平成13年9月1日発行

育成会だより

                   第41号

西脇市手をつなぐ育成会
 会長  竹中 敏文

広報  西脇市大野175
  ワークホームタンポポ内
 
障害児の学童保育について
 
 今年の夏はことのほか暑い夏でしたが、学齢期の子どもさんのいるご家庭では、日々の過ごし方について大変だったのではないでしょうか。「家庭」や「学校」とは違った「第3の世界」とはなじみの薄い子どもたちだけに、よりその必要性を感ぜずにはいられません。市への要望をした後に、「障害児の学童保育」みたいなものがあればと考え、すでにどのような取り組みがなされているのか、インターネットを使って調べてみました。
 
 
障害児の学童保育的活動
 「障害児の学童保育的活動」とは、平日の放課後に活動していて、土・日曜日あるいは長期休暇の活動もしていることをイメージしている。一般には「障害児学童保育」と使われていることが多いが、この言葉は一般の健常児の「学童保育」と混乱されやすい部分を持っている。「障害児学童保育」と呼ばれているものは、健常児の「学童保育」とはずいぶん内容が違うので、「障害児の学童保育的活動」と呼び、次の5つに整理した。
 @健常児の学童保育に障害児が受けいられる活動
  厚生労働省が1999年5月現在の学童保育数と入所児童数を発表した中に、学童保育 への障害児入所状況を調査し発表している。調査対象は「障害児学級及び盲聾養護学校小 学部に通っている児童」で、全国1763カ所(全体の17.3%)に2691人(全体 の0.8%)が受け入れられている。
 A障害児の学童保育的活動(障害児だけの集団で、常設の指導者をおくもの)
  東京都や千葉県、埼玉県では「放課後連」という活動を交流する組織を作って近年連絡 を密にしているが、その他の都道府県では実際の活動団体やそこに在籍している障害者の 数については全くわからない状態であったが、最新の集計では121団体2934人とな っている。この中の203人は、成人の人もいることから学齢期だけの活動ではないとこ ろもある。
 B主に親やボランティアによる活動で常設ではないが休日等の放課後保障の取り組み
 C主に行政(学校・PTA・育成会)等の主催で行っている活動
 Dニーズがあったときに限り活動するレスパイト的活動
 
 兵庫県下の活動例
 『くれよん』(西宮市)の活動
 1997年に『第3の世界が見れたらいいね』と毎月第2土曜日に活動を始めました。  子どもたちが遊びを通じて交流を深めることで人間関係を広げ、自立と社会性を確立させ ることをめざし、第2・4土曜日の午後や休日の活動を中心に、現在は15〜6名が参加 しています。今では夏のキャンプはボランティアと子どもたちのみで行けるようになりま した。
 和田山町の取り組み
 作業所で見てくれないかとの連絡が、社協より入り、「作業所が受け入れないと施設行き が決定する」中で、一人の障害児を作業所で預かったという例でした。
  
 京都市の活動例
 京都市では中学校区に一つ「公設委託」で学童保育が運営されています。多くの学童保育 は、児童館に併設されており、18歳まで利用できることになっています。従来あった「中 軽度の障害児」のみ受け入れるという入所の基準は、親の運動の中で撤廃され、115名 の障害児が学童保育に通っています。
 
 堺市の活動例
 各小学校区に学童保育を公立として設置し、87小学校に4500名に及ぶ児童を受け入 れ、障害児を130名受け入れています。障害児に対する指導員加配も46名を数えてい ます。原則として小学校の1階の教室で開催されています。
 
「つくしんぼ」(東京都町田市)のホームページより http://www.join-am.ne.jp/%7etsukushi/

まず声をあげてみることではないでしょうか。地域に障害児の親の会的な集まりがあると思います。そういう場所で「障害児学童がほしいと思いませんか?」と提案してみるのです。「そんなものできっこない!」って一笑に付されるかもしれません。でも、「本当にできるのだったら、ほしいよね・・・」と思っている人がきっといるはずです。障害児学童に限らず、施設の立ち上げはかなり骨の折れる仕事です。面倒くさがる人の方が多いと思います。たとえそんな状態でも「しんどそうだけどそれを一緒にやろう!」と言ってくれる人を見つけること、協力者を増やすことが、はじめの一歩のような気がします。


 

小泉総理大臣との「障害者施策に関する懇談会」について
 
7月30日、官邸大ホールにて、小泉内閣総理大臣や坂口厚生労働大臣、福田内閣官房長官など政府関係者と、障害当事者や家族、障害者団体の代表者による、「障害施策に関する懇談会」が開催されました。懇談会においては、まず、小泉総理から、「今日の意見を聞いて今後の施策に役立てたい」との挨拶がありました。参加した各団体からは、事前に要望書の提出が要請されていましたが、全日本手をつなぐ育成会として、次の通り要望書を提出しています。

知的障害者施策について(要望書)

1.入所施設から安心して地域居住に移行できるよう、地域における福祉サービス(グルー  プホーム、ホームヘルプ、ケアマネジメント等)の充実を図られたい。
2.地域における福祉的就労や日中活動の場として重要な小規模作業所について、法定施設  への移行を促進されたい。
3.平成15年度以降、知的障害者福祉に関する事務が市区町村に委譲されるが、これにつ  いて十分な予算措置を図られたい。
4.知的障害者福祉については措置制度から支援費制度への移行が行われるが、その際、現  行の利用者負担を上回る負担が生じないようご配慮願いたい。
5.知的障害教育の対象となる児童・生徒が増加しているが、教室等の設備が不足している。