平成12年7月1日発行

育成会だより

                   第28号

西脇市手をつなぐ育成会
 会長  竹中 敏文

広報  西脇市大野175
  ワークホームタンポポ内

重度の障害のある人が利用するグループホームについて

1.グループホーム(「生活療」・「生活ホーム」ともいう)の現状
 
この制度は、1978年、東京都と神奈川県において制度化され、その後、静岡県、滋賀県、大分県などでの制度化が続き、1989年、国の制度とされました。また、1994年、横浜市において一人あたり月5万円の重度加算が創設され、国制度においても、1996年、一人あたりの月額単価を約2倍に設定するという形での重度加算が制度化されています。国のグループホームの利用については、当初、就労している人のみが対象とされていました。しかし、2000年4月より、制度の改正が行われ、就労要件がはずされ、通所施設やディサービスを利用する人たちへの利用の道が開かれます。加えて、グループホームでの、ホームヘルパーの利用も可能となります。すでに、自治体単独事業で運営されるグループホームでは、就労していない重度の障害がある人も利用しており、一部ではありますが、ホームヘルパーの利用も始まっています。
 一方、現在、社会福祉事業法などの法律改正を中心に行われようとしている、いわゆる「社会福祉基礎構造改革」においては、入所施設の今後の役割は、「通過訓練」であるとされています。入所施設には約10万人弱の知的障害のある方が利用されていますが、これらの利用者のうちの、かなりの数の人たちが、今後地域居住へ移行するとして、その受け皿としては、基本的にグループホームの役割が大きな意味を持つと考えられます。

2.具体的な課題

 (1)グループホームの規模について
   グループホームは、知的障害のある人たちの地域における生活の場所として運営されます。そのため、人数は4〜5人、原則として個室であるが、やむを得ない場合は二人部屋も許されるとなっています。
 (2)世話人について
   世話人は原則的に365日でも1名の配置であり、その給与額も一般の施設職員に比較すれば低い水準です。1か所あたりの補助額は、200万円台から300万円台が中心となっています。障害の重い人も加えた知的障害のある人の生活を支援するためには、365日24時間に近い生活支援が必要です。このため、経験上さいてい、2.5〜3名の職員の確保が必要と考えます。
 (3)ホームヘルプサービスについて
   2000年度より、中軽度の人たちへの本人支援についても、ホームヘルプサービスが利用できることとなります。併せて、福祉ホームや、グループホームでのホームヘルプサービスの利用も可能になります。今後、障害の重い人がグループホームを利用できるようにするためには、世話人の複数確保に加え、必要なサービスとしてホームヘルプサービスを上手に利用できるかどうかが、重要な課題となってきます。
 (4)利用条件について
   2000年度から、利用者の就労条件が撤廃されます。
 (5)利用者の所得保障等について
   グループホームでの暮らしは、地域における普通の暮らしです。そのため、もちろん食事や光熱水費、居住の場としての家屋の賃貸料も個人の負担となります。具体的な支援については、障害という本人の責任からは生じない部分について、社会的な支援、負担と考えます。一方、施設については、設備の設置は国や自治体の補助を受けて法人が負担、措置費も相当の額が支払われています。利用料は入所施設のみで、徴収金として、障害基礎年金の半分程度の負担ですんでいます。制度的には、施設は通過訓練機関と位置づけられているので、個人の負担は少額、ということになっているとのことですが、実質的に居住施設としての機能しか果たせないのなら、ここのところは考える必要があるでしょう。本人や親にとって、入所施設に入れば年金が確実に預金となって残り、グループホームに入れば年金だけでは足りずに、親の負担が生じることとなる現状では、地域での暮らしを実現することはほとんど不可能です。

3.長期的な地域生活への支援体制の構築について

 (1)バックアップシステムの構築
   バックアップという機能をシステムとして考えれば、小規模作業所やいくつかのグループホームの組み合わせによってもできる。本来ならば、「地域生活支援センター」がその役割を担うことも考えていく必要があります。
 (2)障害者プランとの関連
   現在の入所施設利用者の地域生活への以降について、受け皿としてのグループホームの十分な整備が必要となっています。障害者プランも、このため再度の見直しが必要となっています。
 (3)各種の地域生活支援事業等との関連
   近年、地域生活を支援する事業が数多く作られてきました。障害児(者)地域療育等支援事業、あるいは知的障害者生活支援事業、さらには福祉サービス利用援助事業(地域福祉権利擁護事業)も開始され、障害者ケアマネジメント体制整備推進事業もモデル事業として実施されようとしています。しかし、これらの事業は十分に機能しているでしょうか。30万人の人口に2か所設置される予定の障害児(者)地域療育等支援事業においても、国の強い指導にも関わらず、設置数も大きく増えてはいません。また、入所施設が拠点施設として指定され、そこにコーディネーターが配置されるため、本来地域に生活する人たちを支援する役割を持った職員が、単なる入所施設の1職員とされてしまう実態もあるようです。これらの諸事業は、ヘルパーの利用、またさまざまなコーディネーション、さらには人権の擁護や管理等において、グループホームの利用者にとっても大きく期待される事業です。
(全日本手をつなぐ育成会 地域生活支援委員会の提言より抜粋しました。)



西脇市への要望のための例会
日時 7月20日 午前10時〜
場所 ワークホームタンポポ
内容 西脇市への要望 レクレーション大会の内容
    会員の多数の参加を期待します。