平成15年5月1日発行

育成会だより

                   第61号

西脇市手をつなぐ育成会
 会長  竹中 敏文

広報  西脇市大野175
  ワークホームタンポポ内
 

支援費制度について

 4月より、支援費制度が始まりました。もうすでに、受給者証にもとづいて利用されている人もあるかと思いますが、どのような実態になっているか、調べた範囲で報告したいと思います。 西脇市の場合、受給者証の内容をみてみると、「ショートスティ7日間」というものが一番多かったようです。個のニーズにあわせてというよりも、初年度ということで、とりあえず決定したような感じです。明石に住む人に聞いたところでは、「ショートスティ2日間」や「ショートスティ4日間」というのがあったので、それに比較すると少し手厚いかなと思いました。また、高砂市に住む人の上限の内容として、「ショートスティ14日間とホームヘルパー50時間」というものがありました。この人の場合、この内容でも、在宅で過ごすとなると難しいところがあり、施設入所も視野に入れて考えていると聞きました。「ホームヘルプサービス」の内容も、自治体とよって異なり、訪問看護的なことも取り入れたり、ガイドヘルパー的なことも加味しているところもあるようです。 それから、利用する施設に、保護者負担金を聞いたところ、原則として、食費は徴収するというのが多かったようです。受給者証に書いてある負担額には、食費は含まれていませんので、これまでの一泊二日のショートスティ利用では、倍近くの金額を負担する場合があるように思われます。 とにかく、利用する際に契約を結ぶわけですので、あくまで対等の立場であると言うことを忘れずに対処してもらいたいと思います。


知的障害児・者にとっての「支援費制度」

「措置」から「契約」へ

 これまでの障害者福祉サービスは「措置制度」で支えられてきました。困っている人に対し、行政がサービスの中身を決めるのが措置制度。これが契約による支援費制度に改められることで、市場原理を導入してサービスの質を高めていこうというわけです。
 これまでの制度の問題を考える上で、一つのポイントは保護する側、される側の上下関係が生まれやすいことです。私が施設に就職した頃、施設職員は利用者の方を「おい、○○」とか、呼び捨てにしていました。びっくりして「これって変じゃないですか」と尋ねると、先輩たちは「いや、おかしくない。措置なんだから、保護なんだ。対等なんかでありえない」と平然と言うのです。そんな言葉を研修のたびに聞かされていました。 もうひとつは、措置費によって行政からお金が来るから、施設では働いても働かなくても給料が同じということになる。となると、人間働きませんよね。従来の施設では、障害の重い人を受け入れずに、軽い人ばかり扱っても経営は成り立つ。だからパニックや自傷・他害行為のあるような混乱している人を見たくない。そこではじかれた人が小規模作業所を作って、親子で必死で地域の中で生きているわけです。このように、従来の制度には問題があった。だから市場原理を入れる。障害の重い人を見る人は単価を高くするようにしよう、ということで支援費制度に変わっていくわけです。ただ、措置制度の中では、行政が困っている人を発見する義務があったのに、これからは「自己責任」がキーワード。「制度があるのに使わなかったあなたが悪い」と片付けられ、行政の責任が放棄されてしまう。そこが怖いなと思うんです。

サービスがなくても申請しよう

 間違えやすいことですが、使えるサービスがあるかないかではなく、その人にサービスが必要か必要でないかという判定をするのが支援費の仕組みです。その町に使いたいサービスがない場合は不受給ではなくて「保留」ということになります。保留が増えれば、その市町村で作らなくてはいけないという数字が蓄積される。国の通知によれば、サービスがなくても市町村は不受理することはできない。保留になったサービスは自治体が努力する義務がある。だからこそ、現実にサービスがなくても申請に行くことが大切なんです。私は「サービスなくても行ってくれ」という「支援費申請ロケットスタートキャンペーン」を打ち出しています。 もし窓口に行って「知的障害者のホームヘルプしてくれる事業所なんてない。それを見つけてきたら手続きしてあげます」なんて言われたら、「行政手続き法7条と9条に違反していますね」と言いましょう。それをどうこうするのがあなたの仕事だと書いてあるわけです。利用者負担額の支払いについていえば、これは所得によって違います。今回大きく変わった点は、20歳を超えた場合、本人の所得で決まるということです。今までは世帯の最多所得者、だいたいの場合はお父さんの所得で決まっていました。それが本人になったわけです。

支援費制度を育てていく力

 支援費制度は、親だけで把握するのは、かなり難しい複雑な制度です。さらに問題なのは、例えばホームヘルプで、プールのガイドヘルプを受けたいと考えたときに、それが使えるかどうかは、各市町村がそれぞれに決めるわけですから、それぞれのローカルルールみたいなものまで知っていないと、サービスを上手に使いこなすことができないわけです。 そう考えたときに、まず、支援費制度全般を知っていて、私の住んでいる町のローカルルールもわかっていて、さらに、うちの子どものことや家族の状態をわかっている、いつでも気軽に相談に乗ってくれる、まさにかかりつけのお医者さんのような福祉の人をどうやって見つけるのか、そこが第1番目であり、最大の課題であるように思います。 支援費制度では、それを役所の窓口の人がやることになっています。もちろんその方達も上手に利用しましょう。ただ、その方達は、人事異動で変わっていきますから、継続的に支援してもらうのは、期待できません。となると、学校の先生、施設の職員など、つながっている教育や福祉の専門家に、支援費制度などを勉強してもらい、そういった役割を果たしてもらいたいと思います。皆さんの家族のそばに、そういった専門家がいますか? もし、いない場合、ここが今までと考え方を改めなくてはならない部分ですが、そういった支援をしてくれる人や組織を自分で作らなければなりません。待っていても、誰も何もしてくれません。それが措置から契約に変わるということなのです。サービスがない場合、それを解決しない「自己責任」が問われるわけです。「難しい」とか「面倒くさい」とか「がんばれない」は通用しません。気づいた人が行動し、具体的な行動が求められる制度なのです。
(ニューズレター「SHARE」2003春号 戸枝陽基さんの講演を参考にしました)



学齢期部会 第1回会合のお知らせ

           日 時 :  5月14日(金) 午前10時〜
           場 所 : へそ公園 「花屋敷」
           内 容 : お茶でも飲んで、いろいろ話し合いましょう



平成15年度 育成会総会について

           日 時:  6月1日(日) 午前10時〜
           場 所:  西脇市総合福祉センター「萩ヶ瀬会館」
           総会後、希望の郷 コーディネーター 大西氏の話があります。