B 作品分析の新しい方法

 

聖書研究のためのいかなる科学的方法も、聖書本文に含まれるすべての豊かさを捉えるのに充分適切であるとうわけではない。その全般的な妥当性にもかかわらず、歴史的批判的方法は、この点で全面的に充足していると主張することはできない。歴史的批判的方法は、それが研究している諸著作の多くの側面を必然的に脇に置かなければならない。従って、注目に値する他の諸側面をもっと深く探求するのに役立つ他の方法と接近法が、現在、提出されているのは、驚くに当たらない。

このB部門でわれわれは、最近発展してきた文学批評の幾つかの方法を提示してみたい。これに続く諸部門(C,D,E)でわれわれは、さまざまな接近法を手短に検討してみるつもりである。これらの接近法のあるものは伝承の研究に関わり、あるものは「人間諸科学」に関係し、またあるものは現在の独特な状況にも関係している。最後に(F)われわれは、聖書の原理主義的読書を考察することにする。これは、解釈へのいかなる組織的な接近方法も受け入れない読み方である。

聖書研究は、われわれの時代に、言語学的及び文学的諸研究によってなされた進歩を利用しながら、特に修辞学的分析と物語的分析そして記号論的分析において、文学的分析の新しい諸方法をますます多く利用しているのである。