3 描写

 

歴史的批判的方法は、現在の発展段階において、次のような手順を踏んでいる。

本文批評が、非常に長い間行われてきたように、一連の学術的な作業を始める。最古かつ最善の写本の証言、ならびにパピルスや幾つかの古代語訳本そして教父の文書による証言に基づきながら、本文批評は、所定の規則に従って出来るかぎり原文に近い聖書本文を確定しようとする。

次にその聖書本文は、歴史哲学に由来する知識を使用する言語学的(語形論と統語論)で意味論的な分析にかけられる。本文の初めと終わり、その大小を決定し、本文の内的な一貫性を確立することは、文学批評の役割である。重複語や調停不可能な相違そしてその他の指標の存在は、幾つかの本文の複合的な性格の手がかりとなる。これらの本文は、小さな単位に分割することができる。次の処置は、これらの単位がさまざまな資料に割り当てられるかどうかを探ることである。類型批評は、文学類型やそれらを生み出した社会的環境、それらの本文の特徴、本文の発展の歴史を特定しようとする。伝承批評は、伝承の流れのなかに本文を置き、時の流れのなかでこの伝承の発展を記述することを企てる。最後に、編集批評は、これらの本文が最終的に定められるまでに経てきた変更を研究する;それはまた、本文の最終段階を分析し、この最終的な過程に特徴的な諸傾向を可能なかぎり特定しようとする。これまでの手順が、通時的な視野のなかで本文の起源とその発展を跡付けながら、本文を説明しようとしたのに対し、最後の手順は、共時的な研究で終わる:この段階で、本文は、そのさまざまな構成要素の相互関係に基づきながら、そして著者によってその同時代の人たちに伝えられた使信としての性格に目を向けながら、現にあるままに説明される。この段階において人は、行動と生活(実践的機能: fonction pragumatique)の観点から本文の諸要求を考察する立場に置かれる。

研究された本文が歴史的文学類型に当てはめられ、あるいは、歴史の数々の出来事に関連付けられたとき、歴史的批評は文学批評を完了し、本文の、現代的な意味における歴史的意義を確定しようとする。

このようにして人は、聖書の啓示の背後にあるさまざまな段階を、その具体的な歴史的発展の中で説明するのである。