■へ〜そうなんや 22 (クリスチャン新聞より転載)

目からうろこ

 日ごろ、何気なく使っている日本語で、

実は聖書に由来する言葉があるのをご存じだろうか。

何かがきっかけで突然物事が理解できたり、

誤りに気付くことを「目からうろこが落ちる」と言うが、

これは、新約聖書の「使徒行伝」9章18節に出てくる表現だ。

 「するとただちに、

サウロの目からうろこのようなものが落ちて、

目が見えるようになった…」というその文章は、

今から2千年近くも前、医者だといわれるルカが、

ローマ帝国の高官にイエス・キリストを

伝えたいとの目的で書いた「使徒行伝」の1節である。


 これが日本語の表現として定着したのは、

聖書の邦訳が完成した明治以降のこと。

その由来はともかく、

「目からうろこの新発見!」など現在でも一般化している。

ところでキリスト教徒を迫害していたサウロが、

復活のイエスに出会い回心するこの場面は、

いつ読んでも感動する。

 今ではこの言葉は「びっくり」とか「意外」といった

軽いニュアンスで使われることも多いが、

耳慣れた言葉のルーツが聖書にあったなんて、

これも「目からうろこ」というのだろうか。