平成15年4月1日発行

育成会だより

                   第60号

西脇市手をつなぐ育成会
 会長  竹中 敏文

広報  西脇市大野175
  ワークホームタンポポ内
 

相楽地域障害者生活支援センター

3月8日の柏原での講演会から

建物の概要 個室5部屋(和室4/洋室1)大浴室1 小浴室1 リビング キッチン
男子トイレ 女子トイレ 洋式トイレ2タイプ 事務所 相談室 会議室 更衣室 資料室

 用地は、同時に建設した2つ目の通所授産施設の用地とともに地元の木津町に無償貸与して頂き、建物については日本自転車振興会より補助していただきました。
 

 相楽作業所(社会福祉法人 相楽福祉会 知的障害者通所授産施設 [相楽作業所],相楽共同作業所運営委員会心身・精神障害者共同作業所[相楽共同作業所],相楽郡西部障害者福祉連絡協議会重症心身障害者通所援護事業[相楽デイセンター],精華町障害児者育成会の活動を含めて)は,相楽郡西部3町(精華町,木津町,山城町)に住む障害者の地域生活に必要なあらゆる福祉サービスを提供することを目標に,不十分ながらもネットワークを整備している。

府のモデル事業になったことでの発展

 1996年4月,精華町,木津町,山城町の委託を受け心身障害者介護支援モデル事業(通称:レスピットサービス)を開始した。このサービスの趣旨は,実施要項によれば以下の通りである。

「心身障害者の介護を行なう家族の疾病その他の理由により,当該心身障害児者が家庭において介護を受けることができない場合,及び家族が日頃の介護による心身の疲れの回復のために休息が 必要な場合に,本人の昼間の日常生活を変わらず確保でき,かつ本人自信が安心できうる移住地に近い場所において本人を一時的に保護し,もってこれらの心身障害児者を含む家族の福祉の向上を図るものとする。」

 このレスピットサービスの概念と,過去の実践をもとに,[相楽レスピット・サービス]の用件を以下の通りにまとめた。

(1) 介護者の休息・ゆとりの確保
「レスピットサービス(Respite Service)/息抜き援助」本来の趣旨。家族関係のゆとりを保つことを目的としている。
(2) 緊急時のショートステイ
家族や介護者にリスクが生じたとき,数時間単位から数週間,場合によっては数ヶ月単位でケアを代行する。また,リスクが生じたとき,即座に対応できるよう緊急連絡体制やスタッフを手配できる体制が必要となる。
(3)利用者の日常生活のリズム確保
身近にサービスがあることによって,昼間の活動の場を変えないでリスクを回避することができる。また,慣れた場所で慣れた人(スタッフ)によるケアは,本人と家族の不安を軽減することができることもこのサービスの利点である。
(4) 介護者だけでなく家族全員を含めたファミリーサポート
個人への公的介護の体制が整っていない状況では,家族に障害者がいることによって,他の家族の生活に制約が生じてしまう現実がある。レスピット・サービスは,そのような家族の,それぞれのライフスタイル選択の幅を広げることのほんの一端を担っている。
(5)本人の生活体験の場面
旧宿泊訓練からのながれとして,本人の日常生活の訓練や,親離れ・子離れの促進といった生活体験の場面としての側面ももっている。これは同時に,緊急時の対応のための慣らしを兼ねており,定期的に利用することにより,リスク対応時の本人の負担を軽減する効果も期待できる。
 
(6) 総合的なコーディネート(コーディネーターを設置)
モデル事業として当初の想定は,相楽作業所の直接援助職員がサービスのコーディネート業務を兼任で行なうことになった。当作業所では,このサービスに対するニーズの質的・量的なニーズの多さを予測し,独自に専任のコーディネーターを配置した。

実施体制について

コーディネート業務
 [宿泊訓練]や[独自のショートステイ]からレスピットサービスへの転換に伴って,サービスをコーディネートする業務が重要になり,専任のコーディネーターを新たに設置した。この背景としては次の三点が上げられる。
(1) ニーズによる柔軟な対応
サービスの性質上,障害の重い人ほど,量的にも質的にもニーズが高くなる。また,本人を取りまく介護環境や,家族の状況によってもニーズは変化してくる。よって,画一的に判断できないニーズに対して,受け入れ側の力量との調整を行ないながらコーディネートしていかなければならない。また,ニーズを相対的に充足するために,必要に応じてレスピット・サービスだけでなく,施設本体のサービスや地域のほかのサービスへつなげていくことも重要な業務である。
(2) 対象者の拡大
地域の養護学校に通う学齢児や,地域で生活している障害者に対象の範囲が広がったことで,日常的なケース把握の重要性が高まった。定期的に訪問したり,関係者間で密に情報を交換したりして,常に利用者の状況を把握しなければならない。
(3) スタッフの確保/研修/コーディネート(手配)
様々なニーズに的確に対応するために,ケア・スタッフは常勤ではなく,非常勤のアルバイトとして確保した。スタッフの内訳は,学齢時対象の長期休暇中の季節療育事業のスタッフであったり,日曜学級のボランティアの中から利用者と一定の関係のできている人や,当作業所をフィールドにしている福祉系の学生など多方面に確保している。これらのスタッフに研修したり,本人や保護者と接する機会を設定したり,要請に応じて手配する。
バックアップについて
レスピット・サービスのスタッフは,ケア・スタッフとコーディネーターのほかに,これらに対してバックアップを行なう母体施設の専門職員がある。バック・アップはケア・スタッフが足らない時の代替という量的なバック・アップと,対応が困難なケースや高い技術を要するケース,即応性を要するケース等への質的なバック・アップの二つがある。
運営体制について
運営体制は,今後二つの点を重視して整備していく。一点目は,地域を巻き込んでいくこと,二点目は利用者やケア・スタッフの立場を強化していくことである。この二点を目的として,一月より[相楽レスピット・サービス運営委員会]を設置した。
これは,実際にサービスを利用する利用者(家族・保護者)や地域の社会福祉協議会の代表,ケア・スタッフ,運営主体の代表,養護学校教員,コーディネーターで組織され,運営に関する重要事項を協議して決定していく。運営主体は,この決定を受けて,サービスの供給を実施するものである。
 
講演を聞いての感想
  相楽郡西部3町は、西脇市とそう変わらない地域である。相楽福祉会ができるまでは、なにもないところであった。しかし、社会福祉法人ができてからは、障害児者を支える体制が、府のモデル事業の指定を受け、取り組まれたことがわかる。とくに、コーディネーターの重要性を考え、核に据えられたことが、その後の着実な発展につながったように思われる。そのためには、コーディネーターとケア・スタッフの役割をしっかり整理しておくことが大切である。西脇市において、相楽郡西部3町にできていてることがなぜできていないかを考えるとともに、西脇市でできないはずはないと改めて思いました。