平成13年7月1日発行

育成会だより

                   第39号

西脇市手をつなぐ育成会
 会長  竹中 敏文

広報  西脇市大野175
  ワークホームタンポポ内
 
地域療育等支援事業について
@療育拠点施設事業
都道府県・指定都市に1カ所の「療育拠点施設事業」に分けて、都道府県レベルでの療育の重層化を図ったこと。ここでいう「重層化」とは、専門機能は乏しいけれども地域に密着して障害児(者)の日常生活を支える保育所や障害児通園(ディサービス)事業、作業所などを療育等支援施設事業受託施設(以下、「支援施設」と略します)が支援し、支援施設を療育拠点施設事業受託施設(以下、「拠点施設」と略します)が支援するという協働体制を、都道府県・指定都市単位に設定する構造です。兵庫県内には、姫路市にある姫路市立白鳥園(肢体不自由通園施設)しかありません。
A療育等支援施設事業
人口30万人(おおむね障害保健福祉圏域に一致)に2カ所の「療育等支援施設事業」
西脇市の場合、北播磨県民局(三木市、小野市、加西市、西脇市、多可郡、加東郡、美嚢郡)になります。現在、療育等支援施設はありません。ただ、「希望の郷」が療育等支援事業受託施設になっていますので、これが代用していることになります。しかし、「希望の郷」だけでは不十分です。
B地域生活支援事業
市町村エリア(圏域)を活動範囲とするコーディネーターを支援施設に配置し(地域生活支援事業)、在宅の障害児(者)とその家族の支援ニーズを掘り起こし、支援施設の機能だけでなく地域の社会資源も活用して具体的な援助の展開を企図した。
 
 
地域生活支援事業の問題点
地域療育等支援事業に対しては、@〜Bの項目とも不十分ですが、一番身近な地域生活支援事業について、問題点のいくつかを述べてみたいと思います。
1)位置づけのあいまいさ
 療育等支援施設事業の要綱において、「受託施設が4事業すべてを実施する」とされたために、4つの事業(在宅支援訪問療育等指導事業、在宅支援外来療育等指導事業、地域生活支援事業、施設支援一般指導事業)が並列的に解釈されてしまいました。その結果、「支援事業」の基盤となるべき地域生活支援事業の位置づけが不明確になり、この事業のために配置されているコーディネーターの立場や活動もあいまいになってしまいました。
2)コーディネーターの業務と立場への無理解
 コーディネーターは受託施設に配置されてはいますが、本来「地域の人的資源」として確保された人材であり、その人件費も「地域生活支援事業」として委託費の中で全額保障されています。故に、受託施設自体の業務に拘束されることがあってはなりません。加えて、その選任についても、都道府県等の実施主体や市町村が加わって協議しているという回答はほとんどなく、受託施設の状況や意思に任されている状況でした。そのため、所属施設や受託法人の人事異動などによって安易に交替させられるという傾向があります。
3)援助プログラムの作成についての混乱
 本来、コーディネーターによって掘り出されたニーズは、他職種の専門職による会議で協議され、利用者個別のニーズに沿った具体的な援助プログラムが作成されます。この援助プログラムに沿って、具体的な支援に向けた地域資源の調整と確保がなされ、障害児(者)やその家族に必要なサービスが提供されるのです。しかし、援助プログラムの作成によって「円滑な援助が可能となった」と回答した施設は少なく、「作成方法がわからない」という回答も少なからずありました。このような問題が起こる原因として、
 @援助プログラムの意味や重要性が、市町村、都道府県だけでなく、受託施設やコーディ  ネーターにも理解されていない。
 A援助プログラムの作成がコーディネーター個人に任せられてしまっていることが多い。 B受託施設内部の非協力と、市町村・都道府県等の無理解によって、援助プログラムの作  成に必要なさまざまな職種の参加による会議や圏域内でのサービス調整会議の開催が困  難になっている。
4)登録制についての無理解
 登録は、援助プログラムの作成後のフォローや潜在的なニーズを抱えている人への継続的援助に当たって、必要に応じて家庭訪問や電話連絡などを通じて状況把握を行うことを利用者に承諾を得るなど、支援する上での「契約の確認」という意味を持っています。その目的は、困ったときや不安なときなどに、いつでも相談できる場所と援助者の設定、及び支援施設の側から働きかけることについての確認です。そのため、登録に当たっては援助プログラムや以後の訪問の予定などを説明した上で、利用者の同意を得ることが必要です。しかし、登録制の意味と目的が理解されにくく、このような手続きを経て登録をしている施設は多くはありませんでした。
 
 よく「地域療育事業」はわかりにくいと言われます。これは、今までの措置制度から、契約制度に変わることにより、全国一律であった制度から、各地方自治体に任された制度になったことが大きいと思います。つまり、各地方自治体がそれなりのビジョンを持っていない場合、単なるスローガンにすぎないものとなります。「地域療育事業」がみのあるものとなるために、行政に訴えていくことが大切です。