平成14年5月1日発行

育成会だより

                   第49号

西脇市手をつなぐ育成会
 会長  竹中 敏文

広報  西脇市大野175
  ワークホームタンポポ内
 

障害のとらえ方が変わります

国際生活機能分類(ICF)について
○国際生活機能分類(ICF)とは
 ・1980年に世界保健機構(WHO)から発表された「国際疾病分類(ICIDH)」の改訂版
 ・人間の生活機能と障害に関して、アルファベットと数字を組み合わせた方式で分類するもの
 ・文字のあとに、数字コードが続く
 ・文字は、「b:心身機能」「s:身体構造」「d:活動と参加」「e:環境因子」
 ・数字は、5桁。左から「1桁:章番号」「2〜3桁:第2レベル」「4桁:第3レベル」
  「5桁:第4レベル」となっている
 ≪例≫
第2章  感覚機能 sensory function
 b210   視覚機能 seeimg functions
 b2100  視力に関する情報 visual acuity functions
 b21000 遠景に対する両眼視力 binocular acuity of distant vision
 b21001 遠景に対する単眼視力 monocular acuity of distant vision
 b21002 近景に対する両眼視力 binocular acuity of near vision
 b21003 近景に対する単眼視力 monocular acuity of near vision
 ・付加的情報(評価点等)を提供するために、小数点の後に付加的数字(たとえば、
  「0:問題なし」「4:完全な問題」)を加える
 ≪例≫
   視力に関する機能の完全な障害 :b210.4
 
○目的と意義
 ・健康状態に関連する生活機能状態を理解し、研究するための科学的基盤を提供すること
 ・障害分野における「共通言語」を確立し、障害者に対してサービスを提供する保健・医療・福祉・教育等の幅広い分野の従事者、患者やその家族等が共通理解の上に立って、より密な連携体制を構築すること
 ・障害分野の諸問題に関して、調査・分析や統計資料を作成する際に、国家や、サービスの専門分野、時間の枠組みを超えてデータを比較検討できる手段を提供すること
 ・障害分野の情報を電算処理する際に、体系的に符号化した分類リストを提供すること
 
○主な改訂点
 ・改訂前の分類では、障害を「機能・形態障害」「能力障害」「社会的不利」の3レベルに分けていた
 ・今回の改訂では、3つの次元で把握しようとする点は同じであるが、障害による負の側面をとらえていた点を変更し、前向きあるいは中立的な表現を用いた
 
 (1)「機能・形態障害(impairment)」→「身体機能・構造(body function & structure)」
 (2)「能力障害(disability)」→「活動(activity)」
 (3)「社会的不利(handicup)」→「参加(participation)」
また、分類の名称も、「International Classification of Inpairments, Disabilities and Handicaps」から、「International Classification of Functioning, Disabilities and Health」と変更された
 (1)「障害(impairment)」→「機能(functioning)」
 (2)「社会的不利(handicap)」→「健康(health)」
 ・また、障害のモデルの基本的考え方として、改訂前には各次元間の関係を一次元的で一方向の流れとして示していたのに対して、改訂後は、各次元や要素が相互に関連していることを示すため、二次元的で双方向に結ばれているモデルが示された
 ・さらに、障害の発生には、個人の持つ特徴だけでなく環境の影響が大きいことの認識に立って「環境因子(Environmental Factor)」の分類が加えられた
 
 ≪参考≫
  (1)改訂前のモデル

疾病 → 機能・形態障害 → 能力障害 → 社会的不利

  (2)改訂後のモデル

  
 
以上がこのたび、厚生労働省より完成された日本語訳の一部です。簡単に言うと、障害というものは、周りの状況(環境)によって変化するということです。これまでは、個人のことが主に考えられていたのですが、それだけではなく、社会がどのように取り組んでいくかによって、ずいぶん軽減されることがわかってきたのです。また、障害をマイナスイメージとしてとらえるのでなく、何が不便でどう支援するのかという関わる側の配慮を考えています。どのような支援・配慮をあれば、ふつうの生活(ノーマライゼーション)ができるということです。この考え方の背後には、世の中に住んでいる人を障害者と健常者という線を引いた分け方をするのでなく、障害者とこれから障害者になる人というつながりのある見方をすることによって考えていると思われます。環境因子にあたる健常といわれている人(これから障害者になる人)が、いかに関わるかによって、住みよい世の中になるように思えてなりません。