| 〜生命の水、ブランデー〜 フランスでは現在でもブランデーのことをオー・ドー・ヴィー(Eau-de-vie、生命の水)と呼んでいますが、英語のブランデー(Brandy)という言葉は、ラテン語のアクアアルデンス(aquq
                ardens燃える水)、
 ドイツ語のブラントヴァイン(Branntwein)、オランダ語のブラントヴィン(Bran-dewijin)といずれも
 ワインを燃やしたものから由来しています。
 12世紀頃のイタリア、南仏、スペインの生命の水は、当然ワインを蒸留したものと思われますが明確な形でブランデーが登場するのは、南仏アルマニャックの1411年、つづいてアルザスなどです。
 ブランデーの産地として有名なのは、コニャック地方とアルマニャック地方が知られていますがコニャックのブランデー造りはフランスの中でも遅いほうの16世紀とされ、
 最初の企業がコニャックで操業をはじめたのは1613年とされています。
 アルマニャックに比べて歴史に新しいコニャックが、世界で最も有名なブランデー産地になった理由は、ワインを造っていた時代から輸出市場を持っていたためでしょう。コニャック地方はラ・ロシェルの良港を控え、
 ボルドーよりも輸出ワイン産地としては早くから発達していましたが、気候が悪い年にはより厳しく影響を受け
 飲用ワインとしてはボルドーに押されたため、蒸留してブランデーを中心とするように変化したと考えられます。
 コニャックの有名メーカーは、大部分が18世紀前半に創業を開始していますが、ボルドーのワイン同様に輸出中心であったこともあって、コニャックメーカーもボルドーのワイン同様、外国や他のフランスの地方から集まってきたよその者がほとんどです。
 〜本格樽熟成は19世紀から〜 コニャックの本格的樽熟成は、19世紀前半から始まり、これとともにロンドンの上流階級の間にも浸透しました。 ウインストン・チャーチルは、当時を回顧して「私の父はヒースの繁る荒野や寒々しい場所で狩りをする時以外は、決してウイスキーを飲まなかった。彼はブランデー、ソーダの時代に生きていたのだ」という有名な言葉を残しています。
 コニャックに次ぐ高い知名度を持つブランデーは、南フランスのガスコーニュ地方のアルマニャックです。前記のとおり、アルマニャックの歴史はコニャックよりも古いが、丁度ウイスキーのアイルランドとスコットランドの
 関係に知名度、販売量ではコニャックに大きな差がつけられています。この原因は、歴史の流れとともに、
 消費の中心地へのつながりの変化によるものといえるでしょう。
 〜分類〜 :コニャック(Cognac)フランス南部のコニャック市を中心としたシャラント地方のみで造られるブランデーをコニャックといいます。
 この呼称は1909年に政令で定められ、その後地域を6つに区別し、その区域内で造られ、
 他の区域のものを調合してないブランデーはコニャックの名称の他に区域名を呼称してもよいとされています。
 区域名は、コニャック市を中心としてほぼ同心円状になっており、グランド・シャンパーニュ、プチト・シャンパーニュボルドリー、ファン・ボア、ボン・ボア、ボア・オルディネールの6地域です。
 このうち最も良質なグランド・シャンパーニュ産50%以上のブランデーに良質なプチト・シャンパーニュ産のものを調合したものは、フィン・シャンパーニュと呼称することができます。
 :アルマニャック(Armagnac)フランス南西部のアルマニャック地方で造られるもので、コニャック同様3つの地域に分けられています。
 パー・アルマニャック、テナレーズ、オー・アルマニャックの3地域で、バー・アルマニャックが最も良質といわれています。
 バー・アルマニャックと呼称できるのは、全量この地域産をブレンドしたブランデーです。オー・アルマニャックは主にブレンド用に使われ、市場にでることはほとんどありません。
 :フレンチブランデーフランスでは、コニャックとアルマニャック以外にもブランデーは造られています。これらをフレンチブランデーと称し、
 ワインに不向きなものを原料としたり、長期間熟成しないものをびん詰めしたりしています。
 :マール:(Marc)ワイン用果汁を搾った粕に糖と水を加えて発酵・蒸留したもの或いは赤ワインの搾り粕を直接蒸留した粕取りブランデーです。
 このワイン副産物をフランスではマール、イタリアではグラッパ(Grappa)と呼称しています。
 :アップルブランデーフランスのノルマルジー地方のりんご酒を蒸留したものをカルバドス(Calvados)と称し、高級なものは樽詰めを数十年行います。
 :キルシュヴァッサードイツ、スイスで造られる桜桃酒を蒸留したものです。製品は主として無色です。
 :日本のブランデー製法はコニャックとほぼ同様です。原料ぶどうは、甲州種やユニブラン(サンテミリオン)種が
 望ましい性格を具えています。ブランデーは、多くの点でウイスキーと共通しており、
 日本人特有の繊細な感覚を生かすことができ、品質的に優れたものとなっています。
   
                    
                        | ■コニャック |  
                        | フランス西南部のコニャック地方でつくられたブランデー。生産地、原料品種蒸留法など厳しい規制がある。 古い原酒と若い原酒をブレンドして製品化されるが、いちばん若い原酒の熟成年数が2年以上なら「★★★(スリースター)」
 4年以上なら「V.S.O.P」、6年以上になると「ナポレオン」または「X.O」、「EXTRA」と表示できる。グランド・シャンパ−ニュ、
 プティト・シャンパーニュ、ボルドリファンボア、ボンボア、ボア、ゾルディネールの6地区に分けられ、100%その地区で
 つくられたものは地区名を名乗れる。
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