平成14年6月1日発行

育成会だより

                   第50号

西脇市手をつなぐ育成会
 会長  竹中 敏文

広報  西脇市大野175
  ワークホームタンポポ内
 

法律相談を始めました ー全日本育成会より

 全日本育成会は、4月から「法律相談」を始めました。電話番号(03−3431−0668)にて予約を受けた後、法律相談が必要な場合は弁護士に電話でご相談いただきます。その後、面談で相談いただくこともできます。初回面談は無料で、原則30分です。法律相談は(電話・面談とも)毎週木曜日午後3〜5時、全日本育成会にて行います。相談内容によって、その後も弁護士の対応が必要で、相談者が希望する場合は、相談者本人が弁護士と委任ー受任契約(有料)を結ぶことになりますので、この時点で全日本育成会の法律相談は終了します。
法律相談の予約  水・木曜日 10〜17時 03−3431−0668

 

すすめ! 警察プロジェクト
警察プロジェクトとは何か 
 「福祉」だけでは知的障害のある人を守ることはできません。誘拐、殺人、リンチ、恐喝、レイプ、悪質商法による詐欺・・・。あまり知られていませんが、知的障害のある人は実に多くの犯罪被害にあっています。施設から地域へと障害者の生活の場が移るにつれて、ますます犯罪やトラブルに巻き込まれる障害者は増えていくでしょう。
 ナンシー・フィッツシモンズ=コバというアメリカ・イリノイ州の研究者は、地域で暮らす知的障害者を守るためには警察の力が必要だと考え、障害者や親や福祉職員と警察官が一緒に知的障害者の権利擁護を学ぶ勉強会を作りました。それがもとになり、マリリン・ジョンソンという知的障害者の事件を専門的に捜査する刑事が誕生しました。
 日本でもマリリンのような警察官がぜひとも必要だと思い、今春から警察庁に協力を求めてきました。そして「警察プロジェクト」を始めました。
3万部を全国の警察へ
 「警察」と言っても各県の警察本部から、警察署、交番などいろいろあります。だいたい全国には計1300警察署があり、交番は6600カ所、駐在所は9000カ所あります。交番や駐在所は碁盤の目のように日本全国を管轄しており、どの警察(交番、駐在所)も管轄していない土地というものは日本には存在しません。
 今回作った「知的障害ハンドブック」は警察庁のはからいで、このすべての警察組織に配布してくれることになりました。すべてとは、交番6600カ所、駐在所9000カ所に加え、1300警察署の各課(1署で平均7課)と47警察本部の各課のことです。だいたい、3万部近くが全国の警察組織に配布されることになっています。
親こそが主役!
 しかし、ハンドブックを配っただけではどれだけの効果が期待できるでしょうか。警察官に知的障害を理解してもらうためには、私たち親こそが本気になって障害のある我が子を守ろうと思わなければダメです。日々忙しい仕事に追われている警察官の心を動かし、障害のある人を守ろうと思ってもらうためには、私たち自身も本気で権利擁護に立ち上がらなければ、警察だって本気で動いてはくれません。
 
 
 
障害程度区分と評価のあり方について
群馬県 社会福祉法人はるな郷こがね荘 小野澤 昇

1、障害程度区分(支援度)に対する基本的な視点
  @従来、知能検査の結果に基づく障害程度の分類が中心として行われてきたが、知的障   害者の障害程度分類の指標としては必ずしも十分であるとは言えない。
  A全国の知的障害者更生相談所等では行動障害や身体障害、精神障害などの要因を加味   して障害程度区分の判定作業を実施しているという現実がある。
  B国際的な動向を見てもアメリカ精神遅滞学会では知能検査に基づく従来の診断ではな   く、適応スキルに重きをおいたサポートのあり方という新たな視点を提供している。
  C知的障害者の社会参加と地域生活を推進する上での支援ニーズの視点から、社会的に   生活をしていく上での必要な要素を重視し、障害程度区分と評価のあり方について検   討を行った。
 
2、障害程度区分(支援度)の内容と定義






 
障害程度区分 定義
1度 常時全面的な支援が必要
2度 常時多くの面で支援が必要
3度 限定的ではあるが多くの面で支援が必要
4度 一部援助、点検・注意が必要
5度 ほとんど配慮を要しない





 
 
3、障害程度の評価のしかた
  障害程度の評価は次の4つの領域により行う
  @日常生活面  5段階の評価
  A行動面    5段階の評価
  B保健     5段階の評価
  C社会生活力  18項目について3段階の評価を行う。合計点を5段階に分類
 
4、障害程度区分に加味すべき事項
  @「問題行動」利用者が社会生活をする上で困難を伴う、問題となる行動
  A「移動」 移動に特別な支援が必要な場合
  B「強度行動障害」の扱い
 
5、まとめ
  今回示した障害程度区分は、本人の持つ生来的な障害や日常生活面や行動面における介護の度合いだけに目を向けるのではなく、アメリカ精神遅滞学会が示した知的機能と適応スキル等を参考にし、本人が自分の生活を形作っていくために必要と思われる力について検討を行い、障害程度区分を決定する際には、そのために必要なサポートの程度も含めて判断すべきである。国からどのような内容の障害程度区分が示されるのかはっきりしていないが、単にランク付けを行うためのものではなく、知的障害の人たちの生活を支えていくために、真に必要な障害程度区分が示されることを願ってやまない。
(財団法人 日本知的障害者福祉協会調査研究委員会 委員長)