■へ〜そうなんやQ (クリスチャン新聞より転載)
        

― 歴史に残ったミニコミ誌 ―

 今から100年以上も前に創刊された「上毛教会月報」は、

発行部数が多くても千部に満たないミニコミ誌であったが、

その読者は全国におり、

日本の思想界に大きな衝撃を与えた。

発行者は柏木義円(1860〜1938)。

新潟の住職の長男に生まれ、東京師範卒後、

18歳で群馬県の小学校校長の職に就いた。

その才気溢れる青年は、

海老名弾正牧師との出会いからキリスト教に改宗、

同志社予備校生主任のころには、

若き日の山室軍平を教えた。

だが、自らは学者の道を歩まず、

〈学者の信〉よりも〈愚俗の信〉と主張し、

安中教会の牧師としての道を選んだ。

「上毛教会月報」が、

歴史的評価を受けるようになったのは、

その、終生変わらなかった非戦平和の主張だった。

日露戦争が始まると、非戦平和の記事をかかげ、

日露両国の帝国主義とその野望を批判した。

 師と仰ぐ海老名弾正が、

これを正義の戦争としたのとは反対であった。

満州事変に際しては戦争政策を批判、

たびたび「上毛教会月報」は発禁処分を受け、

ついに、1936年12月号をもって廃刊。

その間、38年にわたり、1号の休刊もなく、

柏木1人のペンによる真理の戦いは続けられた。