クレジット


アメリカに来て、日本に居るときと全く概念が違う言葉の1つにクレジットがある。クレジットカードのクレジットなのだけど。辞書には信用、信頼、信用貸し、掛け売り支払猶予期間、貸勘定と書いてある。確かにその通りなのだが、日常の会話でもクレジットと言う言葉が頻繁に出てくる。そのたぐいの言葉に、due, balanceがある。

請求書などの請求金額はDue balanceであったり、new balanceと書かれている。また、前回支払い過ぎた場合はcredit balanceと表現され、支払期限はdue dateと請求書には書いてある。支払期限を遅れると、遅延料を含めて支払いが高くなる。ガス・水道のたぐいは数ドル高くなる程度だが、政府関連への支払いなどはもっと高額になり、クレジットカードの場合はクレジットヒストリーに傷が付く。


3月11日の請求$186.09が3月16日に支払われ、現在の請求は$83.20を4月27日まで支払うこと。あなたの支払い合計(Your Total Balance Due)は$83.20とある。これは電気代の請求書、Balaceとは企業の貸借対照表(バランスシート)のバランス。日本ではこの様な表現にお目にかからない。


逆に、以前に払いすぎていた場合(引っ越したので、前金Depositとして要求されていた)はCredit balanceが有るので支払う必要がない。料金$68.90を精算してさらに$77.60がクレジットにあると請求書に表現されている。

一般の会話でも、ビジネスの会話でも

You have a credit of $10K.とか有る会社が支払いが過多であったり、値段調整をした場合など

That company would like to have a credit.

また、以前歯科治療で$700ほど支払った一月程あとに保険会社からその歯科医院へ支払いがあり、歯科医院からはその$700を次回治療のクレジットにするかと連絡が入った。僕は返して貰う方を選択したけど。

企業間の支払いも個人の取引でも常に”やじろべい”ならぬ”バランス”で物事を考える、これは日本の企業間にはあっても個人レベルにない概念だと思う。


この請求書の表現はAmount Dueとある。クレジットカードなどの請求はNew Balanceと書かれている。

また、クレジットカードの場合は例えばNew Balanceが$5000であっても、Minimum payment dueが$100などと記載されており。その$100を支払えば、後は借金できる。殆どのクレジットカード会社はこの貸し付けの金利で商売を行っている。日本人は必ずと言っていいほど、一括で支払うためカード会社は商売にはならないと誰かが言っていた。米人の中には最低請求金額を支払って、その月をしのいでいる人も少なくなく、その金利は10%以上の高額。

日本ではカードで購入時に、『リボ払いにしますか一括ですか?』など聞かれる。これは本来商店が本人に聞くのは余計なお世話であり、それはまさに本人とそのカード会社の取引事項。ましてや店が『この商品はリボ払いできません』などと客に言うのは本来のカードの意図からは反する。

日本ではカード支払いが借金のように考えられているが、アメリカの考え方から言うと一般の商取引と同じなのだと思う。すなわち、個人にあたえられた与信金額(Credit line)に応じて取引をする行為なのである。従って、日本のクレジットカードのように安易には発行して貰えないのだ。しかし、アメリカでもカード破産は多いらしい。やはり、後払いは注意が必要。

請求書に対する支払方法は日本の様に銀行口座自動引き落としも有る。請求書には自動引き落としを薦めているが、間違いが多いので、ほとんどの人は個人チェックを切って請求元へ期限内で郵送する。自動引き落としをすると、アメリカ特有の間違いが多い事に悩まされるからだ。これは本当、スパーなどのレジでも注意していないと間違いの多いことに驚く。決して故意や悪気ではないのだろうが、特にレジを打っている時に他の仕事が割り込んだりするとよく間違える。日本での常識は通用しない、つまり安易に相手を信じてはいけないのだ。

余談であるが、日本の郵政事業民営化論議の中で盛んに米国のそれと比較するテレビ番組を見たが比較などとはとんでもない。米国の場合は請求書だけでも、月に20通以上が郵送され、それぞれにチェックを切って返送されるだけでも郵便を利用する機会は日本とは格段の差がある。


また、客に対して販売をするにもクレジットライン、15Kドルとか客の信用度によってクレジットマネージャ(クレジットマネジャーは銀行でない普通の会社においても、営業をする場合アメリカでは必要)が設定する。これは、日本での与信と同じ。従って、客が幾ら沢山を購入したくても取引は設定金額以内でしかできない、当然キャッシュ払いは別だが。

このクレジットラインは個人にも同様に設定されている。個人のクレジットラインは過去にその本人がどの位の支払いを定期的に行い、焦げ付き、遅延が無く払っているかを1年半以上に渡って調査して初めて本人のクレジットヒストリーが構築できるのだ。本人が支払っている実績はソーシャルセキュリティー番号で管理され記録されている。個人のクレジットヒストリーが無いと、クレジットカードの発行はして貰えないばかりか、家も借りることができない。さらに携帯電話の契約では前金として$1000以上をDepositとして払わなくてはならない。

来た当時はクレジットカードで本当に苦労した。アメリカ発行のカードが正式に貰えるのは随分時間がかかり、日本発行のカードで支払っていた。当然の事だが、請求金額が全て日本の口座から引き落とされてしまい、日本に残した家族の家計を圧迫していた。さらに、アメリカ発行のカードでないとガソリンスタンドでは給油できない。

最近やっと、米国での僕のクレジットヒストリーが構築され本来のカードを持つことができた。


United航空のクレジットカードは何度も勧誘が来ていた。半年前に申し込んだら、手紙が来て『残念ながら、あなたははカードを持つ資格がありません。』と言われていた。今春、電話での勧誘もあり再度申し込んだら、クレジットヒストリーがやっと出来たのだろうカードを送ってきた。正式のカードが貰えるまで米国に来て2年近くかかった。本当に私が米国で認められるまで最低でも2年が掛かっただのだと実感した。


会社保証のクレジットカードCorporateと書いてある。このクレジットカードはいくら使って、支払いをしても個人のクレジットヒストリーを構築することはできない。このカードは保証人が会社にあるだけで個人のカードと同じなのだ、すなわち請求書は個人の住所に送付され個人がチェックで支払うのだ。僕が日本に居たときの会社カードとは全く違う。


JALが日本でのクレジットヒストリーを考慮して発行してくれる、CITI bankのカード。アメリカに来て間もない、日系の従業員には便利。ANAも同様なカードを提供中。ただし、年会費は$80程かかる。せっせとこのカードで支払いを行い2年ほどの実績でクレジットヒストリーが認められた。

住んでみて、アメリカは自己中心の国であることを再度認識した、大げさに言えばアメリカ以外での実績など一切認めない。日本でどんなに有名な人間でも米国に来たばかりはクレジットヒストリーは無いだろう。すなわち、日本で有名な実業家であってもおそらく米国発行のカードはすぐには発行されないされない。これは、野茂、イチロー、松井が渡米一年後に成功すると新人賞を貰うのと同じ事。日本でのプロ野球経歴など一切眼中に無いのだ。



チョットわかりにくい概念の言葉に"Open"もある。部下に月末『あの客の注文書に対して、出荷はできた?』と聞くと・・・。

It is still open. とか。It is open PO. (Perchase order注文書)とか返事が返ってくる。出荷完了された場合はIt has been billed.(売り上げに上げた)

また、飛行場のBarなどでカードで飲むときは。カードで払うと、『OpenにするのかCloseか?』とか聞かれる。つまり、カードをOpenとする意味はカードを預けておいて追加の度にそのカードにチャージして貰うこと。最後に閉めるときに、カードをCloseしてくれと頼む。


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