを認めなければならない。まさにこのようなわけで、奉献生活は、福音の諸価値の特別に豊かな表明であり、人類の聖化という教会の目的の一層完全な表現なのである。奉献生活は、すでにその最初の実りと神秘とのなかに現存する天の国の充満が達成される来るべき時代を宣言し、ある特定の仕方でこれを先取りする。そのとき復活の子らは、妻も夫も持たず、神のみ使いのようになるのである(cf.Mt 22:30)

教会は常に、(神の)国のための完全な貞潔の卓越性を教えてきた。そして当然のことながら、完全な貞潔を、全奉献生活の「戸口」と見なしている。教会はまた、結婚への召命を大いに尊重する。結婚は配偶者たちを、「聖にして母なる教会の実りの豊かさの証人とし協力者とする。かれらは、キリストがご自分の花嫁に対して抱く愛、ご自分の花嫁のためにご自身を渡された愛を表し、その愛を共有している」。

すべての奉献生活に共通するこのような展望のなかに、さまざまに異なりながらも、互いに補い合う幾多の小道が存在する。観想に全面的に献身する男女の修道者たちは、特別な仕方で、山上で祈るキリストの似姿となっている。活動生活に従事する奉献生活者たちは、「群衆に神の国を宣言し、病気の人と苦しむ人とを癒し、罪人たちをより善い生活へと回心させ、若者たちを気遣い、すべてのものを慈しむ」キリストを表示する。在俗者会において奉献生活を営む人たちは、特別の仕方で、神の国の到来に貢献する。かれらは、奉献の価値と世俗に生きることの価値とを結合して、それらを判然とした総合にもたらしている。かれらは自分たちの奉献を、世俗のなかでそして世俗から生きながら、「キリストの体の強化と成長のために、あらゆるものに福音的精神を染み込ませようと努力するのである」。この目的のためにかれらは、キリスト教生活の個人的な証と、世俗的な諸事を神のご計画に従って秩序付ける作業への取り組み、および、教会共同体の奉仕における、かれらに固有の世俗的な生活様式に応じた協力とをとおして、教会の福音化の使命を分かち合っている。