平成14年3月1日発行

育成会だより

                   第47号

西脇市手をつなぐ育成会
 会長  竹中 敏文

広報  西脇市大野175
  ワークホームタンポポ内
 
知的障害者の高齢化と生涯発達支援
東京学芸大学教授  菅野 敦
1.知的障害者の高齢化
 我が国は急速に高齢化が進み、数多くの高齢者の問題を顕在化させてきています。このような長命化、高齢化の傾向は知的障害者においても同様に生じていることが考えられます。しかし、我が国における知的障害者の高齢化の実態は、必ずしも十分に把握されてはいません。日本知的障害福祉協会が居住型施設に生活する知的障害者を対象に行った調査によると、50歳以上の知的障害者の割合は、1980年に7.3%でしたが、1996年には21.8%で、かなり高齢化が進んでいることを予測させる結果が示されました。

2.高齢者とは
 高齢者とは何歳以上の方々を指すのでしょうか?一般成人の場合、65歳です。しかし、知的障害者の場合は何歳におくべきなのかは、さまざまな意見があります。アメリカ精神遅滞協会では、55歳としています。我が国では、いくつかの調査研究で60歳を採用していたり、支援のニーズに応じて40歳代から考えるべきではないかという考えもあります。現実的には、たとえばダウン症のように老化が早く現れるとされている障害もあることなどを考えると、それぞれの障害特性や個人差を考慮する必要がありそうです。

3.加齢にともなう症状
 知的障害者の加齢の症状は、障害のない人の症状と基本的には変わらないと考えられています。しかし、身体的な疾患や問題行動、あるいは生活能力や職場での適応機能の低下などが周囲の人たちが予測もしていない形で現れ、変化することがあるのも事実です。我々の調査でも基本的には、身体的症状(歯の脱落、姿勢、白髪、しわ等の老化症状)、知覚機能(嗅覚、視覚、聴覚、内臓感覚、味覚、皮膚知覚等の減退)、運動機能(筋肉、反応時間等の減退)等に変化を見いだしましたが、さらに知能の衰退や性格・感情の変化に始まり、うつ症状や分裂的な症状、中にはアルツハイマー病などの精神障害を合併する方もかなりの割合で見られました。また、このような変化は40〜50歳代から増加し、身体の疾病数についても高齢化とともに増加していくようです。

4.早期老化に関連する要因
 老化と関連のある要因としていくつか知られています。たとえば、てんかんなどの合併症、ホルモンの異常、肥満などは老化と関わる医学的な要因と考えられています。また、環境や生活のあり方も老化に関わる要因として知的障害者においても重要です。具体的には、生活空間や生活リズムの安定、栄養や健康の管理と疾病の予防、さらに家族関係や職場での人間関係の安定、仕事、運動、趣味などへの取り組みは、特に知的障害者においては、今後その関係の解明とともに整備の待たれる要因です。

5.生涯発達からみた知的障害者への支援
 知的障害者の中にも思春期や成人期になって急に元気がなくなり、これまでのように活動ができなくなくなった方々の報告が最近増えています。しかし、彼らも関わり方によっては回復し、再び家庭や職場で活躍できるようになることも知られてきました。関わり方の基本は、健康管理とそれに続く環境調整です。具体的には、生活リズム、対人関係、仕事量等の調整、余暇活動や家族以外の人との関わりの生活への位置づけ等です。
 我々は、この10年ほど老化研究を続け、生涯発達支援について考えてきました。そこで行き当たった課題が「彼らにとっての成人期とは何か?そして、その成人期を支える環境をどう整えるか?」です。まだ、答えには行き着きませんが、途中経過として「成人期の豊かな生活のための6原則」を紹介して、この話題の最後にしたいと思います。

基本姿勢は、

T これまで培ってきたよい習慣の継続
U 将来に向けた取り組みの継続

具体的には、

Tー@日課を一定に保ち、決まった活動は毎日続ける
TーAこれまで続けてきたこと(学習、旅行・・)は、今後も続ける
TーB家庭や仲間との関わりの中にいつも参加させる
 
Uー@人との関係を介して得られるよりよい刺激や経験を絶えず与え続ける
UーA将来必要となることは、これからも丹念に教え続ける
UーB慣れ親しんだ人や場に変化を加える場合は、本人主体を心がける

 

「わっしょい」親睦会

 平成14年1月27日(日)午後1時30分より、「わっしょい」で新年の親睦会がありました。本人・保護者をあわせると、20名近くの参加者があり、入りきらないほどでした。お茶を飲んだり、登喜子さん手製のおはぎをいただいた後、岡本さん自作の双六をしました。途中振り出しに戻った人がたくさん出て、あがりまでの道のりは遠かったですが、着実に駒を進めた高須賀君が優勝しました。次回の予定は、3月3日(日)にボーリングをする予定です。
 それと、今利用している「わっしょい」は、ことしの10月に更新するかどうかの手続きをとらなくてはいけません。メンバーが利用するとなると、狭くなっているので、新しい場所を検討しています。何かいい情報がありましたら、連絡下さるようお願いします。

 

三木精愛園 ショートスティ 受け入れ始まる

 三木精愛園(三木市緑が丘町本町2−3 рO794−85−8791)では、平成13年12月より、ショートスティ専用棟(男子2名 女子2名)で受け入れを始めました。利用の直接の窓口は福祉事務所ですので、利用される方は、福祉事務所に申し込んでください。

 

佐々木 正美先生をかこんで

         自閉症の治療教育についての話し合いです。是非、ご参加ください。
日時:3月7日(木) 12:30〜2:30
場所:三木市教育センター 4階 大研修室
 どなたでも参加できます。当日参加OKです。 参加費 1000円
 問い合わせ先・・・守沢まで п@0794−87−0616