B 本文書の目的

 

したがって、聖書解釈に関する現在の状況のさまざまな側面に厳粛な考察を加えることが適切である――すなわち、さまざまな批判や不平に傾聴し、またこの問題のなかに表されているかずかずの希望と願望にも耳を傾けること、新しい諸方法と接近法とによって開かれたかずかずの可能性を評定すること、そして最後にカトリック教会における解釈の使命にもっとも適した指針をより正確に定めてみることが適切である。

以上が、本文書の目的である。教皇庁聖書委員会は、聖書をその人間的かつ神的な性格にでできる限り忠実に解釈するためにもっとも適切な小道を指し示すことを望んでいる。当委員会は、たとえば霊感の神学のような、聖書に関わるすべての諸問題に対して一定の立場を取ることを目指していない。当委員会が念頭に置いていることは、聖書本文に含まれている富をより一層利用可能なものとする任務に効果的に貢献しそうなすべての方法を吟味することである。その狙いは、神のみ言葉が、神のすべての民の霊的な糧、かれらの信仰と希望と愛の生活の源――そして全人類の光となることである(cf Dei Verbum,21)。

この目標を達成するために、本文書は次のことを行う:

  1. さまざまな方法と接近法を簡潔に描写しながら、それらが提示する可能性と限界を指摘すること。

  2. 幾つかの解釈学上の問題を検討すること。

  3. 聖書のカトリック的解釈の特徴と考えられるものの諸側面ならびにカトリックの解釈と他の神学的諸学科との関係を熟考すること。

  4. 最後に、聖書の解釈が教会生活のなかで占める場を考察すること。