平成13年2月1日発行 |
育成会だより 第34号 |
西脇市手をつなぐ育成会 会長 竹中 敏文 広報 西脇市大野175 ワークホームタンポポ内 |
「個人の必要性(ニーズ)に応じて 教育を受ける権利」
千葉大名誉教授 小出 進
「能力に応じて受ける教育」という教育観の破棄を、21世紀の最重要課題としたい。日本国憲法には、「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」(憲法25条)とあり、さらに、「すべての国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」とある。「能力に応じて受ける教育」という教育観は、知的障害者等発達障害者の教育の豊かな発展を妨げ、さらに、福祉の発展をゆがめた。この教育観には、新しい時代にそぐわない重大な欠陥がある。 教育は、能力のみに応じて受けるべきものではないし、教育年限は、能力だけで加減されるべきものでもない。したがって、「能力に応じて教育を受ける権利」ではなく、「個人の必要性(ニーズ)に応じて教育を受ける権利」である。
「能力に応じて受ける教育」という教育観のもとでは、発達に障害のある知的障害者等の教育は、必然的に、「準ずる教育」に位置づけられ、能力の劣弱性に対応する教育と意味づけられる。その結果、「能力の劣弱性(ディスアビリティズ)への対応が教育で、社会的不利(ハンディキャップス)への対応は福祉で」と、対応が二元化することになる。 教育と福祉の一元化が、21世紀の課題となる。教育の場、福祉の場のいずれにおいても、障害の社会的不利という面を重要視し、その軽減・解消を図る努力で、自ずと実現する。障害の社会的不利という面を重要視するということは、障害を個人のうちにある特質としてでなく、障害を個人のうちにある特質としてでなく、個人と周りの状況との関係でとらえる新しい障害観に基づいている。したがって、社会的不利の軽減・解消を図る対応、それは、障害のある人が、いろいろな社会的生活の場で主体的に活動し、生活できるようにする状況づくりである。それは、主体性確保のための社会的条件づくりを意味する。主体性の確保もまた、21世紀の重要課題である。
障害者支援のための基本法であるはずの障害者基本法の中に、障害の発生予防に関する記述が残されている。障害の予防は、時には、「優性保護」「劣性抹殺」に通じる危険性がある。障害者の「社会参加を促進させることを目的とする」障害者基本法において、「障害の発生予防」を規定すべきではない。さらに、障害者基本法第6条には、「障害者は、・・・進んで社会経済活動に参加するよう努めなければならない」「障害者の家庭にあっては、障害者の自立の促進に努めなければならない」とある。社会の受ける負担を小さくする「対策」としての、努力の強要である。障害のある人を、単に社会的支援の対象としてではなく、同等の権利を持つ市民として認める障害者観の確立こそ、21世紀の終極の課題である。 (「発達障害白書」2001年版 総論より)
療育等支援施設事業実施施設情報(2000年10月1日現在) 2002年度までに、「全国で690カ所」を目標に整備が進められている「療育等支援施設事業」ですが、兵庫県では、11カ所の施設が実施しています。
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上記の表から、注目されるのは西宮市(人口42万人)です。一市内に3カ所のそれも種別の異なる施設が指定を受けているのは全国的にみてもきわめて稀なことではないでしょうか。対象となる障害種別をすべてカバーできる体制になっています。30万人に2カ所という意味はこういうことなのでしょう。今後このメリットがどのように生きてくるのか、大いに期待がもてる地域として注目していきたいと思います。西脇市近郊の様子を見ると、加西市と山南町には知的障害者入所更生施設はあるものの肢体不自由児通園施設はありません(療育等支援施設)。中町には、社会福祉法人「養徳会」が経営する入所施設がありますが、療育等支援施設の指定は受けていないようです。ショートスティの受け入れはできますが、送迎サービス・ホームヘルプサービスはありません。今後どのような取り組みが、西脇市も含め展開されていくか注目していく必要があります。また、自助努力として、4月から始まる生活訓練ホームについても、視野に入れていかなければならないと思います。
木下大サーカス招待券 神戸のポートピアランド特設会場で開催されている木下大サーカスの招待券が、育成会に届きました。2月中の招待券で、平日に限り使用できます。ただし、木曜日は休演日となっています。6枚しかありませんので、希望の方はワークホームタンポポまで、申し込んでください。公演は約1時間50分です。月曜日から水曜日までは、午前11時と午後1時30分の2回公演、金曜日は午後1時と午後3時30分の2回公演となっています。
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