米国旅行3

 2.21(土)曇り時々雨




9時起床。11時発。しかし僕はどこに行くとも知らされていない。とにかく、この日まではまだ地理が頭に入らず、ただ車で連れ回されているといった感じ。どうせ右も左も分からないのだから、ただ身を任せるのみ。1時間ほどでダウンタウン到着。LAの行政の中心地。市庁舎やロス市警があり高層ビルが並ぶ。土曜日とあって街は閑散。大きな廃虚の中に取り残されている感じ。現代美術館(MOCA)に入るが、現在展示品の入れ替え時で休館中。広場には飛行機の断片を集めたような巨大なオブジェ。売店で小さな猫の縫物の人形を買う。12$。そこを出て車で現在展示中という別館へ。本館とは結構離れている。12時50分入館。入館料8$。石橋さんが好きそうな展示品が並ぶ。ホームレスが喜びそうな段ボールの芸術品など。中には偶然、昔見たことのあるヌード写真があった。1968年の作品とある。こういったものは良く憶えているのだよ。メモを取っていると、女性係官がやって来て短い鉛筆を渡そうとする。ボールペンを使ってはダメということらしい。作品が傷つけられるのを用心しているのだ。そう言えば入る時、石井さんのバッグが大きすぎるとして預けさせられていた。盗難防止のためだ。警備員も多く、なかなか厳重なのだ。









 別館を出て全米日系人博物館の前を通りJapanese Village Plazaに入る。焼鳥屋やシャブシャブ屋などが並ぶ小さな日本人街。入口に火見櫓があるのが意味不明。ポツポツ雨が降り出し、結構寒い。ここら一帯がリトルトーキョーと呼ばれる所らしいが、作井君が別にもあるはずと車で探し回るうち、ヒスパニック系とみられるゴッタ返す


商店街に出て道は混雑。やたらとゴミが多い。歩道はうさん臭そうな人々であふれていて、作井君、危険を感じたらしくドアのカギを下ろす。彼が以前行ったというリトルトーキョーは結局見つからず。物騒な街を脱け出して一路ハリウッドへ。




 ハリウッドはダウンタウンから15分ほど。土曜日とあって観光客で道は混雑。有名な山に飾られた看板が見える。これを見ると「ハリウッドに来た!」という実感。ただ、この日はやや霞んで見える。メインストリート(Hollywood Brd)を車でノロノロと通り過ぎるのみ。アカデミー賞の受賞会場となるコダックシアターの前は報道陣用であろうか、臨時の席が組み立てられていた。これも渋滞の原因。ちなみにアカデミー賞発表は29日に控えていた。当日はHollywood Brdからシアターまで赤い絨毯が敷かれるそうな。歩道にはスターの名前が書かれた星印が見えるが、今から考えると一回も車から降りなかったのは残念。降りていればスカウトされたかも。それにハリウッドやビバリーヒルズの写真が一枚もないのも何としたことか。ただ見とれていただけなのかもしれない。


 ハリウッドの街を通り過ぎビバリーヒルズへ。途中、道端にある屋台のような店を作井君が指差して「中村さんの好きなH本の店」。僕のようなおじさんが立ち見している。一人だったら(あるいは作井君とだけだったら)寄るのだが……。






 この日はまだ昼食をとっていなかったため石井さんが地図で探した店を見つけようとするが、お目当ての店は見つからず、ビバリーヒルズの屋敷街の中をウロウロするのみ。それにしても立派なお屋敷が並ぶ。見事なパームツリーの下を走り回った後、メインストリートに戻ると、すぐに左手にYOSHINOYAの看板を発見。そこの駐車場に入るが、アメリカに来て何で吉野屋?というわけで、その隣のファーストフーズ店に入る。すでに4時。Santa Fe Torioという店。パンサンドといったもので、黒パンでミックスのスモールを注文。スモールとは言え大きい。この上にレギュラーとビッグサイズがあるのだ。一体どんな大きさなのだ。パンサンドは4.6$。これにチリスープ(1.4$)も注文。チリスープはコロンボ警部(ロス市警)の好物なので頼んだのだが、途中で胃が受け付けなくなり食べるのを断念(パンは完食)。別にマズイというのではなく、特に辛いわけでもなく、何と言っていいか分からぬ味。ともかく受け付けなかっただけのこと。他の人はクラムパウチャウダースープを頼んでいたが、後日僕も食べたが、こちらがはるかに美味。ところで黒パンは誰かが食べて、僕は違ったのを食べていたのだが、気が付いた時は後の祭り。店を出たのは4時40分。サンタモニカへの道を進むが、途中405号線に入って帰路へ。作井君は「来て!来て!サンタモニカ〜♪」と歌うのがクセのよう。




 作井君は時々高速への入口で戸惑うことがある。SOUTH・NORTH方面などの入口があり、間違うとあらぬ方向へ行ってしまうのでなかなか難しいのだ。それにLAは広いので遠くまで来ると不案内なことも多い。誰かが(特に石井さん)質問すると、作井君「僕にロスのことは聞かないで下さい」(笑)。そう、彼はまだLAの新参者なのだ。無理難題を言ってごめんね。




 途中で暗くなる。LAは日が暮れるのが早い感じ。作井宅到着6時10分。この夜は暖炉に火を入れる。“火つけ”は石橋さんの得意。暖炉の前でポーズ。南国育ちの僕にとって暖炉は珍しい。石橋さんは持参のホタテを水に戻している。翌朝炊き込みご飯にするらしい。僕が持参したカラスミも食卓に。稲垣さんが珍しそうに食べている。MGDビールがおいしい。12時30分就寝。
 

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