文化・国民性


Customer's serviceでの長蛇の列


スーパー、電気店の入り口には大抵Customer' Serviceのカウンターがあり、返品などを受け付けている。どこの店でも製品を持ち込む人で長蛇の列、日本では見かけない光景。


アメリカに来てそろそろ3年、初めの頃は文化・国民性の違いになかなか着いて行けなく戸惑い、イライラもしたものだが最近は異文化に対してその良い所、悪い所などを含めて受け入れられるようになったと思う。ある人がアメリカに何度出張に来たとしても、ここで生活をして彼らと共に働き実際に色々な思いを経験しないと文化の違いは分からない。


間違え・ミス

BSEの検査での問題が日本での大きな関心事、確かに米国は日本と取り決めた検査を守っていなかった、非は確かに米国にある。しかし、米国人とBSEの話をしても、『何それ?』と気にしている人はほとんどいない。彼らから、牛肉を取り上げることは餓死させることに近く、ステーキ、ハンバーガーが無くなったら食べるものがない。

1.BSEを大して気にしていない米国人が検査をしている。

2.米国では間違うのが当然。(日本とアメリカではミスに対する考え方が異なる)

3.従業員のレベルが低い。

米国は人間はミスをするのが当然(前提)であり、それをチェックするのが受け取る側、個人の責任のようなところがる。従って、レジでもレシートをチェック(確かに、よく間違えがある)。ミスに対してあまり目くじらを立てない、ミスに対しては寛大。他人の商品が入っていたり、買った商品が無い場合もあるので自分の責任で確認が必要。

日本は完璧主義、絶対に間違えはしてはならない、間違えは罪悪なのだ。子供の頃からの学校教育がまさにそうである。所が、ここでは『人は間違えをするものだ』が前提、どうやったら間違えが減らせて、防げて、見つけるかである。

日本人は一億総標準、ほとんどの人のレベルが同じで、中の上以上。所が、米国は国民のほとんどが低レベル(低所得)、ごく一握りの頭の良い人たちが良い生活をしている。

従って、ミスを指摘すると直ぐに修正してくれる。また、返品窓口も一度使ったものでも、返品を受け入れる。ホテルのフロントでも、『映画のボタンを間違えて押した』と言えば『OK』と言って請求からはずしてくれる。彼らの与えられている仕事はお客を満足させることであり、店の経営とは別なのだ。たぶん日本であれば、返品の理由を聞かれ『お客様が一度開封されたものは、故障で無い限り返品は出来ません』と言われたり、『そう仰っても、お客様は映画を見るボタンを押されています』などと拒絶されることになるだろう。


従って、電気製品などを購入するときは、よく箱を調べて何時も未開封のものを買うようにしている。しかし、先日ハロゲンランプの球を購入、家で見るとセロテープでとめてあり誰かが一度開封したもの購入してしまった。


担当者の判断

日本であり得ない事だが、役所、飛行場のカウンターなどで担当者によって言うこと判断が違うことだ。結構いい加減の所があり、担当者の裁量ですべてが決定される事が多い。飛行機など乗り遅れた場合、担当者によっては無料で次の便のチケットを再発行してくれたり、担当者が違うと金額を請求されたりまちまち。亜弥の運転免許の取得手続きでも、書類にミスがあったが、良い担当者で救われた、その逆も多くある。日本領事館からの連絡案内でも、『米国入国審査について担当者によっては間違えた判断を勝手にする場合があるので、その場合は個人の責任でその担当者の上司を呼んで対応するように』とあるほど。

曜日・日付の違い

僕ら日本人は何かの約束をする場合、23日とか、23日の月曜日と言って確認する。しかし、米国人の頭の中にあまり数字の日にち感覚はない。それよりも、水曜日とか金曜日とかで約束事をする。『じゃあ、それは何日だと?』と聞くと、即答できない事がある。彼らの生活は週末が中心で月曜日から始まって金曜日に終わる、生活の中で常に曜日が優先されている。

部下から来たメイル、日本では間違えないように必ず日にちを重視するのだが、やはり曜日重視。また、表現に曖昧なところがあり、明確さが掛ける。米国人に指摘をすると、『それでわかる』とは言うが、僕ら感覚では何日とはっきりしないと落ち着かない。この曜日重視は全てのアメリカ人に共通、一人だけでの事ではない。

I am in the process of arranging the final schedule for the meetings in Bothell and Andover. Due to the flight schedules, I recommend starting very early on Monday in Bothell, in order to make a 2PM flight to Boston. If we run later, we will need to travel on the red eye, which means we will not be able to get much sleep before the Andover meeting.

BothellとAndoverでの会議を調整しています。フライトスケジュールの都合もあり、月曜日のBothellでの会議は早めにして、2PMの飛行機でBostonへ行きましょう。もしも、会議が延びるなら、夜行便(Red eye)になるのでAndoverでの会議まで睡眠があまり取れないけど。


また、別なメイル

Richard, I spoke with Allen this morning to set up our meeting, and at first he said they weren't taking any meetings next week. Then he said maybe they could get us in on Thursday morning. I told him we would plan on being there Thursday morning unless we heard back from him to the contrary. So I will re-confirm, but please make your travel plans to arrive Weds night.

Richard(宛名)

Allenと今朝ミーティングの件で話したけど、初めは来週は無理だと言っていた。でも、話の途中からひっとすると木曜の朝に都合が付くかも知れないと言ってきた。じゃあ、中止でないなら木曜日の朝に予定すると言っておいた。再度お客には確認するけど、水曜の夜に現地に着くようなスケジュールを組んでおいて下さい。


部下同士の客先とのミーテイングのメイル。ここでも、曜日が中心で日にちの記述はない。また、米国でMr.を付けることは少なく、客もfirstname、会社の名前も出てこない。従って、何の話をしているのか分からない時がある。さらにメイル自体も要約されていないことが多く稚拙な表現、子供のような文章、おおかたのアメリカ人はこの様な文章を書く。まるで、文章全体がビジネスでネクタイをしないように全くカジュアル。

『来週の17日(木)に客とミーテングが取れそう、まだ不確定なところもあるが取りあえず、16日(水)現地着での飛行機のチケットは取っておいて下さい。』

我々日本人感覚では上のように表現すればよいと思う。Allenと今朝電話で何て言ったか、途中で話が変わったかをぐたぐた書いている。

もしも、そのぐたぐたを書きたいのならば、下記のように書けばよいと思う。

『会話の中で、我々の提案に興味を持って来たみたいだ。最初は否定しているが、今回の再提案には可能性がありそうだ・・・』

上手な文章を書くアメリカ人は当然ながらいる、しかし周りの部下の会話、メイルの内容は明確さに欠け、長々として要領を得ない。何度か箇条書きで書くように指示したことがあるが、箇条書きの中に延々と長い文章が入る。

僕らは学校での教育、会社での指導で文章の書き方を徹底的に(叱られて)指導される。所が米国ではそのような指導はない、これもひとつの原因だろう。とにかく要約がうまくない。


製品

日本とアメリカでは電気製品に対してユーザー・メーカの考え方に大きな差がある。日本の製品は電子レンジ、洗濯機、携帯電話にしても進化している。各メーカーは他社との差別化としてより便利な機能を追加して競い合っている。確かに、我々はその恩恵を受けていることもあるのだが、操作が複雑になりマニュアル無しでは製品が使えなくなってしまった事も否めない。日本に居たとき、新しく買った洗濯機の横に厚いマニュアルは離せなかった、確かに便利な使い方もあるが逆に不便。また、その新機能の全てを使いこなしている人は少ない。

アメリカの製品はメーカーが異なっても、使い方はほぼ同じ。特別な機能は少なく、電子レンジ、洗濯機全く同じ。各メーカは機能重視ではなく基本重視の考え方。以前、携帯電話を購入したときに発信履歴を表示したく、マニュアルを見たが書いていない。米人に聞くと、『発信ボタンを押せばよい』と言う。『これは、アメリカの常識』だと笑われた。


どこのメーカの電子レンジでも使い方はほぼ同じ。オーブン機能もスチーム機能も無い、電子レンジは電子レンジの機能だけ。


洗濯機も乾燥機も簡単、Heavy、regular、lightにダイヤルを合わせてボタンを押すだけ。



おそらくであるが、このメーカ違いによらない共通の使い方の考え方は自動車から来たのではないだろうか。車の使い方はどのメーカーも全く同じである。トヨタのアクセルは真ん中で、日産は左側などあり得ない、万国共通。

この考え方はパソコンの世界でも同じように思う。最初に使い勝手をよくした、マッキントッシュが世に現れた。その後、Windowsが同じようなOSで今では世界中を市場を席巻しているが、基本的な使い方などは先にでたマッキントッシュに合わせ込んでいるところが多い。これはユーザーに取っては有り難い。

もしも、この競合が松下電器とSONYで行われていたならば、全く違う独自の機能を強調した完全に違う製品になっていただろう。


アメリカ人の多くは難しい使い方を極端に嫌う、また国民の大多数が中流以下レベルも低い事もあり難しい製品は嫌われる。日本人にはその事が分かっていない・・・。


今、僕の扱っている商品の中でなかなかうまく販売が出来ていないものがある。この製品分野では日本メーカーが全てが不振だ。機能差別化を重視した、使い方の難しい製品はアメリカでは受け入れられない。

この事を何度も日本へ言っているが、なかなか分かって貰えない。アメリカに住んで文化の違いが分からないとそれを理解するのは難しい。




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